銀河で夢を
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第二章
「宜しければです」
「その本を読んで」
「宇宙を旅されてはどうでしょうか」
「わかりました」
スゴモは八条に微笑んで答えた。
「では一度です」
「銀河鉄道の夜を読まれますね」
「そうさせてもらいます」
「あまり長くない作品でして」
八条は今度はその銀河鉄道の夜自体の話をした。
「また読みやすい作品です」
「そうなのですか」
「ですからすぐに読めて」
そしてというのだ。
「心にも残るので」
「お薦めですか」
「宇宙のことを考えずに読まれても」
そうしてもというのだ。
「楽しめます」
「では」
「はい、読まれて下さい」
「そうさせてもらいます」
スゴモは八条の言葉に頷き次の日は仕事が早くに終わったので仕事帰りに本屋に寄った、そしてだった。
その銀河鉄道の夜の文庫本を買った、連合の公用語である銀河語の訳でありその本を家に帰って読みはじめると。
同居人であり地球にある大学に研究員として勤めている妹のマサ姉とよく似た外見である彼女に言われた。
「銀河鉄道の夜?」
「知ってるの」
「日本文学ね」
こう言ってきた。
「名前は聞いたことあるわ」
「そうなの」
「ええ、それを読むのね」
「今からね、長官に薦められて」
「八条長官ね」
「あの方にね」
「あの方は本当に奇麗なお顔してるわね」
妹は八条の話になるとこうも言った。
「よく言われているけれど」
「俳優さん並よね」
「ええ、国防省でももてているでしょ」
「女性スタッフだけでなく男性スタッフからもね」
「やっぱりそうよね」
「あのお顔でしかも紳士で穏やかで」
人柄の話にもなった。
「よく気がついてくれるし公平でね」
「しかも政治家としても優れているから」
「尚更ね」
「人気があるわね」
「とてもね」
そうだというのだ。
「あの人は」
「それその長官さんからなのね」
「薦められてね」
「今から読むのね」
「そうするわ」
こう言ってだった、ソガモはその銀河鉄道の夜を読んだ。文庫本に収録されている他の作品も読んだ。そうしてだった。
読み終えてから妹に言った。
「確かに名作だったわ」
「そうだったのね」
「銀河を列車で旅するなんて」
このことを言うのだった。
「夢があるわね」
「今は宇宙船で普通に出来るわよ」
千年前からだとだ、妹は姉に答えた。
「もうね」
「けれどそれを二十世紀前半にね」
「人類がやっと飛行機に乗りだした頃ね」
「その時代になのよ」
「書いていたのね」
「だから」
それでというのだ。
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