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おっちょこちょいのかよちゃん

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148 贅沢な王妃、アントワネット

 
前書き
《前回》
 一人で走り去っていく杉山を追うりえは彼に追いつくも、彼の武装の能力(ちから)で弾き飛ばされてしまう。その一方、藤木を取り返す為に出発したかよ子達は戦争主義の世界の人間となった女・アントワネットと遭遇する!! 

 
 ネロを倒したさり達本部守備班は次なる敵が入り込んだという情報を聞いた。
「また別の敵が来たのね・・・!!」
「僕、行ってきます!」
 長山が名乗り出た。
「私も行くわ!あのバカな妹とおじいちゃんが心配だからね!」
 まる子の姉も動き出す。
「俺も着いてくとよ!」
 中学生の男子も現れた。
「あ、ありがとうございます!」
「俺は尾藤海斗。熊本から来た男だ」
「私はさくらさきこって言います」
「僕は長山治です」
 お互い自己紹介した。その時、さりの護符が光った。
「皆を瞬間移動させるわよ。気を付けてね」
「はい!」
 尾藤、さきこ、長山はその場から消えた。

 かよ子達藤木救出班は一人の女性と相対していた。
「お前、俺達の敵だな!」
「あら、何かしら、貴方達は?」
 女性は話しかけられた相手を確認する。子供が五人、大人が二人、そして老人が一人だった。そして一人の少女を見る。
「あら、貴女のその杖、赤軍が貰ったんじゃないのかしら?」
「あ、あれは偽物だよ!」
「偽物?じゃあ、貴女の杖は本物なのね?」
 女性は確認した。
「私がその杖を貰おうかしら」
「嫌だ、渡さない!」
「なら、力ずくで貰うわよ!このアントワネットがね!」
 アントワネットはハープを取り出した。
「静粛の音楽を!」
 アントワネットに対してかよ子は武装の能力(ちから)を発動させた。しかし、防ぎきれなかった。杖の使い方を表した本の一節を思い出す。

【音に杖を向ける事で音および相手に刺激を与える音波を操る事ができる】

 かよ子はハープの音に杖を向けた。かよ子の杖からも音が奏でられる。その音がアントワネットを攻撃する。しかし、アントワネットのハープに勝てなかった。
「効かない・・・!?」
「愚かね。この赤軍とやらから貰った道具があるのよ」
 アントワネットはとある道具を見せびらかした。
「な・・・!!」
「皆、あの機械を狙って!」
 のり子の人形・キャロラインが指示する。
「うん!」
「その機械、壊させてもらうぞ!」
 椎名が機械の破壊の為に水の玉を発動させた。関根も機械を刀で斬ろうとする。大野も草の石の力で草の剣を出し、ブー太郎も水の石で激流を出し、まる子もまた炎の石で火炎放射した。のり子の人形・キャロラインもまた自身の念力で機械を壊そうとする。
「貴方達皆本当に愚かなる事。そんな事でこの道具を請わせると思っているのかしら?」
「何!?」
 皆はアントワネットの機械を対象に攻撃したはずだった。しかし、何も起こらない。
「私はこの便利な道具を三つも持っている。さらに強くなるし、ファッションリーダーでもあるこの私のドレスは鎧よりもかなりの強度なのよ!」
「何だと!?」
「私を止められると思ったら大間違いよ・・・」
 そしてアントワネットに睨まれてかよ子達は硬直した。隣に住む高校生男子の威圧の能力(ちから)と同じような、いやそれ以上の強さに恐れをなした。
「あ、ああ・・・」
 かよ子達は一瞬のうちに気絶してしまった。

 フローレンスは様子を見る。
「藤木茂君救出班と敵がぶつかりましたわね」
「ええ、かよ子達、大丈夫かしら?」
 まき子は不安になった。
「その敵はかなりの強力で厄介な相手ですわね。それにその人と闘っていました私達の仲間が倒されました」
「その仲間っていうのは?」
 奈美子が聞いた。
「マリア・テレジアです。彼女の孫娘でありますマリー・テレーズは私達の世界の人間なのですが、テレジアの娘であり、テレーズの母上でありますマリー・アントワネットは戦争主義の世界の人間となっております」
「『ベルサイユのばら』とかいう漫画に出てくるあのハプスブルク家の?」
「はい、その通りです」
「でも、私はあの人結構美人で優雅だと思ったのに・・・」
 りえの母はそう印象を持っていた。
「確かに華やかな生活をしていました事は確かです。しかし、自分ばかり贅沢をしていまして貧困に喘ぎますフランスの国民達の怒りと非難を買いますことになり、革命が起きますとオーストリアへの逃亡を計画しますが失敗に終わりまして処刑されましたのです。戦争主義の世界の人間の長はその自己中心的な性格を買われて彼女をこの世界に呼び寄せましたのでしょう。そしてアントワネットは自分の娘を私達の世界から引き抜きます事を画策しています」
「引き抜き?そんな事できるの?」
「本来私達の世界と向こうの世界では相容れませんので無理です。ですのにアントワネットはそれでもテレーズを無理矢理自分の味方にしようとしています。此方も幾度も追い払ってはいますのですが、非常にしつこく、さらに厄介でなかなか倒せていませんのが現状です」
 その時、フローレンスの通信機がブーッ、と鳴った。
『こちらイマヌエル』
「はい、フローレンスです。どうしましたか?」
『情報が来ていると思うがパリ・コミューン達やテレジアが倒された』
「はい、私も承知しております」
『だが、テレジアが持っていた宝剣は孫のテレーズに引き継がせた。生前の世界の人間も連れて戦わせていると言って助け合ってくれと頼んだら引き受けてくれたよ』
「テレーズがテレジアの宝剣を使おうとしていますのですか?」
『その通りだよ。フローレンス、一応本部守備班の一部もアントワネットとの戦いの現場に向かってはいるが君には次郎長一派に藤木茂救出班への援護を呼び掛けてくれるかい?』
「畏まりました」
 フローレンスはまき子達に告げる。
「では、私は援軍を求めに行って参ります」
 フローレンスは瞬間移動の如くその場から消えた。
(かよ子・・・!!)
 まき子は娘がやられない事を祈るのみだった。

 テレーズは進む。祖母が自分の為に残した宝剣を持って。あの憎き母の思うがままにされたくない。臆病な自分を捨てて闘志を向き出す。
(お母様・・・。おばあさままで殺して・・・。許しませんわ!!)

 アントワネットは勝利を確信した。
「これで終わったわね」
 アントワネットは気絶したかよ子達をハープの音で殺生して留めを刺そうとした。だがその時、ボールのような物が飛んで来てアントワネットのハープを吹き飛ばした。
「だ、誰なの!?」
 アントワネットは見回した。
「俺達だよ」
 別の人間が三人、アントワネットの後ろにいた。本部守備班の尾藤海斗、長山治、そしてさくらさきこが援軍に駆けつけたのだった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「作動しなかった機械」
 まる子の姉や長山、そして尾藤、さらには次郎長一派が援軍に現れ、かよ子達に加勢する。そして形成はかよ子達の方に傾く。と思いきや、アントワネットにはまた別の手を使用してかよ子達を追い詰めようとして・・・!? 
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