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イベリス

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第十四話 反面教師その九

「それでね」
「破滅しますね」
「結局自分にもいいことよ」
「誰かを護ることは」
「誰かを護ろうと思って護る人こそね」
「護られるんですね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうした人こそね」
「それが世の中ってことですね」
「そして人間よ」
「人間ですか」
「人間なら誰かを護る」
「そうあるべきですね」
「それをしようとしないなら」
 自分だけならというのだ。
「もうね」
「破滅しますね」
「そうだと思うわ、だからいいわね」
「私もですね」
「護っていってね」
「そうします」
 咲は笑顔で答えた。
「モコも自分の安全も」
「そうしていってね」
「どれもですね」
「全てを守ろうとすると何も守れない」
 こうもだ、先輩は言った。
「誰かが言ったわね」
「ええと、フリードリヒ大王ですか」
「あの教科書に出て来る」
「あの人の言葉とネットで見た気がします」
「そうだったの」
「はい、物凄く戦争に強い人でしたね」
「そうそう、教科書だとね」 
 勉強する限りではというのだ。
「あの人はね」
「戦争強いですよね」
「立派な宮殿建てて」
「色々ある人でしたね」
「音楽も好きでね」
「結構中二病設定くすぐりますね」
「そういえばそうね」
 先輩は咲のその言葉に頷いた。
「この人って」
「それでその人の言葉ですか」
「全てを守ろうとするとね」
「何も守れないですね」
「ええ、けれど自分と家族を守る位はね」
「普通は出来ますよね」
「相当危ない状況でもないとね」
 こう咲に話した。
「戦争とか大地震とかね」
「そうした状況でないと」
「あとお家が滅茶苦茶で」 
 それでというのだ。
「もう家中でDVが荒れ狂ってるとか」
「それ最悪ですね」
「そんな状況でもないとね」
「今の日本ではですね」
「そうそうないわよ」
 自分も家族も守れない様な状況はというのだ。
「全部守れないとか」
「本当にそうですね」
 咲もその通りだと答えた。
「そんなことは」
「そうそうないわよ」
「だから私自身を守って」
「ワンちゃんもね」
 モコもというのだ。
「ちゃんとね」
「そうしていきます」
「将来お母さんになるんだし」
 このこともあってというのだ。 
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