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八条学園騒動記

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第六百二十四話 茶道をしてみたその十

「どっちにしてもってことね」
「歴史には名前が残っていたよ」
「それは避けられなかったのね」
「うん、ただね」 
 菅はさらに言った。
「それが悪名になったのはね」
「極端なことをしたから」
「安政の大獄なんて起こしたから」
 その為にというのだ。
「悪名高き独裁者になったんだよ」
「その評価を受けたのね」
「頑迷で時代が見えていない人ともね」
 井伊直弼にはこの評価も存在しているのだ、兎に角幕末の歴史においてこの人物は最大の悪役の一人になっているのだ。
「言われてるけれど」
「その評価も」
「極端なことをしたから」
「それでってことね」
「うん、まあ自分がしたことだから」
 菅は冷静な声で述べた。
「自業自得と言えばね」
「そうだね」
「自業自得になるわね」
 スターリングも蝉玉も言った。
「安政の大獄引き起こしたから」
「それじゃあね」
「沢山の人死罪にしたし」
「しかも幕府の慣例を破ってまでして」
「幕府を守る為にそうしたから」
「本末転倒だしね」
「だから同情する人もいないんだ」
 菅はきっぱりと言った。
「あの人にはね」
「生きていた時から今に至るまで」
「そんな目に遭って殺されても喜ばれている」
「そんな人生どうかっていうと」
「絶対に嫌ね」
「そんな人生歩くなら」
 菅も言った。
「埋もれていた方がいいかも知れないね」
「そうね。歴史に名を残しても」
 彰子も言った。
「それでもね」
「そうした残し方だとね」
「正直よくないわ」
 スターリングも蝉玉も彰子に応えた。
「英雄とか聖人なら兎も角」
「独裁者とかね」
「それも悪名高いとか」
「絶対に嫌だよ」
「大抵の人はそうだね。僕もね」
 菅も言った。
「いい風ならいいよ」
「歴史に名前が残るなら」
「それならね」
「まだ松永久秀さんはいいよ」
 菅は戦国時代の三悪人の一人の名前も出した。
「この人だと」
「ある意味立派よね」
 七海が応えた。
「この人も茶道やっていたけれど」
「結構ロックな生き方だったね」
「確かにね」
 菅のその言葉に頷いた。
「色々やって最期もね」
「茶器に火薬入れて火を点けて爆死だから」
「これもね」
「ロックよね」
「悪事をしても毛利元就さんよりましだったし」
 この英傑よりもというのだ。
「この人もっと悪いから」
「そうだったの」
「謀略ばかり使って」
 その為謀神とさえ言われていた。
「そしてね」
「悪の限りを尽くしていたの」
「城兵を助けるって騙して誘い出して」
 このことは史実にある。
「皆殺しとか」
「それ立派な悪人ね」
「千人単位でね。何度かしてるし」
「一度や二度じゃないの」
「伊達政宗さんも有名だけれど」
 ある城を撫で切り、皆殺しにしたという話がある。
「どうもこれはね」
「してないの」
「敢えて派手に言って」
 そうしてというのだ。 
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