レーヴァティン
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第二百十二話 急襲その七
「使うな」
「そうだな、軍隊に金を使うのは北朝鮮と同じだな」
正はそこはと述べた。
「そこはな。しかしだな」
「むしろ金は内政に使う方が多いだろ」
「帝国はな」
「そうだろ、まして自分の贅沢の為にとかな」
「ないな」
「とてもな」
全くというのだ。
「だからな」
「それでだな」
「北朝鮮みたいな金の使い方が間違ってもしないさ」
「狙ってもだな」
「むしろ出来た奴が凄いな」
かえってというのだ。
「そう思うぜ、しかし反面教師としてな」
「頭に入れておくな」
「そうするな」
「そうしておくことだ、有り得ないまでに愚かな奴や国のことも知っておく」
正は冷静な顔でワインを飲みつつ言った。
「それもいいことだ」
「ああはなるまいだな」
「そうだ、寓話に出る様な連中でもな」
「頭に入れておくことだな」
「そういうことだ、それでだが」
正はさらに言った、ここでだった。
全員メインを食べ終えてデザートに移った、そのデザートは苺や桜桃であり。
まずは桜桃を食べてだ、正は言った。
「連合軍は野営してだ」
「今は戦うとかはだな」
「考えていない」
「そうなんだな」
「決戦に向けて気は逸っているが」
それでもというのだ。
「夜いきなりだ」
「空船から攻撃を受けるとはか」
「考えていない、だからな」
「夜襲には最適か」
「今夜はな」
まさにというのだ。
「仕掛けるべきだ」
「そうした日か」
「こちらの空船の方が技術は上でだ」
正はこのことを指摘した。
「空船の速度や一気に飛べる距離もな」
「こちらの方が上だよな」
「だが敵は空船のそうしたことはな」
「自分達を基準に考えているか」
「だからここまで来ることはな」
連合軍はというのだ。
「想定していない」
「だから俺達の空船での夜襲もか」
「考えていない」
「じゃあ余計にいいな、やってやるか」
久志は目を鋭くさせて述べた。
「今夜は」
「それではな」
「ああ、行くぜ」
夕子に留守を任せてここにいる星の者の殆どと共にとだ、こう話してだった。
久志は食後暗くなった中でだった。
全ての空船を動かしそこに乗り込んでだった。
出陣した、そして夜空を進みながらだった。彼は周りにいる兵達に対して確かな声で語ったのだった。
「いいか、場所はわかっている」
「だからですね」
「ここはですね」
「静かにそこに向かい」
「灯りもですね」
「出すなよ」
絶対にというのだ。
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