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スライムといっても

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第一章

               スライムといっても
 スライムというと弱い、それもあらゆるモンスターの中でも最弱クラスである。
 それでモンスター図鑑を作っている国立博物館所属の生物学それもモンスターを専門とした学者のフランソワ=ド=ラヴェルは上司の博物館長芸術を専門とする学者であり名門貴族の出でもあるシャルル=ド=マルセールに笑って言われた。
「スライムは最弱モンスターで取るに足らない連中だから図鑑でも書かないだろう」
「えっ、そう思われますか!?」 
 ラヴェルはマルセールの今の言葉に驚きの顔で応えた、長い金髪をエルフの様に伸ばしきりっとした緑の目で面長で高い鼻を持つ端正な青年だ。長身で清潔な青い学者の服が似合ってる。
「スライムについて」
「私はモンスターは専門じゃないが」
 芸術畑だけあってだ、マルセールはまずこう断わった。大柄で太っていて黒髪を後ろに撫でつけている。肉付きのいい顔で黒い目の光は穏やかだ。黒いフロックコートと貴族の服が実によく似あっている。
「スライムはドラゴンと違ってね」
「ドラゴンは最強クラスですね」
「モンスターの中でもね」
「確かに図鑑でドラゴンについてはかなりのペースを割いています」
 ラヴェルは答えた、館長室でマルセールに話すが二人共かなり真剣な顔である。
「それも相当に」
「やっぱりそうだね」
 マルセールもそう答えた。
「種類が多いからね」
「世界の東西で」
「そうだね」
「我々がいる西ではドラゴン、東は龍で」
 大きく二つに分けられるというのだ。
「またそれぞれ実に種類が多く種類ごとの特性も」
「多いね」
「ですから図鑑でもです」
 これでもというのだ。
「かなりの書いて載せています」
「そうだね」
「ドラゴンのことはまだ作成中ですが」
「かなりだね」
「そうしていっています、ですが」
 それでもとだ、ここで彼はマルセールにさらに話した。
「これはスライムもで、いえこのままいけばスライム以上にです」
「間違いではないのかね」
 マルセールはラヴェルの今の言葉にコーヒーを飲む手を止めて聞き返した。
「それは」
「そんなにですね」
「スライムに図鑑のスペースを使うか」
「いえ、これがです」
 ラヴェルは真面目な顔で答えた。
「今の時点でもです」
「かなりのスペースをかい」
「使っていて。今作成スタッフで協議していますがドラゴンとスライムはそれぞれ専門の図鑑をです」
 それさえもというのだ。
「作成しようかとです」
「協議しているのかい」
「そうもなっています」
「信じられない、スライムといえば」
 それこそとだ、マルセールはラヴェルに表情にも出して述べた。
「最弱クラスのモンスターで」
「初心者の冒険者や兵士でもですね」
「苦もなく倒せるじゃないか」
「そうしたスライムもいますが」
 ラヴェルは真面目な顔のままで答えた。
「ですが実に多くの種類がいまして」
「強いスライムもいるのかい」
「はい、よかったらです」
 ラヴェルはマルセールにさらに話した。
「実際にです」
「この目でだね」
「ご覧になって」
 そうしてというのだ。
「確められますか」
「わかった」
 マルセールは確かな声で答えた。 
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