おっちょこちょいのかよちゃん
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146 炎を操る暴君、ネロ
前書き
《前回》
長山は本部守備班でありながらかよ子達の藤木の救出のサポートをフローレンスから求められる。長山は神通力の眼鏡で藤木の場所を居場所を探知するが、彼は女性達と温泉で楽しんでいるという、その温泉のある東北東へとかよ子は目指す事になる。そして出発しようとする時、いきなり本部に敵が現れた!
かよ子の父は一人の朝食を寂しく思った。
「はて、母さんやかよ子は大丈夫だろうか・・・」
そして新聞を見る。一面の見出しは・・・。
【三木首相、赤軍の要求を拒否】
「首相が拒否した?」
記事の内容を読む。
【1月20日夜、三木首相は日本赤軍政治委員・足立正生と吉村和江がいる中、都内で記者会見を行った際、憲法九条の改正を行わない事を明らかにした。政治委員の足立と吉村はその場で失神し、以後行方が分からなくなっている。なお。赤軍のもう一つの要求である異世界の護符、杯、そして杖を引き渡す要求には応じた模様】
(護符、杯、杖を引き渡す要求に応じた?いや、かよ子が持ってた杖は本物だ。つまり、赤軍が持っているのは偽物という事になる・・・)
かよ子の父は今後、ある事を懸念した。異世界の敵か赤軍がこの家を襲うのか、もし異世界の人間達の計画に気付いたならば向こうの世界を戦場に奪取しに行くのか・・・。
目の前に一人の男が立ちはだかった。
「何だ、こんな所にウジャウジャ人がいやがって・・・。燃やされに来たのか?」
かよ子はこの男に少し恐れをなした。
(こ、怖い・・・、強そう・・・)
「この地を乗っ取りに来たな?」
イマヌエルは男に問う。
「ほう、嬉しい話じゃねえか。こっちの世界の長もいてくれるとはな」
男は見た。
「これは・・・。杖に護符に杯じゃねえか!赤軍の奴等に渡ったと思ったがな」
「本部守備班!迎撃だ!他の皆はここから離れるんだ!」
イマヌエルは命じた。
「山田、あの羽根を出すブー!」
「う、うん・・・!!」
かよ子は羽根を取り出した。
「み、皆、乗って!!」
かよ子は藤木救出班に乗るよう呼びかけた。ブー太郎、大野、まる子、のり子、警官の椎名歌巌と関根尚雄、そして友蔵が飛び乗った。
「やい、杖、逃がすか!」
男は逃げるかよ子達を向けて火炎放射した。
「ギャー!炎じゃあ~!」
友蔵は怯えた。
「させるか!」
椎名は玉を出して大水を噴射する。しかし、椎名が出した水は炎に飲み込まれた。
「水が効かないだと!?」
「ここはボクちゃんが!」
関根は刀を上から下に振った。炎が振った刀によって軌道が下に向かった。藤木救出班は去った。
「私達も行くわよ」
「はい、奏子ちゃん、羽衣を!」
「うん!」
奏子は羽衣を出すと、魔法の絨毯のように広がり、剣奪還班も去った。
「ふん!」
杉山は急いで走り去った。
「ちょっと、杉山君っ!どこ行くのよっ!」
「あ、りえちゃん!」
りえは杉山を追った。りえの友達も追う。
「冬田さん、だっけっ?その羽根で私達を乗せてっ!」
「ええ!?う、うん・・・」
冬田はりえに頼まれて羽根にりえ達を乗せて飛び立った。
「やい、杯持ちの小娘も逃げんのか!」
男はりえの方向にも火炎放射をした。りえは杯を向けた。炎の精霊・サラマンダーが現れた。しかし、男の炎が強く、瞬殺されてしまった。
(効いてないっ・・・!?)
りえは驚く。そして男にかなりの恐怖感を持った。そして領土攻撃班も総員去り続けた。本部守備班が残った。
「あんたの相手は私達よ!」
さりが叫んだ。
「んー?」
男は見た。
「ほう、護符は俺様にくれるというのか。そんなら貰うぜ。テメエら揃ってこのネロ様の燃えカスとなりな!!」
ネロと名乗った男は火炎放射をした。さりは護符の能力を発動する。水が激流となってネロに襲いかかった。
「バーカ!!俺様の炎に水なんぞが聞くかよ!」
ネロが出す炎は水を容易く打ち消してしまった。
(水が効かない炎なんて・・・)
さりは先程の椎名の迎撃の水も炎で打ち消されたのように耐水性のある炎があるのかと驚いた。
「ヒヒヒ・・・」
さりは恐怖を感じた。そして守備班全員も動けなくなる。
「ネロとか言ったわね。アンタはこの本部を焼き尽くす気なの?」
「ああ、そりゃそうさ。俺様は建築の天才でもある。もっと美しいものに建て替えようじゃねえか」
ネロは火炎放射した。さりは護符を使用する。見えない結界がネロの炎を弾く。
「そんなもんが通用するかよ!」
ネロの炎はあっさりとさりが張った結界を燃えつくした。
「これでテメエらは火達磨だ!ぐわははは!!」
「こいつ!」
一人の中学生がボールを蹴り飛ばした。しかし、ネロに当たらず、そのまま撥ね返された。
(こうなったら・・・!!)
長山が神通力の眼鏡を使用する。火の手に囲まれた皆を瞬間移動させた。
「逃げても無駄だぜ。この赤軍の奴等から貰ったコイツでな、さらに前よりも調子いいんだ!」
ネロは機械を見せびらかした。
(あの機械か・・・!!)
長山は機械に念力を掛けた。そしてネロの持つ機械は一瞬で破壊された。
「およ!?」
さり達は恐怖心がなくなっていった。
「ふん、種明かししたのが命取りね。水が効かないなら・・・!!」
さりは護符の能力を発動する。岩石や砂がネロに向けて発射される。
「やられるか!」
ネロは炎を出す。炎は獅子に変化した。岩石を噛み砕く。そして一人の男子高校生が持っていた銃、女性が持っているブレスレットで多くの土砂でネロや炎の獅子を生き埋めにした。
「お、おおーーー!!」
ネロは土砂で埋められて叫び声をあげた。
「やった・・・」
ネロを倒したのかとさりは思った。しかし、土砂の山から炎が現れ、土砂を吹き飛ばした。ネロは平気で立ち上がった。
「これで俺様を倒したつもりか?」
(だめだった・・・!!)
「うらあ!」
ネロは火炎を鞭のようにしてさりに襲い掛かった。さりは慌てて武装の能力を発動させて己を守る。
「やめろ!この!」
一人の男性がネロを持っていた刀でネロを斬ろうとした。
「邪魔だ!」
しかし、ネロの火炎放射を受け、それを払うのにやっとだった。
(あいつ・・・!!)
さりはネロに近づかれた。
「女!何が何でもテメエを燃やしてやる!」
「ふ、ふざけんじゃないわよ!」
さりはネロに飛び込んだ。
「ほう、そっちからくれるのか。有難いな・・・」
ネロは相手から降伏してくれたかと思った。と、その時、何かが腹部に刺さった。
「うお!?」
「これは燃やせなかったみたいね・・・。もう終わり・・・よ!」
護符の所有者はあるものをネロから引き抜いた。金剛石の槍だった。それはさりが護符の能力を通じて出したものだった。
「何!?俺様が、やら、れ・・・た・・・?」
ネロは光と化した。
「これでやっつけたの・・・ね?」
「ああ、間違いない」
イマヌエルが現れた。
「イマヌエル・・・。どうして戦いに参加しなかったの?」
さりは聞く。
「済まない、君達の戦いを見たかったのとあまり私が前線に出ると相手の手の内が知られてしまうからなんだ。名古屋で君が襲われそうになった時も、杯の所有者が赤軍や東アジア反日武装戦線に襲われた時もネロが持っていた赤軍が発明した機械を破壊したが、その時も気付かれずに壊したんだ。ただ、クリスマス・イブの時の君の名古屋での戦いでは君のお姉さんの旦那によって呼ばれた身だから前に出てしまったが・・・」
「そうだったの・・・」
「さあ、誰か皆にネロを倒した事を報告してくれないか?散らばった皆も君達が無事か不安に思っているに違いない」
「わ、私がやるわ」
杉山の姉が名乗り出た。支給された通信機器を取り出す。
「こちら本部守備班。先程襲ってきた男は倒しました。全員無事です」
「こんな戦いが始まるのか・・・」
さりは呟くと、別方向で戦いに行った二人の姉と弟のように可愛がった従弟の無事を祈った。
移動中のかよ子は通信機器で報告を聞いていた。
「杉山君のお姉さんの声だ・・・。あの『敵』を倒したんだって・・・」
「そっか、良かったね~」
「お、お姉ちゃんは、お姉ちゃんは大丈夫なのかい!?」
友蔵はかよ子に迫った。
「全員無事って聞いたから大丈夫だと思います・・・」
かよ子は友蔵を暑苦しく思いながら返答した。
「お姉ちゃん、良かった、良かった~!儂がまる子の方に着いて行ったばっかりにお姉ちゃんの傍にいてやれなくて!」
友蔵は涙を流した。
「アンタ、大袈裟ですよ。それに戦いは始まったばかりです」
椎名が忠告した。
「ああ、すまんかった、すまんかった・・・」
その一方、杉山の姉が報告したという事でかよ子は急に杉山の事が気になった。
(杉山君・・・。どうしてるのかな・・・?)
アントワネットは機械から赤い光が放ち、そして消えた事を確認した。
(ネロが倒された・・・?仕方ないわね、あの男、結構単細胞だったから・・・)
そしてアントワネットは本部の陣地内を突き進む。娘を捜す為に。
(テレーズ・・・、もう次こそ私に抗ったら容赦しないわよ!!)
後書き
次回は・・・
「姿を消した杉山」
かよ子達は東北東の方角へと進もうとするも、直ぐ近くに敵が接近していた。一方、りえは一人で勝手二遠ざかっていく杉山を追いかけようとする。その時、杉山は一体何を考えるのか・・・。
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