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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第65話 ユニゾンでの模擬戦、零治VS桐谷

『さあ2人共、準備は良いかい?』

俺は白い空間に桐谷と向かい合って立っている。
どちらもデバイスを展開して………

「俺はOKです」

「俺も大丈夫。アギトは?」

「アタシも大丈夫だ!」

『よし、それなら始めようか。せっかくだし思いっきりやりたまえ』

「よし、アギト行くぞ」

「おう!」

「「ユニゾン、イン!」」








「ユニゾン率?」
「ああ、ユニゾン出来ても相性と言うのがあって、それによってマイナスだって事があるんだよ」

あの後、スカさんがウーノさんを止め、ドゥーエさんは開放された。
正座の影響で足がピクピクしていたが、後が怖いのでいたずらをするのは止めといた。

そして、それぞれ楽にしているのだけど………

「アタシと零治の相性は最高だ!」
「まあ悪いとは思わないけど………」

事実、魔王炎撃波や、覇道滅封はカードリッジを使わずにも威力が上がったし、アスベルが使えない剣技も使えた。
相性は決して悪くないと思うんだけど………

「私も悪いとは思ってないよ。ただ、どれくらいかは測定するに越したことはないだろうと思ってね」

確かにスカさんの言うことも分かる。
調べておけば、もしかしたらシグナムよりも相性がいいかもしれない。

「そうだな、ならお願いするよ」
「分かった、なら相手は……トーレなんかどうだい?」
「どうだって言われても………」

今は酒飲み終わって寝てるんじゃないか?

「ドクター」

「何だいドゥーエ?」

「トーレならさっきキッチンから酒を持って自分の部屋に行きましたよ」

「また!?全くあの子は………ドクター、トーレを説教してきます」

「ウーノ、お手柔らかにね………」

スカさんはびびりながらウーノさんに言ったが、本人は聞こえているかどうか………
トーレさん、どうか安らかに………

「さて、そうなると相手はチンクかディエチだね。どちらも近距離で戦闘するタイプではないからね。チンクはオールラウンドで戦えるけど………」

とスカさんが色々と考えてる時だった。

「………なら俺がやりましょうか?」

こっちにやって来た桐谷が俺達に提案してきた。

「ジェイルがつくってくれたデバイスがどんなものかも見てもらいたいしな。それに………」

俺を見て、

「誰かさんのせいで俺はいつもとばっちりを受けてるからな」

ヤバイ、あの目は殺る気満々だ………







そんなことがあって今に至ってる。

『それでは二人共順備はいいかね?いくよ、レディ………ゴー!』

スカさんの掛け声と共に一斉に駆ける。
しかし似合わないなスカさん………

「抜砕竜斬!」
「舞朱雀!」

高速で出し合った2人の技は、直撃した瞬間に動きが止まる。

「くっ!?」
「ちぃ!!」

『何だよコイツ!?凄い威力あったぞ今の技!!』
『アギト、研究所の様にはいきませんから気を引き締めなさい!!』
『いちいち言われなくても分かってるよ!』

「お前らいいから集中しろ!!」

桐谷には力じゃ敵わない………

「はあっ!!」
「くっ!?」

桐谷に力ずくで吹き飛ばされ、少し体勢を崩す俺。

「そのまま逃がさん」

俺めがけて更に斬りかかってくる桐谷。

『やべ!?こなくそ!!』

追撃にかかってくる桐谷に俺の体から現れた炎が包み込む。

「くっ、何だコレ!?」

『ご主人様落ち着いて!!これはただの目眩しです』

そしてミズチブレードで炎を払った時には………

「零治がいない!?」

「覇道……滅封!!」

『マスター!!』

「!?ちっ!!」

『バリアフィールド!』

桐谷はすかさず左腕を向かってくる炎の衝撃波に向かってかざし、フィールドを発生させ、止める。
だが………

『マスター、バリアが………』

「何とか持たせろ!」
「だがそれだけじゃない!!」

『ソニックムーブ!!』

俺はバリアを展開している桐谷の後ろへ移動し………

「ラグナル!」

『カードリッジロード!』

鞘から薬莢が1つ飛び出す。

「獅吼爆炎陣!」

炎を右手に纏い獅子の衝撃波を出し、少しジャンプして上から斬りつけた。
そして、その場から爆発が巻き起こる。

「ソニックムーブ!」
『はい、ご主人様!』

桐谷は衝撃波を受ける瞬間に後ろにステップ、衝撃を和らげただけでなく、その勢いのままソニックムーブで逃げやがった………

「簡単には仕留めさせてくれないか………」

『やるな桐谷………』
『流石ですね………』



「ったく、1つ1つの技の威力が高すぎる………」

『化け物ですね流石ユニゾンって所ですか………どうしますか?フルドライブの起動はまだ不安がありますし………』

「いや、あえてやるぞ」

『ご主人様!?』

「光刃閃でいく」

『………分かりました、なら全力でサポートします』

「ありがとう、頼む」






「何か仕掛けてくるな………」

『どうするんだ零治?』

『それは私のセリフです!!あなたが聞くことじゃありません!!』

『何だとー!!』

『何か文句でも?』

「お前らな………」

何でこいつらはこんなに仲悪いかな………
俺的には仲良くして欲しいんだが………

「それより2人共………」

俺は今考えてる事を2人に伝えた。

『何だそれ?』
『マスター、私は反対です!相手は絶対大技で来ます!!それなのにぶっつけ本番は危険過ぎます!!』

「俺は自信があるんだけどな………アギトはどうだ?」

『アタシはよく分からないけど、アタシは零治を信じる!!』

「ラグナル、2対1だ」

『私はどうなっても知りませんからね!!』

それ以降黙ってしまうラグナルだが、それでも協力してくれるだろう。
後はどれだけ力があるかだな………



「よし、行くぞ零治!!」

「来い桐谷!!」

「セレン、フルドライブ!」

『はいご主人様!!』

全身に青い魔力光が纏う。

「行くぞ!!」

動きだした瞬間………
桐谷の姿が消えた。

「つっ!?ラグナル!!」

『ブラックサレナ!ディストーションフィールド展開!!』

俺の試したい事、それはラグナルの普段の姿以外で相性はどうなのかだ。
ぶっつけ本番で試すことでも無いのだけど、こういう展開は燃える!

「はあああああああ!!!」

大きい桐谷の咆哮と一緒に何度も俺を斬り向けてくる。右、左、右、左………
その1つ1つが鋭く、速くて、ブラックサレナだと対応出来ない。

「くっ…がっ!?」

『うぁ………』
『マスター、アギト!?』

くっ、やはりいきなりは甘かったか!?
ただ、ユニゾンしてのブラックサレナは成功みたいだ。
姿はブラックサレナのままだが、肩や、腕の関節、、背中、ふとももと色んな場所から炎が吹き出している。

これなら推進力も上がってそうだし、技の威力も上がってそうだ。
だが…………

「ぐっ!?」

防御が少し脆くなってる気がする………
さっきから普段よりダメージを受けてないか?
それとも単純に桐谷の技の威力が高いのか?

どちらにしても………

「このままじゃ負ける………」

フィールドももう崩壊寸前。
どうするか………

「アギト………」

『な、何だよ………?』

アギトも苦しいのだろう。
それほど桐谷の攻撃は鋭く、隙が無い。

「炎でシールドを張れないか………?」

『シールド………?』

「フィールドは破られる寸前………それしか手はない!」

『分かった、やってみる!』

「何を話したか知らないが、これでフィニッシュだ!!」

斬り抜いた後、振り向き際にジャンプする桐谷。

「光刃閃で沈め!!」

『フレイムシールド!』

「何!?」

いきなり現れた炎の壁をミズチブレードが上から一閃する。

「ナイス、アギト!!」

『まさか本当にうまくいくなんてな!!』

「このまま突っ切るぞ!ラグナル!!」

『突貫します』

俺は桐谷に向かって突貫する。
やるのは1つ。

「ディストーションアタック!!」

全面にフィールドを展開して、そのまま桐谷に突貫した。







「く、くそ………」

「惜しかったな」

「くそ、フルドライブが完全だったら………」

『すみませんご主人様………』

「セレンのせいじゃないよ」

只今桐谷は治療中。
さっき決まったディストーションアタックがモロに直撃。
そのまま吹き飛んで、壁にめり込んでしまった。

おかげさんで今はフェリアに治療してもらってます。

「ユニゾン率はラグナルフォームの時が85%、ブラックサレナが70%だったね」

「フォームによって違うのか」

『だからブラックサレナの時は装甲が普通より薄かったのですね………』

「それでも推進力と攻撃力はかなり高くなっているね。シールドもある分、そこまで問題は無いんじゃないかい?」

「確かにそうだな………」

だけどそれが無くなるとキツくなるな。

「後は、もう一つのフォームだね」
「アーベントか………」

実は桐谷を吹き飛ばした後、アーベントも試してみた。
しかし、アーベントにはなることが出来ず、気まずい空気が流れた。

結構気合入れていった分かなり恥ずかしかった………

「理由は分からないけど、ユニゾンとは相性が悪かったって事だね。私としては興味があるから調べてみたいんだけど………」

『ぜ、絶対に嫌です!!』

「ほら、こんな感じで私は嫌われてるから………」

苦笑いしながら暗くなっていくスカさん。
もう諦めるしか無いと思う

「で、アギト君の事はどうするんだい?」

「………アギト、お前人になれるよな?」

「なれるけど、それがそれがどうした?」

「それなら大丈夫か………なあアギト、家に来るか?」

「えっ!?」

「家にはお前みたいな境遇の子もいるし仲良くなれると思うんだけど………」
「行く!!絶対に行く!!」

もう即答。
まあ元々俺の事をロードと言って聞かなかったし当たり前か………

「ただし、家にいるとき以外はその小さい姿でいることは禁止!それと、お客さんが家に来たときも禁止な」

「何で?」

「地球にはアギトみたいな奴はいないからだ。もし見つかったら捕まって実験されるかも………」
「分かった、約束は守る!!」

キッチリした返事で返してくれました。

「地球………なんて怖い所なんだ………」

何か勘違いされたかもしれないけど居れば慣れるか。

「ということでスカさん………」

「分かったよ。だけど、管理局に見つからないようにね。まあ魔導師登録して、ユニゾンデバイスを登録するだけで良いと思うけど」

「登録はしたくないから見つからないようにするよ」

さて、後は帰るだけだな。
今から帰れば夕飯には間に合うかな。

「そうだ!夕飯食べて行ってくださいね。今日のせめてものお礼ですから」
「あっ、でも………」
「悪い、俺ジェイルにセレンの整備も頼みたいから………」

そう言えばフルドライブがまだ不完全とか言ってたっけ?
しかしあれであの威力か………

完成したらかなり凄い威力になりそうだな。
流石はスカさん作のデバイスってとこか。

「分かった、それなら星に連絡してくるわ」

俺は、スカさんのアジトのある端末で、家に連絡した
不機嫌だったのが気になるが、問題ないだろう………








「何で!?チンクはアジトに居るんじゃ無いの!?」

夕食の時だ。
箸を使えないドゥーエさんはうどんをフォークで食べていた。

ウーノさん、ドゥーエさんがいるのだからせめてフォークで食べれるものにしようよ………

「済まないな、私はあっちで学校に行っているので帰らなくてはいけないのだ………」

残念そうに言っているが、とても嬉しそうなフェリアだった。

「でも、まだ会ってない妹達も地球に行ってるみたいだし、私も地球に行こうかしら………?」

それを聞いて余裕だったフェリアが一気に顔が青くなった。
それほど嫌か。

「駄目ですよ、ドゥーエにはやってもらいたい事があるので、地球に行くとしたらその時です」

「ぶぅ〜」

「そう言えば私も行ったことが無いな、今度みんなで行ってみようか?」

「「ごっ、ごほっごほっ!!」」

「零治、桐谷!?」

アギトが心配そうに言ってくるがそんな事どうでもいい。
それより………

「地球に………来る?」

「ああ、一度は行ってみたいと思ってね。ダメかね?」

「ダメってスカさんは一応次元犯罪者だぜ?しかも海鳴市には管理局のアイドルがいるし………」

「アイドルじゃ恐怖感無いだろ………」

桐谷がすかさず突っ込む。

黙らっしゃい。
それ以外だと魔王だの、夜叉だの、たぬきとかしか思いつかん。

「まあ対策は考えておくよ。それに長いこと居られないだろうから何かイベントでもある日にするよ」

「イベント………」

「そうなると文化祭だよな………えっ!?」

不味い!?俺達女装するんだよな!?
ふと桐谷を見ると、桐谷も俺と同じことを思ったようだ。

「で、でもスカさん………」

「ドクター、今年は面白くなるみたいだ。セイン達も喜ぶと思うから、みんなで是非来てくれ」

「ああ、楽しみにしてるよ」

「私もチンクの為に絶対行くからな!!」

「私は………」

「クアットロは興味ないよな」

「えっ!?」

「だって学校なんてくだらないって言ってたじゃん」

「ディエチちゃん!?それは勢いと言うか、何というか………」

「お前は言った事を覆すのか?」

「ううっ………トーレお姉さま………」

「諦めなさいクアットロ」

「いや、連れてってあげるからクアットロいじるのは止めなさい」

ドクターの言葉にクアットロは安心したようだ。
だけど、そんなことより…………

「どうする零治………」
「今更来るななんて言えないだろう………」

スカさんファミリーはお客さんそっちのけで盛り上がっている。
この空気をぶっ壊すには勇気が“神級”まで無いと無理だろう………

「見つからないようにしないとな………」

100%無理そうだけど………








「さて、説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「はい、でも………」

只今、家に帰ってきて、床に正座させられてます。
そして目の前には仁王立ちしている家の3人娘。

何故かとっても怒っていらっしゃる………

「ジェイルさんの所で何をしていたのですか?」

「何をって………手伝い」

「ほう…………?」

あの………夜美さん、睨むの止めて欲しいのですが………

「レイはまだ嘘をつくんだね」

「零治は別に嘘など………」

「フェリアは黙ってて下さい」

「はい………」

フェリア弱いな………
だが、フェリアを萎縮させるほどのプレッシャーを3人は放っている。

「そしてこの小さい子は何なんですか?」

「アギト、家の新しい家族」

「アタシ、アギトってんだ。よろしくな」

「また女の子ですね………」
「女の子だね………」
「女の子だな………」

何だよ、アギトの性別が気に食わないのか?

「事情をしっかり話してもらいますよ」

「はぁ………分かったよ」

俺はイスに座り、昨日の電話から今までの出来事を話し始めた………






「またレイは勝手に危ない事を………言ってくれれば私達も」

「それは俺が許さない。お前たちには危ない目にあってほしくないからな」

「レイ、それはエゴだよ」

「違うだろ。それにライ、そんな難しい言葉をよく知ってるな」

「ゲームで覚えた」

「なるほど」

「くだらない話をするな!!それに我もライと同じ意見だ。レイ、この際だからハッキリ言っておく。心配してくれるのも嬉しいが、知らない内に家族が危ない目にあって、はいそうですかと納得出来るほど、我らは物分りが良くない」

「そうです、レイはいつも勝手に何でも決めて………そして一番危ない目にあってる。私達はそれが許せないんです」

「そうだよ!!もっと私達を頼ってよ!!」

「だけどな、今日だって下手したら次元犯罪者の仲間入りになっていた所だったし、残酷な実験の様子を見なくちゃいけない事もあるかもしれない。そんなところにお前たちを連れていけるかよ」

「僕たちだってレイに負けない位強いんだよ!!そんなの乗り越えてみせるよ!!」

「そういう問題じゃない。俺はだな………」

「分かった」

「夜美?」

「レイは我らの事を全く信頼してなかったと言うことがな」

そう言って立ち上がり、自分の部屋に戻っていった。

「私も部屋に戻ります」

「おい、星!」

「僕も」

「ライまで………」

2人も立ち上がってそれぞれ自分の部屋に戻っていった。

「何なんだよ………」

「お兄ちゃん………」

呼ばれたので、そっちを見てみると、キャロが不安そうな顔で俺を見ていた。

「だ、大丈夫だ。すぐに仲直り………」

「お兄ちゃん、お姉ちゃん達の気持ちも考えて上げて。お姉ちゃん達、急にジェイルさんに呼ばれたってしか書かれていなかった紙を見て、とても心配してたんだよ。またレイにだけ負担をかけてるって………」

そのときから怪しいと思ってたのか………

「お兄ちゃんはもっと自分を大切にして。私もそうだけど、お姉ちゃんも今日来たアギトちゃんもみんなお兄ちゃんが好きなんだから。もしお兄ちゃんが居なくなるなんて思ったら、私……………お兄ちゃん、言ってたよね?“絆”があればそれだけで家族だって。今のお兄ちゃんを見ていると、自分で何でもしようとして全然家族の事を無視してるよね?これじゃあ“絆”なんて出来ないと思うよ。えっと……それでね………」

キャロは俺に一生懸命説明しようとしてくれている。
もう十分だよキャロ。
お前の思い、しっかり俺の心に届いた………

「もういいよキャロ、全て分かった。」

「本当に?」

「ああ、今度はちゃんと話し合った上で決めるよ」

「うん!!」

俺の返事を聞くと嬉しそうに自分の部屋に戻っていくキャロ。

「全く、小学生に説教されるとは俺もまだまだだな………」

「済まない………全ては私達が………」

「フェリア達のせいじゃないよ。元々俺はずっとそうだった。アイツらを危険な目に合わせたくないって、俺が勝手に頑張って、待たされてる人達の気持ちなんて考えずな………今回の事でしっかり気づけて良かった」

「愛されてるのだな」

「フェリア、お前も入ってるんだぞ?お前だって、詳しく話さず、俺と一緒にスカさんの所に行ったんだからな」

「うっ、書き残しも簡潔だったからな………」

「明日ちゃんと謝ろう」

「そうだな」

そう言って俺達は笑いあった。

「………なあ零治?」

「何だアギト?」

「アタシも入れるかな?絆ってやつに………」

「もう入ってるよ、有栖アギト」

「!?ああ!!」

その後、アギトは終始笑顔を絶やさなかった……… 
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