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レーヴァティン

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第二百十話 北西へその六

「軍を集結させてな」
「そしてですか」
「そのうえで、ですか」
「連合軍と戦い」
「そして勝ちますか」
「ああ」
 こう周りに話した。
「そうするな」
「わかりました」
「ではそうしましょう」
「是非共」
「その様に」
「ルールの後はな、まあ理想はもっと速くな」
 軍を進ませてというのだ。
「王国軍や連合王国軍がこっちに来るよりな」
「騎士団軍を叩く」
「そのつもりでしたね」
「まずは」
「そうでしたね」
「ああ、けれどな」 
 それでもというのだ。
「流石にそこまではな」
「いけなかったですね」
「敵も必死ですし」
「こちらも何かとありましたし」
「全てが予定通り、こっちの思惑通り進むなんてな」
 そうしたことはというのだ。
「やっぱりな」
「ないですね」
「そうはならないですね」
「幾ら何でも」
「全てがそうなる筈がないですね」
「相手もいるし気候とかアクシデントとかな」
 そうした様々な要因があってというのだ。
「あるからな」
「はい、だからこそです」
「予定通りには進みません」
「事実我が軍は雪の中を進んでいます」
「冬の中を」
「これは予想通りだったけれどな」
 騎士団領の冬そして雪のことはというのだ。
「やっぱり寒くて雪が多くてな」
「それで、ですね」
「行軍は厳しいですね」
「どうしても」
「寒さに苦しめられ風もあり」
「雪に足も取られ」
「防寒はしておいたさ」
 それも十二分にである、久志はもうそれは念には念を入れておいた。そうして戦に入ったのである。
 だがそれでもとだ、士官達に言うのだった。
「けれどやっぱりな」
「その雪もあり」
「それにこの寒さです」
「このことからも進軍は遅れていますね」
「左様ですね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「もう予定通りにいかないことなんてな」
「当然ですね」
「そう考えて進むべきですね」
「そして戦を進めていくことですね」
「そうしたことも頭に入れて」
「戦ってのは常に状況が変わるものさ」
 霍去病の言葉を思い出してこの言葉を出した、漢の武帝の頃の若き名将は武帝に兵法書を読むことを勧められてこう答えたのだ。それで兵法書なぞ読んでも意味がないと言ったがこれは彼がそれだけ戦を知っているということだ。
「それでな」
「何時何が起こるかわからず」
「それで、ですね」
「今の状況もですね」
「有り得ることですね」
「ああ、当然としてな」 
 まさにそうしたものと考えてというのだ。 
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