それから 本町絢と水島基は 結末
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6-⑽
「あかんかった 縮こまってしもてな、手足もバラバラで、普段の力も出せないし、予選でボロボロや」
と、慎二はガックリしていた。僕、どう返したらいいのか、わからなかったが
「慎二でも駄目なんならしょうがないやん 初めてやしなぁ」
「やっぱり 中央の奴は強いよ コーチも付いているしな こんな田舎で独りでやっててもダメなんや」
「その差は大きいけどな でも、コーチ居なくても、精一杯やろうぜ」
「でもな、モトシ 去年の大学対抗には、確か、出てなかった奴が、決勝に行ったんだ 大学対抗なんか相手にしてないんだ 俺も勝って、調子に乗ってたけど、上の奴ってそんなもんなんだと思ってな」
「そんなことがあったのか でも、仕方ないよ 試合数多いから、絞っただけだよ そんなこと、気にするなよ 僕等は大学のためにも頑張ろうぜ」
「そーだよな でも、国公立選手権は止めとくよ 試験の直ぐあとだし、美波にも負担掛けるの悪いし」
「美波はどうだったんだ?」
「うん あいつは、頑張った 決勝に行くのも、もう少しだったんだけどな あいつも、高校の時にこの辺りじゃぁトップだったんだけど、その時に負けたことのない奴が、東京の大学に行って、今回決勝まで残ってたんだ あいつなりにショックだったと思うよ でも、そんなこと全然気にしてない素振りして、もともと私は、慎二が落ち込んだ時の付き添いで来たんだからってな サバサバしてみせて あんなこと、打ち明けた俺に対しても そういう気遣いって、女の子感じるんだよ」
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試合間近の日、追い込みで、夕方、僕と慎二は本部のプールで練習していた。すると、プールサイドの端っこで、女の子3人が 「負けるな! しんじ」と書かれた模造紙を掲げ出した。絢、茜、詩織の3人組だ。「がんばれ! しんじー」と声あげている。
碧先輩が「何よあれっ」って言ったかと思うと、慎二は、遅れて、手を振って「何だか、ドラマみたいだな」って言っていたが
「だから あんたはチャライんだよ」と、葵がバスタオルを慎二に投げつけていた。
「葵って こんなに怖かったったっけ」と、慎二が言っていたけど、後ろで美波が「ばーか」と小さく言っていた。新人の女の子2人は「慎二先輩って人気あるんですね」と僕に話しかけてきたが「そーなんだよね」としか答えようがなかった。
僕が、絢に慎二が、少し心配だと話していたから、元気をつけにきたのだろう。慎二も張り切って、バタフライに専念し、僕達も試合に向かって、順調に調整していった。
メドレーリレーは他の大学が、メンバー揃わないとかで中止になった。碧先輩、慎二は優勝したが、美波は200mは取ったが、100mではタッチの差で美咲だった。葵、長崎宏美、そして僕は2位だった。総合的にも、うちの大学は2位に終わった。でも、去年は3位だったので、頑張った方かも知れない。
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