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救急車に乗って病院まで

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第一章

               救急車に乗って病院まで
 ブラジルのリオグランデ=ド=スル州在住のアンダーソン=バビ眼鏡をかけた黒い目と金髪で濃い髭の彼はこの時仕事が終わって家まで車で帰路についていた、だが。
 そこでだ、あるものを見て車を降りてそこに行って事情を聞いた。
「どうしたんですか?」
「いや、それがね」
 人だまりの中にいる一人が問われて答えた。
「人が急に倒れたんだよ」
「そういえば」 
 ここで人だまりの真ん中を見てみるとだった。
 そこに救急車があってだった。
 倒れてる男性がいた、そしてだった。
「ワンワンワン!」
「犬か」
「あの犬がなんだよ」
 その犬を見つつ話した。
「飼い主の人から離れないで」
「それでか」
「救急車に担ぎ込もうにも」
 倒れた飼い主をというのだ。
「どうにも出来なくて」
「困ってるんだな」
「そうなんだよ」
 そうした状況だというのだ。
「これが」
「それだったら」
 バビはここで知恵を出した。
「犬も一緒に乗せてあげればいい」
「救急車にかい」
「犬は飼い主に忠実だから」
 それ故にというのだ。
「そうするからだよ」
「だからか」
「そう、ここは」
 さらに言った。
「そうしてあげるべきだ」
「それ救急員に言ってくれるか」
「今からな」 
 バビの返事は一も二もないものだった、そして。
 実際に救急員にそのことを提案すると彼等は最初難色を示していたが彼の説得を受けてそれならとなった。そして。
 犬も救急車に入れた、この時バビは自分の連絡先を救急員に知らせたが。後日病院の方から彼に言ってきた。
「そうですか、治療を受ける部屋の前で」
「犬はずっと待っていました」
「そうでしたか」
「幸い飼い主の方は四十五分くらいで退院出来たので」
 それでというのだ。
「犬は飼い主の方と無事にです」
「帰れましたか」
「そうなりました」
 こう言うのだった、バビもその話を聞いてよかったと思った。
 バビはこの話から暫く後でだった。 
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