異生神妖魔学園
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女子たちのお泊まり会!でも明日から学校だけどいいの?
連休5日目、最終日の夜。紺子は今ベッドの上で悩んでいた。
なぜか両手足を一海の尻尾ではなく、ロープで縛られて。
紺子(明日から登校日じゃん!何でこいつら『泊まる』って勝手に決めんだよ!しかもご丁寧に旅行セットまで持ってきてやがるし!ていうかこれ何!?何で私を縛ってんの!?)
それは夕食前までに遡る。さあ夕食を作ろうと思った矢先、玄関のチャイムが鳴った。紺子が出てみると、そこにいたのはクラスメイトの仁美、辰美、そして乱。
どういうわけか聞くと、『せっかくの連休で最終日は紺子の家で過ごしたい』というのだ。紺子が混乱する中、一海は紺子の許可なく歓迎。止めようとしたが、もう手遅れだった。
夕食を食べ、入浴を終え、ゲームをした後、今に至る。紺子の横には小悪魔じみた笑みを浮かべる一海、辰美、仁美、乱が立っていた。手にはどういうわけかパイがある。
紺子「ね、ねえカズミン……これほどいてよ。こんなことして何の意味があるの?」
一海「せっかく先輩たちが来てくれたんだし、それに女同士だからみんなで出雲姐ちゃんいじってもいいでしょ?♡」
乱「こんこんのパイまみれの顔いっぱい舐めまくって、チューもいっぱいしてあげる♡」
紺子「お前は何を言ってるんだ?な、なんかみんな……怖いよ……」
仁美「クリーム紺子の味ってどんな味かな~?」
紺子「仁美まで何を―――――」
ベシャッ
それは突然の出来事だった。怯えた表情をしながら言っている最中に目の前が暗くなったこと。顔面全体に何かが引っついたような感じがする。
取ろうと思っても両手足が拘束されているせいで動けない。そればかりかだんだん息苦しくなってきた。こうなれば顔を振って顔面に引っついた何かを取るしかない。
紺子「ンフッ!クフッ!」
紺子の横に何か丸くて薄っぺらい何かが落ちる。それが紙皿であるということにそれほど時間はかからなかった。
紺子は一海にパイをぶつけられていたのだ。
一海「うふふ…出雲姐ちゃんの顔、真っ白♡」
紺子「か、カズミン……お前ぇ……息できなくなったらどうすんだよ……」
一海「大丈夫だよ、その時はまたお腹をくすぐって復活させるから♡」
紺子「んなもん普通できる―――――」
ベシャッ
紺子「んむっ!!」
口封じと言わんばかりにまた顔面にパイをぶつけられる。また息ができず、紙皿を振り落とす紺子。
辰美「もう始めればいいんですよね?一海さん」
一海「うん。けどやり過ぎないように時間を置いてやらないとね」
紺子「バッッカッッ!そもそも何でこうなったんだ!?」
それはゲームをする前まで遡る。これからやるゲームはトランプを使ったものだった。
今からやるのはポーカー。本来なら2人でやるゲームなのだが、特別ルールとして一番強い組み合わせを出した者が5ポイント、2番目が3ポイント、3番目が2ポイント、4番目が1ポイント、一番弱い組み合わせかノーペアを出した者はノーポイント、そしてチェンジは2回までというルールを設けた。
ルールを設け、一海が罰ゲームを提案したのはその時である。
一海「5回勝負して、ビリだった人が罰ゲームを受けるってのはどう?」
紺子「結局やるのか…………で、ジョーカーありってことは?」
乱「ファイブカードも入るってことだね」
辰美「ですが相当運がないとダメですよね?」
仁美「まあまあとりあえずやろうよ~。で、罰ゲームは?」
一海「優勝した人の特権ってことで」
紺子「な、なんとか罰ゲーム回避しないと…………」
1回戦
紺子「に、2と3のツーペア……」
仁美「私はスペード以外4のスリーカード~」
辰美「クラブのフラッシュです」
乱「ハートのストレートフラッシュ!」
一海「勝った。エースとジョーカーを合わせたファイブカード」
紺子「おいおいおいおいおい!?いきなりファイブカード!?イカサマしてねぇよな!?」
一海「バレなきゃイカサマじゃないからね、出雲姐ちゃん…って言ってもイカサマしたことないけど」
2回戦
紺子「負けた……ノーペアだ………」
辰美「あら?私は4が1組、5が3枚のフルハウスですね」
乱「えー?私ハートのフラッシュだった」
仁美「私は7とジョーカーのストレート~」
紺子「………カズミンは?」
一海「スペードのストレートフラッシュ」
乱「カズミン強くない?」
一海「まだまだ序盤だよ。さすがに3回連続はないと思うよ」
紺子「ぐぬぬ……次こそ勝たないと……」
辰美「紺子様、『二度あることは三度ある』とも言いますが………」
3回戦
紺子「よし、スペードとハートの5とスペード以外の4のフルハウスが来た!これで勝てる!!」
辰美「あら?6から10のクラブのストレートフラッシュが来ました」
乱「私は5から9のダイヤのストレートフラッシュ!」
紺子「え゛!?」
仁美「うう~、ハートのフラッシュだったぁ………」
紺子「よっしゃ、やっと1ポイント!!で、カズミンは…」
一海「スペードのロイヤルストレートフラッシュ」
一海以外全員『……………』ポカーン
4回戦
紺子「だぁぁぁぁ!!スペード以外3のスリーカード………!」
辰美「悔しいですね…ノーペアです」
仁美「私、2から5のストレート~!」
乱「やったー!!ダイヤのロイヤルストレートフラッシュが来た!!」
紺子「罰ゲーム決まったわ、これ絶対私だわ。そんでカズミンは………」
一海「あ、ハートのロイヤルストレートフラッシュだ」
紺子「私の運どうなってんの?」
5回戦
乱「ええぇ……ノーペアだったぁ……」
辰美「クラブのフラッシュですわ」
仁美「ダイヤのフラッシュ~」
辰美「まあ…罰ゲームは回避できましたが、紺子様と一海さんはどうなんでしょう?」
紺子「…………カズミンから出して」
一海「しょうがないなぁ、スペードの9からKのストレートフラッシュだよ」
紺子「何で…………?何で負け確定なのに最後の最後で…………エースとジョーカーのファイブカードなんだよ………………」
結果、一海は完全勝利まで行かなかったものの、優勝。紺子が罰ゲームを受けることになった。嫌な予感がした紺子は急いで逃げようとしたが、回り込まれてしまい確保、罰ゲームが執行された。
そして今に至る。今まさに紺子は一海たちによる罰ゲームを受けており、パイをぶつけられていた。
乱「まあ負けたんだから諦めてね、こんこん」
紺子「納得いくかよ!?」
辰美「次は私ですね」
紺子「いや……ホントに待って―――――」
ベシャッ
言い終わらないうちにまたパイをぶつけられる。
この時辰美はパイを2つ持っており、片方は顔面、もう片方は腹めがけてぶつけていた。
紺子「な……何でよりによってお腹ぁ………」
辰美「あら?パンツの方がよかったですか?」
紺子「そ、そうじゃなくて……ひやぁぁぁぁぁぁ!おへそに指入れないでぇ!//////」
辰美はうっとりした表情で紺子のクリームまみれの腹をなでる。そこから現れたのはクリームが入ったへそ。
そんなへそに指を突っ込んでグリグリといじった後、指先にまみれたクリームを舐め取る。
紺子「はぁ………はぁ………お、お腹がぁ……おへそがぁ……ムズムズするぅぅ…………//////」
乱「まだまだパイはあるよ♡」
一海「罰ゲームのためにたくさん作っておいたからね、いっぱい堪能してね♡」
紺子「う……嘘…………だろ…………ねえ、待って……待ってよ………ホントに待っ―――――」
哀れな妖狐の静止もむなしく、4人は紺子めがけて次々とパイをぶつけてきた。4人にとって紺子の静止は『もっとやってほしい』としか聞こえていなかったのだ。
紺子の全身がどんどんクリームにまみれ、どんどん白くなっていく。特に一海は何を思ったのか、紺子にまみれたクリームを拭い取ると、彼女の尻尾に塗りたくった。
必死に抵抗したくてもご存知のように両手足を縛られているせいで全く動けない。尻尾の毛にクリームが絡まり、さらに気持ち悪く感じたのか尻尾だけ全力で動かすという抵抗を試みた。
一海「そんなに尻尾振り回しちゃって……それでもかわいい♡尻尾振り回してるところも、クリームまみれになってるところも全部かわいいよ、出雲姐ちゃん♡」
紺子「かわいいかわいい言うなぁぁぁぁ……!//////」
仁美「そ~れそ~れ~♡」
ベシャッ
紺子「ブゥゥゥ!」
次々とパイをぶつけられていくと共に次々とパイが減っていく。
ようやく収まった時には紺子にぶつけたパイはなくなり、紺子はもはや別人のようにクリームまみれになっていた。
紺子「も…………もう無理ぃ…………もうやめてぇ…………やめてよぉ…………//////」
真っ白になった顔面から懇願する声が出る。紺子の視界をパイで完全に遮られ、鼻で呼吸するのがやっとの状態だった。
辰美「もうパイがありませんよ?」
仁美「じゃあさ、もうペロペロしてい~い?」
一海「まだダメだよ。まだ最後の1個が残ってるもん」
乱「え~?早くこんこんをチューしたいよ~」
紺子「もういいからぁ………これで最後にしてぇ………お腹とおへそがぁ……尻尾がぁ……パンツがぁ……………//////////」
一海「開け、『異世界の門』よ」
ベシャァァァッ
紺子「!!」
とどめと言わんばかりに一海は辰蛇の顔面に激辛麻婆豆腐をぶつけた時、デンジャラス・逃走中の鬼のカミナリオヤジと三角木馬に追い詰められた時と同じあの謎の空間を紺子の真上に出した。
そこから落ちてきたのは巨大なパイ。紺子の懇願もむなしく彼女は尻尾を残して巨大なパイに埋まってしまった。
一海「はい終わり」
乱「え?か、カズミン?」
仁・辰「「……………」」ポカーン
乱の種族はクトゥルフ神話の生物『シュゴーラン』。妖狐の一海が異世界の門を作り出したところを見て思わずポカンとしてしまった。
それは仁美と辰美も同じだった。
乱「み、未完成とはいえ……何でカズミンが『創造の門』作れるの?ていうかいつから使えるようになったの?」
一海「え?心火を燃やしたらなんかできた」
乱「ちょっと何言ってるかわかんないんだけど。いくら何でもそれで使えるようになるって聞いたことないよ。他の旧神たちも戸惑うんだけど」
一海「えー?」
紺子「モッ…モゴォ~~………!むぐむぐ……むぐ~~~~………!」
パイに埋まった紺子は残った尻尾を振りながら何かを訴えていた。
辰美「って、ちょっと!?紺子様窒息してますよ!?」
その頃、闇音はとある山にある洞窟にて射撃訓練をしていた。帰国してから銃の腕が落ちないようにひっそりとやっていたのだが、少し問題が生じていた。
闇音「………?」
愛用のリボルバーの調子が悪いのか、トリガーが軽く感じた。
闇音「っかしいな……手入れは怠ってねぇはずだが……」
一度弾を抜き、空撃ちしてみる。今度はリングハンマーが動かなくなった。
闇音「………寿命か。長いこと使ってきたが、そろそろ限界ってわけか。しょうがねぇ、飾っておくか」
そう言って洞窟を出ると、近くの小屋に目をつけた。小屋に足を踏み入れた闇音が見たのは寿命が来て使い物にならなくなり、闇音の手によって飾られた数々の銃だった。中でもリボルバーとマグナムは丁寧に飾られていた。
歪んだ人間至上主義者である闇音だが、意外にも銃マニアなところがあり、古いものから最新式まで徹底的に集めている。彼が殺した焔に言ったようにテロに加担していた頃は様々な銃を取り扱っていた上に、それらを利用した戦術が増えたのか、全盛期以上に立ち回れるようになっていた。
今まで使っていたリボルバーを飾り、ノートに戦歴を書いた闇音はカレンダーを見る。何を思ったのか、彼の口元がニヤリと歪んだ。
闇音「……明日は武器の闇商人が来るのか。ちょうどいい、新しい相棒を探すとするか。テロ時代に稼いだ金も持っていかねぇとな…………」
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