馬に寄り添う犬達
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第一章
馬に寄り添う犬達
アラバマ州ラファイエット郡で家族で牧場を経営しているカーラ=スウィングルは今困っていた。見れば。
産まれて十日も経っていない白い雄の馬がそこにいた、その馬はなのだ。
「どうしようかしら」
「ああ、本当にな」
兄でやはり牧場で働いているカラフが応えた、二人共背が高く健康的な身体つきだ。兄の髪と目は黒で妹は茶色なのはそれぞれ父と母から受け継いでいる為だ。兄の髪はオールバックで妹はポニーテールである。
「まさかな」
「タイを産んでね」
「母親が死ぬなんてな」
「他の馬、それに牛達のこともあるし」
「タイばかり見ていられないしな」
「うち今人手が足りないから」
だからだというのだ。
「この子まではね」
「手が回らないな」
「誰か育てて欲しいけれど」
「何かね」
「人手を割くか」
「それしかないわね」
難しい顔で話していた、タイはまだ赤ん坊で誰かの手が必要であることはわかっていた。だがそれでもだったのだ。
そうした状況でだ、人手がなく家族もどうしようかと思っていた。だがここで。
牧場で牧羊犬のうちの一匹として飼っているジップ、元保護犬で茶色と白のシェパードに似た大型犬の雄である彼がだ。
「ワンワン」
「ヒヒン」
タイの傍に来た、そしてだった。
いつもタイの傍に寄り添い育てた、何かと教え。
完全に彼の親として育てていた、カーラはそんな彼等を見て兄に言った。
「どうなるかって思ったけれど」
「ああ、ジップが育ててくれてな」
「いいことになっているわね」
「そうだな、種類は違っていても」
「馬と犬でも」
「親子になれるんだな」
「そうね、そしてね」
カーラはさらに言った。
「これからもね」
「ジップはタイのお父さんだな」
「そうなってくれるわね」
「ワン」
「ヒン」
見れば二匹は今も一緒にいる、ジップはタイに寄り添うそのうえでこの上なく優しい目を向けていた。
そしてこの牧場では他にもだった。
犬と馬の組み合わせがあった、見れば。
白く長い毛で耳と顔の上半分が茶色い雄の小型犬がだった。
茶色の毛で顔の真ん中や足首が広い雄の馬と一緒にいる、カーラはその二匹を見ながらカラフに話した。
「ここにもね」
「犬と馬でな」
「仲のいい子達がいるわね」
「そうだな、ただな」
「ええ、この子達は親子じゃないわね」
「友達だな」
「年齢も近い感じだしね」
「そうだな、やっぱりな」
兄は妹に話した。
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