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家族になった狼達

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第一章

                家族になった狼達
 ロシアのボルゴグラードで自動車工場を経営しているアリダ=ゴルチャコワはこの時夫のアレクセイと共に動物の保護施設に来ていた。二人共髪の毛はブロンドだが夫が大柄で逞しい身体をしていて妻は小柄だ。目の色は夫は黒で妻はアイスブルーだ。
 二人の前に今四匹の生まれたばかりの狼達がいる、夫は妻に話した。
「狼から犬になったんだ」
「それじゃあね」
「ああ、ちゃんと育てるとな」
「犬と変わらないわね」
「最近工場の周り変なのがうろついているからな」 
 夫はだからだと話した。
「その連中を工場に入らせない為にな」
「お金取られるからね」
 妻も言った。
「部品とかも」
「犬だと舐められそうだし」
「だから狼だとな」
「外見だけでも怖そうだし」
「今は俺達で何とか守ってるが」
「先のことを考えたら」
「番犬が欲しいだろ」
 それでというのだ。
「ここはな」
「この子達を家族に迎えて」
「工場の番犬になってもらおう」 
 自宅のすぐ傍にあるそこにというのだ、自宅の番犬も兼ねてそれでこの子達を飼おうというのである。
「そうしよう」
「それじゃあね」
 妻も頷いてだった。
 そうして四匹の狼達を引き取った、四匹共色は灰色で雄が三匹雌が一匹だった。雄はキラ、アスラン、ディアッカと名付け雌はカガリにした。
 七歳の息子、父親を小さくした様なフョードルにも事情を話して狼の習性を常に詳しく勉強しながらだった。
 四匹を育てていった、すると一年も経つと。
「ワン」
「ワンワン」
「ワォン」
「ワフゥッ」
 四匹は一家に懐きかつだった。
 狼ということでおかしな者は噂を聞いただけで近寄らなくなった、だが。
 四匹共大人しく愛嬌のある性格で人間好きだった。それで夫はそんな彼等を見ながら妻に笑顔で話した。
「狼はな」
「ええ、犬とね」
「実は変わらないからな」
「ちゃんと勉強して育てたら」
「しっかり懐くんだ」
「そうよね」
「ああ、ただな」
 ここで夫はこうも言った。
「この子達はな」
「ええ、人に飼われていた母親が捨てられて」
「そのすぐ後に産まれたらしいな」
「それで母親は」
 母狼はというと。
「捨てられて傷付いて塞ぎ込んでいて」
「子育てどころじゃなくて」
「ほったらかしにされていたな」
「この子達はね」
「だから俺達がな」
「あの子達の親ね」
「それで母親は今は動物園で幸せだそうだし」
 その母狼のことも話した。
「俺達はな」
「この子達を幸せにしていきましょう」
「そうしていこうな」
 笑顔で話したのだった。
 一家は幸せに暮らしていった、そして。
 一家が住むボルゴグラードで一家の様に狼を飼っているアレクセイの友人でもあるイヴァン=ストコヴィッチのアパートに行くとだった。
「ワン」
「ワンワン」
「ワフォッ」
「ワンワンッ」
 二匹のグレーと白の狼が黒と茶の二匹のダッグスフントと室内で遊んでいた、ストコヴィッチはその彼等を見つつ笑顔で話した。 
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