レーヴァティン
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第二百十五話 渡河その二
「そうしてな」
「王国との戦を終わらせますね」
「ああ、一戦で片付くなら」
それならというのだ。
「それに越したことはない」
「それでは」
「これからですね」
「そうして戦って」
「そのうえで、ですね」
「王国を完全に降す」
「それでパリに入城だ」
敵の首都にというのだ。
「そうするな」
「わかりました、それでは」
「敵が集結して決戦を挑んでくるなら」
「それでよし」
「左様ですね」
「そうするな、じゃあ川を渡るぜ」
久志は笑みを浮かべて指示を出した、そうしてだった。
ライン川を船を使って渡った、大軍を多くの船を用いて一気にそうさせてだ。そうしてからだった。
川の西岸からだ、彼は全軍に告げた。
「ブリュッセルに入るぞ」
「騎士団領でしたが」
「今は我が帝国の領土ですね」
「そうなっています」
「騎士団が降った今」
「あの街に入って拠点にするんだ」
王国との戦のそれにというのだ。
「森は通らないな」
「アルデンヌの森ですね」
夕子が言ってきた。
「あの森は大軍が通るには」
「どうもな」
「難しいです」
「だからな」
それでというのだ。
「あそこは通らないでな」
「そうしてですね」
「ブリュッセルに進んで」
そうしてというのだ。
「あらためてな」
「そこからですね」
「ああ、パリを目指すな」
「そしてパリの北東にいる王国軍とですね」
「決戦だ」
「王国との最後の戦ですね」
「それを行ってな」
そうしてというのだ。
「雌雄を決するな」
「それでは」
「敵の自慢の騎兵隊は主力は潰したけれどな」
それでもというのだ。
「まだ残ってるだろ」
「残存戦力が」
「その騎兵隊もな」
「降しますね」
「そうしてやるさ、こっちにも騎兵隊があってな」
馬には馬、その論理でこう言った。だが久志は目には目だけでなく耳も鼻も口も向ける人間であるのだ。
だからだ、こうも言ったのだった。
「鉄砲も術もあってだ」
「大砲も空船もあります」
「敵もそういうのを出してきても」
「それでもですね」
「こっちの方がな」
「数も質も上です」
夕子も言った。
「それも遥かに」
「前の戦でもそうだったが」
「次もですね」
「その利点を使って戦う」
「そうしますね」
「そうするな、じゃあライン川の水利も使って」
補給や輸送にそうしてというのだ。
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