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イベリス

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第十三話 学業もその五

「あの」
「さっきのお客様ね」
「沢口小百合さんですね」
「そうよ、あの美人女優のね」
「物凄いお奇麗ですね」
「ここにはよく来られるの」
 先輩は咲に何でもないといった声で答えた。
「あの人もね」
「そうなんですね」
「そう、今後のことをね」
「占ってもらいにですね」
「どうすればいいかとね」
「そうですか」
「女優さんとか。芸能界の人ってね」
 この世界にいると、というのだ。
「どうしても先がわからないわね」
「急にスキャンダルで、とかありますね」
「そうでしょ」
「はい、本当に」
「だからね」
「これからどうすればいいかをですか」
「占ってもらう為にね」
 まさにその為にというのだ。
「このお店にね」
「来られるんですね」
「そう、そしてね」 
 それでというのだ。
「占ってもらってるのよ」
「そうですか」
「そしてね」
 先輩は咲にさらに話した。
「他にも有名な俳優さんやお笑い芸人の人がね」
「来られますか」
「プロ野球の監督やフロントの人もね」
 こうした人もというのだ。
「サッカーでもよ。大企業の経営者や政治家の人も」
「来られて」
「占ってもらってるの。うちの先生の占い当たって」
 そしてというのだ。
「どうしたら難を避けられるかもね」
「言ってくれますか」
「そこも当たるから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「人気なんですね」
「何でもそうした人の払うお金が」
 それがというのだ。
「百万単位だったりするから」
「百万ですか」
 その桁にだ、咲は思わず声をあげた。
「凄いですね」
「だから渋谷のこのビルに事務所があって」
 109のそこにというのだ、渋谷はおろか日本でも有名なそkに。
「それで先生もかなりお金持ってるそうよ」
「そう言えばバイト代高いですね」
「そうでしょ、私達もね」
 先輩や他の社員もというのだ、アルバイトを含めて。
「お給料いいの」
「そうなのね」
「けれど」
 それでもというのだ。
「先生何かとボーナスもくれるから」
「バイト代だけでなく」
「その時に応じてね」
「そうなんですね」
「常じゃないけれどね」
「それは流石にないですね」
「ええ、時々よ」
 それはというのだ。 
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