それから 本町絢と水島基は 結末
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9-⑶
お母さんが来るんで、私は、駅まで迎えに行った。モトシも一緒に来てくれていた。お母さんは改札を出てくるなり
「もとし君? まぁー すっかり、逞しくなって 何年ぶりかしら わざわざ、来てくれたのー」
「お久しぶりです。 遠かったでしょう」
「いいえ 久々の旅行で楽しかったわよ 一人旅気分 それより、もとし君に会えるなんて思ってなかったから、嬉しいわ ねぇ 絢 その辺でお茶でも飲みましょうよ」
「でも おばさんも待ってるからなぁ」
「そうなの じゃぁ もとし君も一緒に来てちょうだいよ いろいろ、お話したいのよ」
「はぁ でも、いきなり、お邪魔するのは・・」
「うん ウチからも、お願い 来てぇー おねがい みんなも、きっと、歓迎するわよ いい機会だし」
「絢がそー 言うんならしょうがないか」
私達が、藤沢さんのところの玄関を入ったら、お姉ちゃんが出てきて
「いらっしゃい お久しぶりです アラッ もとし君も お母さん もとし君も来てくれたんだわ」と、台所に声を掛けていた。
「どうぞ、上がってください。もとし君もよく来てくれたわね あがって、遠慮しないでね」とお姉ちゃんは奥へ案内してくれた。
「まぁ まぁ ようきんしゃった おつかれやろー」と、おばさんが台所から顔を出した。お茶をすすめながら
「なんか、澄香とか絢ちゃんから、話、聞いているから、初めてみたいに思えないわね 思ったより、がっしりしちょるのー」
「初めまして 水島基 です」
「もとし君 そんなに、かしこまらないで 気楽にして」とお姉ちゃんが言ってくれた。
「ねぇ もとし君 お正月帰らなかったんでしょう お母さん 淋しかったんじゃあない」
「はぁ 家庭教師やっている子が、高校受験なんで、一緒に追い込みしようと思って」
「大変よね 自分の勉強もあるのに よその子に教えるってね大変なのよ 澄香も教師になってしまったから・・」と、おばさんは、愚痴っぽく言っていた。その時、お姉ちやんは、台所に行っていた。
「もとし君は海洋なんだって 船乗りになるの?」
「いえ そー言う訳では 僕は、海の環境を勉強して・・生物が生きていけるように」
「そーよね 最近、お魚取れなくなっているものね でも、養殖の勉強もするの?」
「お母さん そんな風に 質問ばっか やめてよー モトシ答えられないじゃぁ無い」と、私は、少し、怒った。「ウチのお部屋からも、お城見えるんだよ」とモトシを誘って、逃げた。
「女の子の部屋に入るのって、初めてだよ ほんとに、お城見えるんだ」
「そーだよ すごいでしょー モトシと初めて登ったとこ」と、言って、私は抱き着いて、キスをおねだりしてた。
「来てくれて、ありがとう ごめんね、いろいろ聞かれて」
「かまわないよ いい機会だから」
その時、おじさんが帰ってきたみたいで、お姉ちやんが呼びに来た。
「お楽しみのところ、申し訳ございませんが、父が会いたいと言っております」
「お姉ちやん そういう言い方やだぁー」
「絢 顔が赤いよ」と返された。バレていたのかな。
おじさんは、着替えもしないで、座敷に座っていた。ふたりで降りて行くと
「やぁ 君が水島君か 話だけは聞いていてな 会いたいとは、思っていたが」
「初めまして、水島基と言います」又、初めから、挨拶だった。
「飲めるんだろぅ 澄香 コップを まぁ 隣にきんしゃい」と招いた。
「澄香が太鼓判押しちょったから、どんな男かと気になっちょった 絢が惚れた男とはな 本町さんの前じゃが、ワシも大切なお嬢さんを預かっちょるからな」
「お父さん そんな 言い方 失礼よ」とお姉ちゃんが言ってくれた。
「あー すまん そんな気じゃないんだ ワシはいつも、こんな言い方しかできんから、悪いのー」
「いぇ 気になるのは、当たり前と思います。でも、僕は、真剣にお付き合いさせてもらっています」
私、うれしかった。がんばれモトシ。
「そうか 海洋なんだって、海の勉強してるらしいね どんな事を」
「僕は、海の環境に興味あります。魚達の住みやすい世界。変化する環境をどう守れば良いか、特に、サンゴに注目して、彼らを守るということが、安心して、そこに住んだり、卵を産んだりすることができる。小さな魚を守り、それが連鎖的に魚全体を守ることになるんだと、信じています。その結果が、最終的に、人間にとっても、今までの恩恵に預かれるんだと」
「ほぉー すばらしいね それは、我々にとっても、夢があるなぁー そうか まぁ 飲んでくれ 寮じゃぁ ろくなもの食べてないんじゃろ 食べろ 食べろ ワシは息子が居ないようなもんだから 澄香も彼氏おらんしのー 絢の・・だ まぁ、息子みたいなもんだから 遠慮せんでな」
「おまんは あんまぁー 飲み過ぎたら、あかんぜょー 今日は、絢ちゃんが主役やから」とおばさんは、釘を刺していた。
ほどほどにして、モトシは帰って行った。送らないで良いって、言ったから、私は、玄関先で、チュッとして、送り出した。
「いい男だがねー 奥さんが、絢ちやんを、託したんがわかるわ」
「だから 私 言ったじゃない 絢を任せても大丈夫だって」と、お姉ちゃんも添えてくれた。
「うん 言いたいこと言いよる 男はあれでよかぁー 身体もしっかりしちょる 絢が惚れるのわかるのー なぁ 本町さん」もう、おじさんは、少し、酔ってきていた。
「はい 主人は解りませんが、私は、この娘が望むんだったら、申し分ないと思っています こちらに来ると言った時から、自分の信じたようにすれば良いと」
「おかあさん ありがとう」あの時、お兄ちゃんだけじゃなくて、お母さんも後押ししてくれていたんだ。
「そうだ 明日は 本町さんと泊りに行くんだけど、絢ちゃんも一緒だよね」とおばさんが言ったら
「そうよね 絢 そうだ もとし君と一緒に泊れば」とお母さんから、何てことを
「お母さん ウチ そんな・・」
「本町さん そんなこと・・」と、おばさんが驚いていた。
「アラッ 構わないわよ もう、絢はもとし君のものみたいなものだから 変かしら」
私、お母さんがここまで言う人だと思ってなかった。
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