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前足のない犬

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第二章

「ワンワン!」
「前よりずっと快適に動いてるな」
「そうね、こっちの方がずっといいわね」 
 両親は車椅子を使って上機嫌に動き回るキュービッドを見て話した。
「だったらなもこれでいいわね」
「そうね、これでね」
 胴体に車輪を付ける形の車椅子で快適に動き回るキュービッドを見てだった、ジョアンも笑顔になった。そして。
 ジョアンはある日大学の友人だったケーティー=ホフマンとジョージの二人の家に遊びに行った、ケーティーはくすんだ金髪でグレーの目のやや太めの女性でジョージはくすんだ金髪で青い目の整った長身の青年だ、二人の家に。
 白い雄のトイプードルがいた、そして。
 チワワとビーグルのミックスでふさふさの白と茶色の毛の垂れ耳の雄犬がいた、随分と明るく人懐っこいが。
 この犬も前足はなかった、そのうえで。
 キュービッドと同じ車椅子を使って快適に動いていた、そしてトイプードルとも仲良く遊んでいた。
「ワンワン!」
「ワンワンワン!」
「貴女のアドバイスを聞いてよかったわ」
 ケーティーはジョアンそしてジョージと一緒にレモンティーとドーナツを楽しみながらそのうえで話した。
「お陰でね」
「それでよね」
「ええ、ロキもね」
 車椅子を使って動いている犬を見て話した。
「ああして元気に動けているわ」
「マーレイとも遊んでいてね」
 ジョージも話した。
「それも仲良く」
「本当はマーレイって気難しくて」
 ケーティーは彼の性格のことも話した。
「不愛想であまり遊ばないけれど」
「ロキと会ってああなったんだ」
「そしてロキは車椅子で動ける様になったら」
「いつもああなんだよ」
「そうなのね、足がなくてもね」
 それでもとだ、ジョアンはキュービッドのことを念頭に話した。
「こうしてね」
「元気に動けるのね」
「それでもだね」
「ええ、どんな子でも」
 例え前足がなくともというのだ。
「私達が工夫すれば」
「それ次第でね」
「幸せになれるね」
「そうよ、だからどんな子でも家族に迎えたら」
 それならというのだ。
「幸せにしてあげないとね」
「家族だからね」
「そうしてあげないと駄目だね」
 ケーティーもジョージもその通りだと頷いた、そしてだった。
 三人でロキとマーレイそしてキュービッドのことを楽しく話した、その後で。
 家に帰ってキュービッドを見た、彼は今も車椅子を使って楽しく遊んでいた。その顔はとても嬉しそうだった。


前足のない犬   完


                  2021・7・19 
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