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【自作イラスト追加しました】ちゃちゃっと絵を描く能力で世界最強!~追放されたい俺を女神さまが放してくれない~

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不味いポーションは死ぬほど不味いらしい

 帰ってきたリセやマナ達は特に争ったような服装はしていなかった。
 息が乱れている形跡すらない。
 ちょっと散歩にいって帰ってきたというような様子だ。

 しかも誰かを連れ帰って来ているわけではないので、実際には転移ポイントには敵が待ち構えていた、というわけではなかったのかもしれない。
 ただの杞憂に終わったのだったらいいなと思いながら、

「それでどうだった? 特に何も…」
「もちろん全員倒して診療所送りにしてきたわ」

 笑顔で答えたリセに俺は、何を言っているんだろうと少し考えてから、

「服も乱れていないし、戦闘してきた風にも見えないぞ」
「思ったよりも弱かったし、ギルドマスター・ダイトさんもいたもの。それに…」
「それに?」

 聞き返す俺に悪役令嬢なリセは、いかにも【悪役】のような悪い笑みを浮かべて、

「殴って気絶させていいってダイトさんが。そんな【やわ】な育て方してないからって。だから【か弱くて可憐な】令嬢の私はとっても【怖かった】ので、先手必勝でボコボコにしてきたわ」
「……ソウデスカ」
「因みにダイトさんが何人倒せるか競争だぞ、というのでついうっかり」

 そう恥じらうように頬に手を当てるリセを見ながら、このリセ一人で、俺がいなくても全ての【運命】を切り開けるのではないかというような、根拠のない確信が持てた。
 なので安心して他の転移者に彼女達の全てを罪悪感なく押し付けられそうだと思った。
 と、そこで俺の表情から何かを読み取ったらしいリセが怒ったように、
  
「ちょっと、いま失礼な事を考えたでしょう」
「い、いえそんな……それで、マナはどうでしたか」

 そう思ってマナの方を俺が見るとマナは苦笑して、代わりにリセが、

「あの子も行ける口だったわ」
「え?」
「マナも手伝ってと言ったら何人か仕留めたし。自分の力で闘えるわ」

 どうやらこのマナという少女も戦闘向けの能力ではないが、戦えはするらしい。
 よしよし、このマナも二人に押し付けてしまえばより安全性が高まり俺が必要無くなるなと一人納得しているとそこで、ギルドマスターのダイトさんが、

「もっとも殴って気絶させてから【洗脳】系の魔法を解こうと思ったんだが、その転移場所は20人くらいは距離を少しとって入れる小屋なんだが、突入する前にそこの……リセだったか、彼女に頼んで先にその場所にいる全員の【状態異常】を回復させてもらったはずだったんだが、突入した瞬間襲われたから殴ることにしたんだ」
「解除できなかったのですか?」

 俺は自分たちの能力で解除できない【洗脳】系統の魔法があるのかと戦慄する。
 それに関しての対策をどうしようかと俺が思っていると、ダイトさんが首を振り、

「確か異世界転移者の能力は【概念】に近いから、解除は出来ただろうと踏んだ。次に俺が考えたのは絶えず洗脳し続ける装置のようなものがあると考えた。俺は洗脳・催眠耐性がレベル98と高いから問題ないし、異世界人は元からそのあたりの能力【も】異常に高いというか、この世界と一部【隔絶】しているから大丈夫なのでそのまま突入して全員倒して、能力をステータス・オープンして【洗脳】を確認して、リセとマナに回復してもらったんだが…」
「だが?」
「すぐに【洗脳】は回復した。しかもその場所に洗脳を上書きするらしい魔道具は無く、とするとその場所の近くになるが、それを探している時間もない。となると回復しなくなるまで洗脳解除という事になる。何度も性能、ここでいう洗脳を再生する魔法というのは理論上はみた事があるが実際にやれるとなると書物でしか俺はみた事が無い。魔王関連だ。そしてそれは数十回と回復しても解けなかったという記述を見た事もある。しかし個別となると大変だから、もしかしたら洗脳を一括して命令する装置のようなものがあるかと思って探しに行こうとしたんだが、今度は気絶したまま全員おれ達を襲ってきて、逃げて手伝ってくれる人員を増やすか、傷つけてでも拘束するかと俺が思った所で……そちらのリセのおかげで必要無くなった」

 そこでどこか頭が痛くなったようにダイトさんが頭に手を当てて黙る。
 するとリセが楽しそうに、

「この世界の人って、毒耐性とかそういった能力の……枠? みたいなものの個数が殆ど固定されているそうなの」
「へ~、それと何の関係が?」
「リョウが言っていたとおりよ、書き換えじゃなくて付加。持っている能力はは洗濯できても枠は増やせないみたいだけれど、特にその人達に負担はかけず、その枠を使わないで【いくつも】能力が付加できるみたいなの」
「え、この世界の人達には最高の能力じゃないか」
「でしょう? とりあえず、状態異常解除・継続と、洗脳耐性と、速度レベル20を追加しておいたわ」
「前の二つは分かるが、残りの一つは?」
「面白そうだからつけてみた。特に問題はなさそうよ? 逃げ足も速くなっただけで」

 と笑うリセを見ながら、なんとなく勝手に肉体改造された気もするが、便利そうだし、状態異常解除なら冒険者ならば誰もが欲しいだろう。
 ただ、

「その耐性は、魔力を使用するといったものは無いのか?」
「耐性とかそういった本人の【能力】だから、魔法が最適化されてほとんど魔力の使用に影響はないみたい」
「そうなのか。でもそれなら何で診療所に? 回復魔法は使えるんだろう?」
「ダイトさんが、勝手に洗脳されるとは何事だ、との事で診療所に送ったわ。……洗脳した相手とどう接触したのかを知りたいから、治療と称して保護して、これから調べるそうよ」
「なるほど」

 色々考えるなと感心しているとリセが嬉しそうに

「でもこの能力、それには私も驚いたわ。いい使い方が見つかったもの。貴方が言ったとおりね」

 そう俺に言う。
 あまりにも嬉しそうな笑顔に俺が照れ臭くなった所で、俺は悲鳴を聞いたのだった。







「いやだ、いやだ、いやだ、アレを飲む位なら死んだ方がましだ!」
「うるさい! いい年した大人が、薬ぐらい飲めなくてどうするんだ!」
「あれは別格じゃないか! あんな不味い物……」
「おい、怪我をしているとはいえ暴れているから拘束しろ! そして飲めるよう口を開かせろ!」
「いやだぁあああああああ」

 そんな声を俺は聞いた。
 何事かと思ってそちらを見ると、怪我をしたらしい大男の冒険者が、担架で運ばれながら……ギルドのテーブルの上に降ろされて、今、何人もの冒険者に拘束されている。
 その間わめき続けているが、それを見てダイトが、

「また怪我をしたのか。ポーションが美味しいからって油断しすぎだ。丁度いい薬だろう」

  呆れたように言う言葉を聞きながら、そういえばそんなような話を前に聞いたようなと俺が思い出していると、その間もその冒険者は、

「美味しいポーションがあるから、多少の怪我はってなったんだ! あれを飲む位なら、挑まなかったんだぁあああ」

 などと叫んでいる。
 それがこう、俺からするとあまりにも気の毒だったため、

「あの~、今回は美味しいものを差し上げてよろしいですか?」
「ん? あの貴重品というか試供品を持っているのか? みんな欲しがって争奪戦になってはいるらしいが…」
「俺が作ったものですがそんなに好評なんですか?」
「製造元!?」

 驚いたように声をあげるダイトに、知らない間に俺のポーションはどうなっているんだと思ったものの、今まさにその不味いポーションが飲まされそうになっていたので、

「よろしいですか?」
「あ~、あるならまあ。その代わりそう簡単にポーションは渡さないでくれ。今度から全員たるんでいて怪我をしてきてばかりいるから、ほとんど不味いポーションにいる予定だしそれに……製造元さんがここにいるって事は今後供給されないかもしれないからな」
「ぎくっ」

 含みのある言い方を俺はされたがそれ以上追求されなかった。
 だが長居は無用だ、次のスローライフ候補地への移動を考えておこうと俺は心の中で決めて、許可も取ったのでその怪我した泣きわめく冒険者たちにそっと瓶を取り出して、

「あの~、よろしければこれを。味のいいポーションです。もも味です」

 そういって差し出すと、全員が一瞬で俺の方を見た。
 無表情での視線は正直怖かったが、その中で一番真っ先に正気に戻ったのはその毛がwした大男で、俺から瓶を奪うと一気に飲み干し、

「! 効いて来た! しかもうまい! この桃の味!」

 と叫んでいた。
 味自体は季節にとれる高級品の味を思い出しながら作ったので、みずみずしく果汁が噛むとあふれ出て甘く芳醇な香りのするあの【もも】のイメージだ。
 どうやら異世界人の口にもあったみたいだ、と俺が思っていると、そこで目の前でその冒険者を取り巻いていた一人の男が、その冒険者にぷすっと注射をした。

 そうするとすぐに昏倒して、そのまま今度はその冒険者を連れて、ギルドのベッドのある場所に連れていこうとしているようだった。
 そこで注射をした人物と俺が目が合うと彼は、

「暴れた時用の麻酔薬です」
「……ソウナンデスカ」

 短くそう会話して彼も去って行った。
 なんでこん睡させたのだろう? そういえば前にコジローがと俺が思い出そうとしていると、

「こん睡させないとすぐに調子に乗って冒険に行くからな。優秀な俺のパーティの一人でもあるんだが、すぐ調子に乗る。まああれは不味いポーションを飲むのに暴れた時用だったりするがな」
「そうなんですか。でもそんなにポーションは不味いんですか?」
「そうだぞ? 死ぬほど不味いぞ。むしろ死んだ方がましと思う不味さだぞ」

 と真面目に俺はダイトに返されて困惑した。
 ただあれを作った時、女神さま達も大騒ぎをしていた気がする。
 作った当時、ポーションが美味しい事にそんな大騒ぎすることなのかと思った記憶がある。

 そしてどう作ったのかを再現してその魔法、つまりは紙に俺のチート能力で描いた魔法を分析したらしいのだが、驚くほど均一で太さも同じで所々細い線も微細なレベルでずれが無く、吐息などのも含め、線を描く人間からくる不純物要因すらも? 無くて、その他色々な要素が素晴らしく【安定】だから実現した相当高度なものだから味がいいらしい。
 微妙な線のずれとかそういったものがポーションの味に影響しているそうだ。
 それの影響がほとんど無い所か操って味や香りをつけまで簡単にできるあたりが、異世界人の固有魔法(チート)の異常な凄さであり想像もつかない部分であるらしい。

 もっとも出来るのだから、この世界の人間でもいずれ再現できる魔法の一つであり、何故か女神様直属の神官たちが乗り気で研究していた記憶がある。
 よほどこの不味いポーションは重要な課題だったのだろう。

 俺がそうんな風に一人納得しているとそこでダイトさんが、

「まあれだが、一応はパーティーメンバーの一人だからな。下手すると純粋な力技に関しては俺もかなわないし」
「ギルドマスターなのに自分より強い人を?」

 なんとなくギルドマスターというと全てに秀たりする強い人間だったりしそう……このダイトという人も見ているとそんな気がすると思ったので聞いてみると、

「ふむ、なるほど。足を引っ張ってその地位から落としてそこに自分が入り込む椅子取りゲーム式を合理的とするか、共闘関係や仲間にして戦力を増やすのを合理的ととるか、自分を磨いてそいつを超えていくのが合理的と盗るか…好きな方を選んでいいぞ
「どれも合理的じゃないですか」
「どんな事でも、幾らでもいいようはある、という事だ。まあ戦略の一つに、【無能を持ち上げて有能を叩いて、無能が出世するようにして……国力を落としてから、侵略する】という方法も昔はあったし、一般レベルでもそういった戦法を敵が使ってくることがあるからな」
「こわいですね。使ってきたらどうするんですか?」
「人の意見は参考程度にして、いい人材だと思ったら付き合っていき、様子を見て、【どう捕まえておくか】考えておく。それによって協力関係になるか、仲間になるか決めればいい。パーティ運営をする資質があるなら、そちらで人材を育てて後々協力関係を結ぶ方が【使える人間】が増える。人のいう事をうのみにせず、情報を集めて自分で考えて、時には訂正しないとな」

 と、ダイトさんが言っている。
 実際に話してみるとイメージという思い込みに捕らわれているのがとてもよく分かるな~と思っている。
 そこで、ダイトさんが呼ばれてどこかに行ってしまったのでリセたちの所に俺は戻ると、

「リョウ、作った魔道具貰ったわよ」
「リセ、ん? 皮ひもがついてる?」
「全部つけておいたわ。これではぐれた時でもなんとかなりそう。それに複数個って運がいいわ」
「……はぐれるフラグに聞こえるな」
「物語じゃないんだからそんなフラグないわよ。多分」

 そういいながら全員首にペンダントをかけているので俺も首にかけておく。
 ただこういった装飾をみえる場所につけておくのに抵抗があったので服の中に入れる。
 と、そこでマナが、

「でもそういえば、戦闘に特化したしばらく私を保護してくれた異世界転移者さん、美味しいポーション幾つも持っていましたよ。これが美味しいおかげで心がくじけずに済んだって、言っていたのを聞きました。今は美味しいポーションが作れるのは量産だけなんですよね?」
「どうだろう? 生産できる人ならほかにもいそうな気がするが……」
「女神フェリル様の認証印がついていたそうですよ」
「じゃあ俺のかもしれない。生産系の人は他の女神にとられたって悔しがってたし。異世界転移者は、早い者勝ちらしいからな」
「そういえば紙に書かれた魔法陣みたいのも使っていたみたい。また新しく注文しないとと言っていたし。最近手に入るこの道具凄く重宝するって言ってたよ」
「……多分大量に在庫も置いておいたから大丈夫だと思う。そ、それよりも他に何かなかったか? おれ達に共通する話題みたいな」
 
 とりあえず罪悪感のようなものが湧いてきそうだったので、俺はマナの話を別の方向に変えようとした。
 そこでマナが小さくうなってから、

「あと共通しそうなのは、悪役令嬢リセと聖女クレアが出てくるゲームのヒロイン、ルナちゃんがいたくらいで……」

 そこで反応したのはリセだった。

「待って、ヒロインそんな所にいたの!?」
「は、はい」
「……食事と魔力の関係について証明すると言って、数多の大食い大会を全て食いつぶしに行ったとかいう、私の知っているヒロインと違う! を時でいきやがったヒロインがいたの!?」
「は、はい」
「……でもヒロインはいるし私の知っているゲームでは出てくるはずなのに、【いない】、でも悪役令嬢の最悪なフラグは全部……それこそヒロインがらみなのに立てられているって……やっぱり【敵側】に乙女ゲームの情報を持っている奴いるとしか思えないわね」

 リセがそういって深々と嘆息したのだった。 
 

 
後書き
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