魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第67話 文化祭(前準備)
「やっと来れたな………」
ここの所本局が忙しくなり、学校に中々行けなくなっている。
原因は最近起こってる連続研究所襲撃事件である。
だけど襲われた研究所の殆んどがあることさえ知らなかった研究所ばかり。
何か上が絡んでいそうで胸くそ悪いが、命令なので従うしかない。
恐らくその内警備にも駆り出されるだろう。
誰がやっているのか分からないがはた迷惑な事だ………
そしてもうひとつ気に入らない事がある。
それは本局の魔導師以外は警備をしないことだ。
上は本局だけでどうにかするつもりみたいで、陸など他の機関に全く要請を出していない。
しかも本局の武装隊以外も例外らしく、他の部署はいつも通りと、初めて本局の武装隊に配属して失敗したとこの時つくづく思った………
「おはよう」
「あっ、神崎君」
一時間目を遅刻してやって来た久し振りの学校。
だけど教室はいつもの活気はなく、男子はまるで葬式のように静かだった。
それもその筈。
今日は高町達3人は仕事で来ていない。
しかも同タイミングで有栖家の面々も休み。
これは確かにテンションが下がる。
何せこのクラス自慢の美少女達だ。
これは俺だってテンションが下がる。
「駄目だ、ちょっと出てこよう」
クラスの雰囲気に耐えられなかった俺は教室を出た………
「おお、自称モテイケメン〜」
廊下を暫く歩いてるとピンクの髪の女子が声をかけてきた。
隣には菊地カナタがいる。
「確か、ウェンディだったよね?」
「おお〜流石女たらし、チェックは万全っスか〜?」
「別にチェックしなくてもアンタは有名よ………」
確かこの前は体育館の時計をファンシーな奴にしたんだっけ?
この子は転校してきてから色々な伝説を作っている。
いつもその尻拭いをしている、零治と加藤、そしてこの子には少し同情する………
「いや〜照れるっスね〜人気者は辛いっス〜」
「先生には問題児として見られてるでしょうけど………」
それでも一緒に居てあげているこの子もウェンディの事が嫌いでは無いのだろう。
「それで、何か用なのか?」
「いや、面白い顔で歩いてたんで話しかけただけっス」
「あ、アンタは………」
「それじゃあっス!」
「あっ、待ちなさい!!先輩ごめんなさい!!」
さっさと行ってしまうウェンディを慌てて追いかけていった菊地。
「………何だったんだ?」
暫くフラフラしていると、荷物を高く積んだ佐藤が前にいた。
「手伝うか?」
「うん?ああ、バカ。助かるわ、お願い」
俺は中間辺りから受け取る。
「アンタ、今日は来てたのね」
「ああ、最近忙しくてね」
魔法の事は知らないだろうから詳しくは言えないけど………
「そう、それは災難ね。これから文化祭って時にそれじゃあクラスで浮くんじゃない?」
「なるべく出れるようにするよ。………それより今日はどうしたの?有栖家のみんなが休みみたいだけど………」
「ああ、確か家族会議って言っていたわ。喧嘩でもしたんじゃない?仲がいいと思ってたから聞いたとき驚いちゃって………」
………確かに珍しい。
俺から見ても有栖家の面々は喧嘩するようにも見えないし、争うような事も無いと思ったのだけど………
「まあ明日には学校に来るでしょう。あれ?まさかあの中の誰かでも狙ってた?」
「いや、そんな事は無いが………」
「止めておきなさい、彼女達は兄さん一筋だろうから………」
そう言う佐藤の顔は少し悲しそうだった。
「それよりアンタのクラスは出し物決まったの?」
「いや、まだみたいだ。明日の放課後に話すってバニングスが言ってた」
「そう………それにしても………」
そう言って俺の顔を見てくる佐藤。
何かついてるのか………?
「アンタ、女子のみんな苗字で呼ぶことにしたでしょ?」
「ああ、零治に言われてから反省してな。特に高町達には悪いことをした………」
まあ苗字が同じ有栖家の人達や、イーグレイの妹達は名前で呼んでいるが………
だけどフェリアからは未だにイーグレイと呼ばないと怒られる。
「まあ良い心がけだと思うわ。だけど私は名前でいいわよ。佐藤って一杯いるから名前で呼んで貰った方が助かるわ」
「そうか、ならこれからは加奈って呼ぶな」
「ええ、それでお願い」
そんな事を話していると彼女のクラスについた。
「助かったわ、ありがとう」
「別に構わないよ」
そう言って俺は自分のクラスへと戻って行った………
佐藤加奈。
前の俺があんな行いをしていたのにも関わらず、唯一普通に接してくれる女子。
高町達とは未だにギクシャクしてたり、他の女の子は遠くから見ているだけで、こんな感じに普通に会話なんて出来ない。
俺にとって貴重な話し相手の一人だ。
ズバッとした性格で容赦ない。
だけど言われないと気がつかない俺にとって彼女の意見はとてもありがたかった。
零治からは我侭で高飛車だって聞いたことがあるが、そんな感じはしない。
まあなんでこんなに長々と説明しているのかと言うと………
「今日も彼女と話せたな………」
段々彼女に惹かれてきているからだ………
家族会議した次の日、俺達は普通に学校に来ていた。
アギトはメガーヌさんの所であずかってもらう事にした。
「さて、今年の文化祭の出し物決めるわよ!」
アリサが教卓に立ち、みんなに話す。
しかし………
「ちょっと、聞いてる!?」
男子は特に興味がなさそうだった。
勝手にぺちゃくちゃ喋っている。
「ねえレイ、文化祭ってどんな感じ?」
「俺は去年サボっただろうが………お前も一緒にいたのにもう忘れたのか?」
「ああ、そうだったね」
ライが苦笑いで言った。
彼女達の前の学校では文化祭は無かった。
昔の生徒が問題を起こしたらしく、それ以来文化祭を行わない事にしたらしい。
なのでライだけでなく、夜美や星も楽しみにしていた。
「しかし、進まないな………」
夜美は呆れた目で騒いでいる男子を見る。
ギャーギャー騒ぐアリサが少し不憫に思えてくる。
バン!!!
「みんな静かにしよう………ね?」
机を叩き、みんなの注目がなのはに行く。
なのはの言葉を聞いた男子は凍ったかのように座って動かなくなった。
流石魔王………
「零治君………?」
「な、なんでもない!!」
アイツ口に出してないのに、何で気がつくんだよ!?
俺の事絶対色んな意味で狙ってるだろ………
「ありがとうなのは。さて、それじゃあ何をやりたいか聞くからみんな意見出して」
そう言ってクラスのみんながそれぞれ意見を出していった。
「さて、色々出たけど………取り敢えず、メイド喫茶とキャットファイトは却下ね」
「「「「「「「「「「ああ〜!!!」」」」」」」」」」
当たり前だ。
だけどどっちも捨てがたかった………
「それで後は………喫茶店、お化け屋敷、人形劇ね。取り敢えず何がいいのか周りの人と話し合ってみて」
さて、前の二つは定番だから分かるが、人形劇とは………
神崎、気持ち悪いぞ。
「レイ、僕お化け屋敷が良い!!お化け屋敷だったら助っ人も呼べるし」
「本当にとんでも無い事になるから絶対やってはならんぞ!!」
慌てて止める夜美だが………
「面白そうじゃないか?」
「そうだね、本物の幽霊がいるお化け屋敷なんて無いから面白くなりそう」
「なっ!?」
予想外の俺とすずかの反応に夜美は少し驚くが、「なるほど」と呟き、直ぐに納得した。
だけど、一応冗談だからな?
「絶対にだめです!!断固反対です!!」
いつの間にかこっちに来ていた星が一生懸命反対を主張している。
「私料理は得意ですし、はやてがいればかなり人気の喫茶店が出来ると思います。なので私は喫茶店を支持します!!」
「なるほど、だったら俺はお化け屋敷で。」
「私も」
「我も」
「僕も」
「みなさん!?」
すずかもしっかり空気を読んでくれました。
「それじゃあ、今年の文化祭の出し物はお化け屋敷に決定ね」
星の頑張りも虚しく、お化け屋敷に決まってしまった。
星は机に突っ付している。
驚かせる方なんだからそんなに絶望的にならなくてもいいと思うんだが………
「よし、そうと決まったら今日早速お願いしてくるね!」
「マジで連れてくる気だったのかよ!?」
「当たり前じゃん!!本物がいた方が面白いでしょ?」
「連れてきたら俺達が必要無くなる」
結構お化けをやって驚かすのも面白かったりするのに………
「確かにそうだね」
すずかも俺の言葉に賛同した。
「ううっ………分かったよ」
これで大丈夫だろう。
流石に自分がつまんないと分かればライだって連れてくる事はないだろうし………
「それじゃあ今日から早速準備を始めたいと思うんだけど………」
「その前にちょっといいか?」
話を切り上げようとしていたアリサに話しかけた。
そのまま教卓の前に行く。
「何零治?」
「生徒会からなんだが、文化祭当日、男女逆転祭りというイベントを考えていてな、それについてみんなの意見を聞いてきてくれって言われたんだ。イベントの内容は当日、男子は女装、女子は男装をするっていう言葉通りの内容だ。今から紙を配るからYESかNOに〇してくれ。それによってやるかどうか決めるから」
流石に男子はYESに〇しないだろ………
桐谷と協力して何とかアンケートまでこぎつけた自分を褒めてやりたい。
「書いたら回収するから」
さて、どうなる事やら………
「お〜いこっちに頼む!」
さて、3日経って本格的に文化祭の準備に入った。
アンケート結果はまさかの60%超えで賛成。
儚い希望だった………
「了解。フェイト、そこのダンボール取ってくれ」
「ええっと………はい!」
「サンキュー」
今日から本格的にお化け屋敷の準備がスタートする。
必要な物を買出しに行ったり、暗くする為にダンボールを敷き詰めたり、衣装を作るために裁縫したり。
みんなそれぞれ頑張っている。
「いくよー!!」
「いいで!!バッチこいや!!」
訂正、遊んでいる奴も中にはいるわ………
「アンタ達は遊んで無いでさっさと手伝いなさい!!はやては裁縫、ライは買出しでしょ!?」
「分かっとるよ、この勝負が終わったらやるとこやったんや」
「そうだよ、負けられない勝負があるんだ」
「そんなの知らないから早く取り掛かりなさい!!」
アリサは我慢できず、怒鳴りちらして2人はそれぞれの仕事へ戻っていった。
「零治」
「どうしたフェリア?」
「悪いがこっちの上にもダンボールを貼って欲しいのだが………」
「分かった、今行く」
こんな感じで準備も割と効率良く進んでいった。
「あっ!!」
「どうしたのですか?」
とうとう文化祭まで後二日と言うときに、家でくつろいでいた俺はふとアリサに頼まれていた事を思い出した。
「アリサに頼まれてたものを買ってくるの忘れてたわ。今から買いに行ってくる!」
「あっ、私も行く!!」
アギトが手を上げてこっちにやって来る。
「そうか、なら一緒に行くか」
「ああ!!」
俺とアギトは上着を取り、玄関に向かう。
「気を付けてくださいね」
「ああ、分かってるよ」
「じゃあ行ってくるな〜」
「行ってらっしゃい〜」
最後はライに見送られ、家を出た。
この時はまさかあんな事態になるとは思ってもいなかった………
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