| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

それから 本町絢と水島基は  結末

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

7-⑵

 僕たちは、ビーチボールで遊んでいた。去年もきた砂浜だが、人は居ない。さすがに水着姿の女の子が6人も居るのだから、カラフルで華やかだ。

 慎二と美波は浮き輪に並んで海に入っていた。といっても、みんなもそれぞれ入っているんだが。突然、囲まれて、僕は海に沈められようとした。なんだか、もがいて、逃げようとする1人を捕まえて、沈めようとした時、胸をつかんでしまった。宏美だった。「ごめん」と言ったが「べつに、いいんです」とつぶやくように返してきた。こんな感触、初めてなんだ。

 長いこと、海に入っていた二人が帰ってきて

「いやー 今年は胸も触れなかったよ」と慎二から言ってきた

「ばーか いくじないんだから もう、去年より柔らかくなっているのに」と、美波も負けじと返していた。

 女の子達が、波打ち際で砂のお城とか作っていた時、話があるとかで、僕と慎二は並んで座ってたんだけど

「実はな、さっき美波と新しい部長の話をしていてな。碧先輩は就活をしたいんで、9月の合宿から交代したいって言ってた。碧先輩から内々で、俺にと言ってきたんだけど、俺よりも、美波の方が、みんなに気配りが出来ると思ってな。美波にどうかと聞いていたんだ。碧先輩は俺等4人で話し合えって言ってた」

「そうか それで、長いこと 美波はどう?」

「それがな、葵が適任だって言うんだよ 葵は冷静に物事を判断するし、俺達3人は本部に居なくて、通いみたいなもんだろ」

「そーかもな 葵ならみんなから慕われるしな」

「とにかく、後で4人で話し合おうぜ 葵は控えめだから、うまく話さないとな」

 夕食の食卓には、やはり刺身や貝類が豪勢に並んでいて、みんなの歓声があがっていた。口々に「おいしいー」とか「コリコリしてるね」とか言っている。魚の名前を聞いたり、美波の高校時代の話を聞いたりして、騒いでいたが、宏美は、あまり自分から話をしない。僕は、少し、気になっていたんだけど、暗いというんじゃあないけど、人の話を聞いているタイプで、物静かなんだろうなと思っていた。

 葵に了解を取り付けるのは、ひとりずつ話をした方が良いだろうと言うことになって、最初に、美波から説得してもらうことにした。女同士の方が、本音を言い合えるかなと、僕も思っていた。残った、僕達は、みんなで花火をやり始めていた。

 1年の舞野が慎二の横ではしゃいでいる。さっきから、僕に、隣で宏美が花火を渡してくる。なんとなく、宏美が横に居ることが多い。さっきの、ご飯のときもそうだった。僕は、首からタオルを下げていたんだけど、汗を拭いて、広げた時、それを見ていた宏美は

「あっ それっ ふぅーん」と、黙り込んだ。僕も知らなかったが、絢が刺繍を入れていたんだ。  

 気になっていた、美波と葵が戻ってきた。僕と慎二はそれとなく、美波に寄って行った。

「オッケー やるって、言ってくれたわよ ただし、慎二の副部長が条件だって フォローが必要だって」

「よしっ 慎二、それで良いよな」

「うん まぁな フォローすんのはみんなでな」





 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧