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八条学園騒動記

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第六百十九話 レモンティーその三

「一緒になれてなかったら」
「一緒になれないね」
 スターリングが応えた。
「そうだね」
「うん、縁はね」 
 これはというのだった。
「不思議なものだからね」
「そうそう、奇跡みたいな出会いも」
「あるけれどね」
「人は誰でもね」
「それもね」
「縁でね」
「神様のお導きだね」
 菅はこうも言った。
「これは」
「縁がないと」
「そう、どれだけ近くにいても」
「会えないね」
「そして会っても」
 それでもというのだ。
「一緒になることもね」
「ないね」
「そうだね」
「私とスターリングはお互いのお祖父ちゃんが知り合い同士でね」
 蝉玉はあっさりと言った。
「アメリカ軍と中国軍にいて」
「今は連合軍にいるね」
「宇宙艦隊司令長官で参謀総長でね」
 菅に話した。
「それでね」
「言うなら同僚同士で」
「軍人さん同士のパーティーで家族も呼ばれて」
「そこで会ってなんだ」
「知り合ってね、同じ学校になって」
 このこともあってというのだ。
「付き合う様になったのよ」
「そうだったんだね」
「そう、これも縁ね」
「そうだね」 
 菅は蝉玉のその言葉に頷いた。
「スターリングと蝉玉が出会ったことも」
「神様って不思議だね」  
 スターリングも言った。
「いや、不思議だからね」
「神様だね」
「そうかも知れないけれど」
「人では出来ない、説明出来ないことが出来る」
「それが神様でね」
「不思議だっていうんだね」
「結局人間の知識で説明出来ることは」
 スターリングはさらに言った。
「ごく僅かで」
「それでだね」
「うん、人と人の出会いはね」
「神様の不思議の中でも」
「そう、特にね」
 まさにというのだ。
「不思議なことだよね」
「僕もそう思うよ」 
 菅はここでも無表情で声にも抑揚がないが確かな口調で述べた。
「やっぱりね」
「人と人の出会いはね」
「説明がつかないことが多いから」 
 それでというのだ。
「神様のお仕事だよ」
「この宇宙の動きだって」
 蝉玉は物理的な話をした。
「科学で全部説明出来るとかね」
「思えないね」
「そう思えたら」
 それこそとだ、蝉玉もスターリングに話した。 
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