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八条学園騒動記

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第六百二十一話 文化祭がない国その九

「もうね」
「よっぽど嫌われていたんだね」
「そう、いたね」
「死んだのかな」
「行方不明なの」
「ええ、もうね」
 そうなっているというのだ。
「だって働かない、何の技能もないし誰かの為に何かすることもしないしで」
「性格もどうしようもなくて」
「それじゃあなのね」
「何処にもいられないから」
 それでというのだ。
「ホームレスになってもね」
「その中でもなんだ」
「生きられないのね」
「本当に何もかもがね」 
 技能も性格もどうにもならないからというのだ。
「橋にも棒にもだから」
「それじゃあだね」
「生きていけないのね」
「親が生きている時は甘やかされて」
「脛齧ってた」
「そうして生きていたの」
「奥さんもいたし」
 結婚もしていたというのだ。
「生きていけたけれど」
「よく結婚出来たね」
「そんな人と結婚する人いたのね」
「その奥さん働かないのはまだよかったけれど」
 それでもというのだ。
「何も出来ないのに偉そうに言うのがね」
「我慢出来なくて」
「離婚したのね」
「面倒な離婚手続き全部一人でして」
 そしてというのだ。
「実感、お父さんがお母さんと愛人さんが同居してるね」
「凄いお家だね」
 スターリングはその家庭を聞いて口の左端を引きつらせて笑った、言うまでもなく苦笑いという笑いである。
「それはまた」
「当然火宅だよ」
「そうだよね」
「けれどその火宅にね」
「あえてなんだ」
「帰ったのよ」
「それだけその人がどうしようもなかったのね」
 蝉玉は今話している輩のことを指摘した。
「そうだったのね」
「そんな家に帰る方がましって位にね」
「そうした人だったのね」
「それで親御さん達にお金貰ってね」
「生きていたのね」
「けれど弟さん達にも親戚中にも偉そうに言い続けて」
 そうした生活でというのだ。
「家に急に上がり込んで尊大に言い回って」
「うわ、それは嫌ね」
「それで人の部屋に無断で入ってね」
「図々しいって言ったわね」
「勝手に人の本漁って」
 そうしてというのだ。
「読んだ本を面白いとか言わないで」
「文句言ってたのね」
「偉そうにね」
「それも嫌ね」
「それでお風呂入って」
 七海はさらに話した。
「ご飯普通にお碗で三杯半食べてね、遠慮なく」
「図々しいにも程ない?」
 スターリングも流石に呆れてきた。 
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