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異生神妖魔学園

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停電中の奇怪な出来事

夜、紺子の家にて。台所で紺子と一海がハンバーグを作っていた。
この時、紺子の体はすっかり虹色が抜け落ち、元の色に戻っていた。


一海「ハンバーグ作ったなんて羨ましいなぁ。僕も出雲姐ちゃんみたく調理したいよ」

紺子「昼飯食べれなくて困ってたけど家庭科に助けられてよかったぜ」

一海「え!?出雲姐ちゃん昼休み中ずっとご飯食べてなかったの!?」

紺子「そうなんだよ。まず国語にいろいろあったっていうか……龍華と竜奈先輩に全部話したらスッキリしたよ」

一海(帰ってきてから料理作るまでの間出雲姐ちゃんが虹色だったのにもびっくりしたけど、出雲姐ちゃん一体どうしたのかな…)






完成したハンバーグ2個とつけ合わせを皿に盛りつけ、ソースをかける紺子。一海は先ほどまで刻んでいたキャベツを別の皿に盛りつけ、ドレッシングをかけていた。


紺・一「いただきまーす」


食卓へ着くと、一海は早速ハンバーグを口にしてみた。


紺子「家庭科で作ったのを早速実践してみたんだけど………どうかな?」

一海「うん!出雲姐ちゃんが作る料理いつも美味しいから、このハンバーグも最高だよ!」


一海は笑顔で言いながら再びハンバーグを次々と口へ運ぶ。
それにハンバーグを2個作ったのは、一海が満足できるよう2個にしようと考えていたのかもしれない。


紺子「へへっ、ありがとうカズミン。うちの家庭科なんかもう散々だったよ。仁美のよだれが入りそうになるし、ディーゴの絵の具が混ざりそうになるし、あと冷火。燐斗先生あいつのお母さんなんだけどさ、あいつもチューマシンガンされて大変だったよ」

一海「先輩のお母さんも勤めてるんだ………まあ、当ててやるか。チューマシンガン以外にも変なことしてた………よね?」

紺子「正解。数学なんだけどさ、みのり先生冷火驚かしてボコボコにされてたよ。どんだけ娘大好きなんだか」

一海「こっちも僕はカズミンって呼ばれたけど、ココとか麻由美みたいな小さい子を『ココたん』とか『麻由美たん』って呼んでたね」

紺子「学園長と手組んだらもっとヤベェことになりそう…」


お互い複雑な表情を浮かべたが、紺子があることに気づく。


紺子「そういえばお前、帰りのHRで先生のあの話聞いた?人間が侵入したみたいなんだけど……」

一海「僕も聞いたよ。砂道焔って男が僕たちの命狙ってるかもしれないって話でしょ?」

紺子「まあ龍哉が追い払ってくれたみたいだけど、あいつその前に宇佐間先生蹴って呼び出し食らってたからなぁ……あの件で厳重注意で済んだらしいぜ」

一海「え!?あの龍哉先輩が先生蹴ったの!?」

紺子「あの先生体操前にいっつも筋肉膨れ上がらせようとするじゃん。女子にとってはいい迷惑だよ」

一海「出雲姐ちゃんはそう言ってるけどさ、龍哉先輩が蹴ったのって今日だよね?僕も前の日、宇佐間先生がムキムキになった体とパンツ見ちゃってさ…あれ見た瞬間気絶しちゃってさ」

紺子「カズミン昔から筋肉質な人苦手だしな」


白米を口に運ぶ紺子だったが、白米を口に入れた途端、急に部屋の電気がちらつく。


一海「ねえ、なんか電気ちらついてない?」

紺子「………そろそろ交換時かもな」


そればかりではない。外では雨が降り出し、遠くで雷鳴が聞こえてくるようになった。
雨音と雷鳴を聞いた一海は少しばかり不安を覚え、紺子は龍華と竜奈に暴いたあの過去を思い出す。


一海「帰る時間に雨降らなくてよかったね」

紺子(雷といえばあの日お母ちゃんが死んだ……)

一海「ん?出雲姐ちゃんどうしたの?顔色悪いよ」

紺子「いや、ちょっとな……昔のことを―――――」



ピシャアッ
ガラガラガラガラッ



紺・一「「きゃあ!!」」


雷は紺子の家に落ちたようだ。
悲鳴をあげると同時に、頭を抱えるように耳を塞いだ。


紺子「おい…今の近かったぞ!」

一海「てか出雲姐ちゃんどこ行ったの!?暗くて何も見えないよ!」


今の衝撃で電気が壊れたのか、紺子と一海の周りは全て闇に包まれていた。


紺子「雨が降るならまだしも、この時期に雷っておかしくね!?しかも今のせいで停電になるとかふざけんな!普通瞬断だろ!」

一海「出雲姐ちゃん、ここは目が慣れるまであんまり動かない方がいいと思うよ!」

紺子「そ、そうだな……カズミンもあんまり動くんじゃねぇぞ」





停電から1分、部屋の中が少しずつ見えるようになってきた。


紺子「おいカズミン。私が見えるか?」

一海「僕もだいぶ見えてきたよ」

紺子「だったら懐中電灯探さなきゃな。どこにあったっけ…」

一海「タンスの中にあるよ」

紺子「え?」

一海「タンスノナカニアルヨ…」


声を低くし、不気味な笑みを浮かべながら呟くように言った。


紺子「ヒィィッ!?」


声が裏返るほど驚き、腰を抜かしそうになる。


紺子「そんな怖い声で言うなよ!びっくりするだろ!」

一海「ごめんごめん。タンスの中にあるよ」

紺子「タンスにあるなら別にいいけどさ!」


悪態をつきながらもタンスの前に立ち、引き出しを開けてみる。
しかし……………。


紺子「あっ、いやあああああ!!」

一海「どうしたの出雲姐ちゃん!?」


懐中電灯を取り出そうとしていたが、引き出しから白い煙が噴き出していた。


紺子「煙!煙出てるぅぅ……!」

一海「煙?あっ、これ体にかけたらありがたいんだ」


タンスの前に立った一海は引き出しから出てくる煙を全身にかける。
紺子も一海の真似をしようとしたが、彼女の頭を殴った。


紺子「そんなわけねぇだろ!どうなってやが…痛っ!!」

一海「痛いって何が痛いの?」

紺子「手突っ込んだらビリッてなった!しかも一瞬冷たかったし………あっ!!」


紺子は煙が出ている場所にハンカチを被せ、そこに手を当ててみる。
固い感触があり、ハンカチを被せられた何かは石のようなものをかたどっていた。


紺子「………お前これドライアイスだろ」

一海「あ、バレたか☆」

紺子「『バレたか』じゃねぇよ!声変えたりタンスに入れたりして、そんなに私を怖がらせて楽しいか!?」

一海「だってお化け嫌いな出雲姐ちゃんかわいいんだもん」

紺子「停電だっていうのによくそんなふざけたこと言えるな………てかこれどうやって手に入れたんだよ」

一海「気にしない気にしない。早く食べないと冷めちゃうよ」

紺子(この状態で食えるかよ!)


ドライアイスをシンクに捨てたが、またしても煙が立ち上って気になってしまう。
一海は平気で食事をするが、紺子はすっかり食欲を失い、ハンバーグを見つめていた。


紺子「…………!?」


突然、目が大きく見開かれた。まばたきをした瞬間、ハンバーグから溢れていた肉汁が真っ赤な血に変わっていた。


紺子「ふぁあああああっ!!」


紺子は驚きのあまり椅子ごと転倒してしまった。
椅子から離れると、しゃがみ込んで背中を丸め、頭を抱えて震える。
転倒した紺子を見た一海も立ち上がり、紺子に近づく。


紺子「血……血……血がぁぁ!」

一海「血なんて出てないよ。ケチャップと見間違えた?」

紺子「カズミン…!」


恐る恐る顔を上げる紺子。しかし追い打ちをかけられるように、顔がさらに恐怖に歪んだ。


一海「出雲姐ちゃん、怖がりすぎだよ」

紺子「うっ、わあああああああ!!」


目の前にいた一海は目も鼻も口もないツルツルの顔。そう、今目の前にいるのは一海ではなく、一海の姿をしたのっぺらぼうだった。


紺子「のっぺらぼう!のっぺらぼう~~!」

一海「大丈夫~?出雲姐ちゃ~ん」


のっぺらぼうは心配そうに優しい声をかけるが、紺子にとってはもう恐怖の連続で泣きそうになっていた。
いや、もう泣き出している。紺子はのっぺらぼうが視界に入らないようしゃがんで頭を抱え、泣きながら必死に懇願した。


紺子「もう嫌だお願いします助けてください夢なら覚めてください…!」

一海「ねえねえ」

紺子「いやぁっ!触んないで!」

一海「出雲姐ちゃん」

紺子「だああっ!来ないで…来ないでよ!」


泣きながら立ち上がり、一海の手を振り払おうとしたが、そこに立っていたのは………。


紺子「…あれ?カズミン?」

一海「怖がりすぎだよ出雲姐ちゃん。僕の顔見るなりのっぺらぼうとか言ってさ」

紺子「今いたんだよ!今ここにいたの!!」

一海「疲れてるんじゃないの?今日ゆっくり寝た方がいいよ」

紺子「寝てる間に変なこと起きたら嫌だよ~……カズミンがいたずらで目の前にいたらもっと嫌だよ~……」

一海「失礼な!いくら僕でもそんなことしないよ!」


すると唐突に全ての電気が点き、辺り一面が明るくなった。


一海「あっ、電気点いた」

紺子「え………?」


涙と鼻水で濡れた顔で辺りを見回す。そのうち紺子は嬉しくなり、同時に言葉が詰まった。


紺子「…………んぐっ……ぬ~~~……!」ジワッ

一海「?」

紺子「うわ~~~~ん!!怖かったよカズミ~~~~ン!!」

一海「ちょちょちょちょちょ、何で泣くの!?」

紺子「泣くわ!!タンスから煙出るしよ、ハンバーグから血出るしよ、お前を見たら顔ツルツルになってるしよ~………!」


一海に抱きつきながら大声でワーワー泣き叫んだ。この時、一海の顔は呆れていた。


一海「出雲姐ちゃん、そんなに泣いたらみっともないよ………でもかわいいなぁ」

紺子「一言でもいいから何か優しい言葉かけてよ!マジで怖かったんだから!」





紺子が泣き出してから数分後、一海は少し落ち着いたのを確認してから食事がてら先ほどの奇怪な出来事を話した。料理はすでに全て冷めきってしまっていた。
実はあの現象は引き出しからドライアイスの煙が立ち上ったことを含め、全て一海がいたずらで仕掛けていたのだ。


紺子(せっかく私が作ったハンバーグが………)

一海(冷めてても美味しいや)

紺子(こいつの味覚おかしいんじゃねぇのか!?)


しかし、あの停電は何だったのか?電気のことはあまり触れないでおこうと思っていたその時だった。



ドスッ



紺・一「「!?」」



どこからか何かが落ちる音がした。
音を聞いた2人は互いに顔を見合わせた。


紺子「おいカズミン、テメェ!?まだ何か仕掛けてんのか!?」

一海「仕掛けてないよ?幻聴じゃないの?」

紺子「よくわかんねぇけどさっきドスンって聞こえたぞ!?」

一海「ホントに違うって!何も仕掛けてないよ!」



ガッタガタガタガシャーン



紺・一「「!!」」


先ほどより大きな音が聞こえた。まるで人が暴れているような音だ。


一海「………洗面所の方から聞こえたよね?」

紺子「……ホントにお前じゃない?」

一海「違うよ!」

紺子「まさか……………泥棒か?」

一海「不吉なこと言わないでよ………」


2人は警戒しながら足音を立てないようにそっと歩き、音がした洗面所へ向かう。もし本当に泥棒なら、暴行されているか殺されているだろう。
恐る恐る顔を覗いてみると、そこにいたのは………。


紺子「…………………」

一海「…………………」


言葉を失った。物音を立てた正体が意外な人物だったからだ。


辰蛇「あ…………」


荒らされた洗面所にいたのは、紺子と一海のパンツの匂いを嗅ぐボロボロになった辰蛇だったのだ。


辰蛇「……………パンツ、いただき―――――」


それは一瞬の出来事だった。言葉が終わらないうちに紺子の鉄拳が恐ろしいほどの勢いで辰蛇の顔面をとらえていた。


辰蛇「バベラッ!?」


殴られた辰蛇は壁に激突し、崩れ落ちる。


辰蛇「ち、ちょっと紺子ちゃん!?私の顔見るなりいきなり顔面パンチって……!」

紺子「私と話すよりカズミンと話した方がいいんじゃねぇのか?」

辰蛇「…あえ!?か、一海ちゃん……顔は笑ってるけど目が笑ってない!!」


微笑みながら死んだよう目で見つめる一海には殺意まで感じられる。
この場にいたら殺されると恐怖を感じた辰蛇はこう言い放った。


辰蛇「こ、こうなった学園に代々伝わりし奥義…………逃~げるんだよ~!!」


隙を突いて逃げようとした。
だがそれはあまりにも無駄なこと。以前紺子を拘束したように、一海は尻尾で辰蛇を捕まえ、縛り上げた。


辰蛇「ひゃいっ!?」

一海「……………」ゴゴゴゴゴ


一海は辰蛇を縛ったまま無言で外に出る。紺子も後を追って外に出た。
相変わらず雨が降り続けていた。


一海「学園長、どこか行きたいトコありますか?」ゴゴゴゴゴ

辰蛇「行くトコなんてどこにもないよ~!一海ちゃん、お願いだからその顔やめて!?怖すぎるよ!辰蛇泣いちゃう!」


その後の行動は素早かった。辰蛇を空中に放り投げた一海は目にも止まらぬ速さで足蹴にした後、そのままムーンサルトキックを浴びせた。蹴られた辰蛇はどこまでも飛んでいき、雨雲に隠れて見えなくなった。
私たちの学園長だぞ!?雨雲に消えた辰蛇を見た紺子は唖然。一海は何事もなかったかのような表情で雨雲を見つめていた。


紺子「うーわ…さすがに学園長相手に容赦なさすぎだろ…」

一海「出雲姐ちゃん、何か言った?」

紺子「な、何でもないです……」


今の一海にこれ以上何か言えば今度は自分が一海の足技の餌食になるだろうと思い、寒気が走った。
家に戻った2人は荒らされた洗面所を片づけることに。一方で辰蛇が嗅いでいたパンツは彼女に盗まれてはいなかった。きっと衝動的に嗅ぎたくなったのだろう。紺子はそう確信した。
だがさらに確信すべきことを思い出さなければならなかった。停電の原因だった。


紺子(学園長が来ますよって警告だったのかな?そこでちょうどいいところに雷が落ちて…………あれまだ交換時じゃなかったんだな。スゲェ焦った………)










一方、EVOLUTION SPACEの前では仕事を終えた龍華が掃除していた。


龍華「こんな時間に雨とかふざけんなよ。今夜晴れるっつってたじゃねぇか」


悪態をついた後、中でテーブルを拭く遠呂智を呼ぶ。


龍華「マスター?雨降ってんだけど」

遠呂智「雨だって?そうか……風邪引いたら仕事に差し支えが出て俺が困るんだよな。掃除はもういいから早く中に入りな」

龍華「悪いな」

???「ああああああああああああ!!」

龍華「?」


中へ入ろうとした途端、空から女性の悲鳴が聞こえてきたを龍華は悲鳴が聞こえた方へ顔を上げる。
落ちてきたのは一海の足技を食らって吹き飛ばされた辰蛇だった。辰蛇は龍華に覆い被さるように落ち、しかも顔が龍華の胸に埋まった。


辰蛇「………龍華ちゃん、サラシほどいて?CじゃなくてGカップだってことはもう知ってるの」

龍華「んなぁぁ!?///////」


雨の中、辰蛇は気が済むまで龍華の胸を揉みしだいた。ところがいつまでも戻ってこない龍華に心配した遠呂智にこの光景を見られ、背後から殴られた後店内に連行された。
気づけば辰蛇は遠呂智によってまた逆さ吊りにされ、その上ボールギャグと目隠しも追加されていた。 
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