レーヴァティン
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第二百九話 ルールへその九
「そうするな」
「そうしますか」
「敵の主力を攻めるより」
「まずは民と土地ですか」
「その二つがないと軍隊もな」
この組織自体がというのだ。
「やっていけないだろ」
「はい、確かに」
「それは無理です」
「成り立っていきません」
「軍も国があってです」
「そして国は民と領土によって成り立ちます」
「だからその二つを帝国のものにしてな」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「騎士団軍の主力と戦いますか」
「西に向かい王国軍、連合王国軍との合流を目指す彼等を」
「彼等をそうしますか」
「そうするな、それと各方面はどうなってるんだ」
今度は黒パンを食べつつ問うた。
「プラハやウィーンやワルシャワから攻め込んだ俺の仲間達が率いている軍は」
「そろそろ今攻めている街を攻略出来るとか」
「ベルリンもケーニヒスベルグもニュルンベルグも」
「そうなっているそうです」
「ようやくどの攻城戦もこちらの有利が確かになってきたとのことです」
「それは何よりだな、ベルリンは騎士団領の今の首都だしな」
騎士団長がベルリン騎士団の長だからそうなっているのだ。
「あそこを攻め落としたらな」
「大きいですね」
「敵の首都を攻め落とすと」
「こちらの士気が上がります」
「ああ、しかしあそこは国家元首の騎士団長が自ら守っていてな」
そうしてというのだ。
「戦ってるのにな」
「その騎士団長が自分の直属の軍以外は説得して西に向かわせてです」
「副団長に任せた様ですね」
「決戦を託して」
「自身は捨て石になり」
「時間稼ぎをしてるんだな、それはな」
久志はその話を聞いて述べた。
「見事だな」
「はい、敵ですが」
「それでもですね」
「その心意気は立派ですね」
「そこまでして戦って最終的には勝とうっていうんだからな」
そう考えて戦っているからだというのだ。
「本当にな」
「見事ですね」
「では戦の後は」
「陛下としては」
「帝国に迎えたいな」
こう言うのだった。
「やっぱりな」
「左様ですね」
「ではこの度もですね」
「そうされますね」
「ああ」
久志は同じ卓、二十人は座っている本陣の天幕の中にあるそれに共に座り同じものを食べている将帥達に答えた。
「優れた人材は必要だ」
「少しでも多く」
「その通りですね」
「人材は本当に必要です」
「国の発展にとって」
「戦だけでなく」
「ああ、しかもな」
ここで久志は強い声でこうも言った。
「わかってるな」
「はい、東西の浮島を統一すれば」
「その後はです」
「海の魔神と戦います」
「その後で」
「浮島の統一だってな」
今進めているこのこともというのだ。
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