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イベリス

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第十六話 ゴールデンウィーク前にその九

「困るわね」
「そうよね」
「気に入った曲だけ歌う」
「それでも多いのよね」
「アニソンもね」
「しかも名曲多いでしょ」
「無茶苦茶多いのよね」
 まさにとだ、咲は愛にまた応えた。
「これが」
「アニソン侮れずよ」
「昔のもそうで」
「今だってね、私スパロボに出て来るみたいなね、いや」
 愛は自分の言葉を訂正した、そのうえで咲に話した。
「出て来た作品の曲がこれまたね」
「凄くいいわね」
「昔の曲も今の曲も」
「どっちも」
「そうなの、それで今歌えるアニソン三百あるかも」
「三百全部一度には歌えないわね」
「まあ五十曲歌えたら」
 愛は笑って言った。
「いいわね」
「いや、それだけ歌ったら喉痛くない?」
 五十曲と聞いてだ、咲はどうかという顔になった。そのうえで愛に話した。表情が独特なものになっていた。
「流石に」
「そうね、歌えたらね」
 五十曲はとだ、愛もそれはとなった。
「かなりね」
「一人で五十曲歌っても」
「相当ね」
「普通に三時間かかる?」
「速くしてもかかるわね」
 一曲一曲そうしてもというのだ。
「普通に」
「そうよね」
「やっぱり五十局は無理ね」
「そうね」
「まあそれでもある程度歌う」
「三百曲の中から」
「そうしましょう、アイドルの曲もで」
 そしてというのだ。
「アニソンもね」
「歌うのね」
「それとね」  
 愛は真剣な顔でこうも言った。
「演歌もね」
「いいの」
「そうなの」 
 これがというのだ。
「味があるのよ」
「演歌ね」
 咲は演歌については考える顔で答えた。
「私演歌はね」
「歌わないの」
「歌おうと思ったこともね」 
 その時点でというのだ。
「ないわ」
「そうなのね、けれどね」
「演歌もいいの」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「だから一度歌ってみたら?」
「私もなの」
「一曲や二曲ね、あとクラシックもね」
 こちらのジャンルもというのだ。
「いいのよ」
「クラシックなの」
「そう、こちらもね」
「クラシックってシューベルト?」
「歌劇よ」
 こちらだというのだ。
「それの曲がね」
「いいの」
「そうよ、だから機会があればね」
 その時にというのだ。 
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