忘れられた猫だった
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第三章
「トイレもそこでして。食べものは鼠とかを食べて」
「虫とかもですね」
「お話を聞いているとかなり汚い家なので」
衛生的にそうなっていてというのだ。
「トリミングもしてもらわない、排泄物やゴミが付いて毛玉がどんどん増えて」
「ああなっていたんですか」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「あの姿になっても何とか食べものはあって」
「そうした状況で」
「ですから」
「それで、ですか」
「生きていたと思います」
「この姿で」
「そうだったかと」
こうポールに話した。
「どうやら」
「そうなんですね」
「この子も十七歳位ですね」
三毛猫もというのだ。
「雌です」
「そうですか、じゃあやっぱり」
「忘れられていたけどいました、それでこの子はどうします?」
「約束しましたから」
飼い主だった老人にとだ、ポールは獣医に答えた。
「家に引き取って」
「そうしてですね」
「育てます」
「そうされますか」
「はい、そうします」
こう言ってだった。
夫婦は猫、生きていても不衛生な中でしかも鼠や虫を野生の中の様に食べていたので栄養出張や病気のチェックと治療の為にだった。
ハイジと名付けた彼女を引き取った、そして。
サムと彼女との生活をはじめた、ここで夫は妻に言った。
「まさかね」
「もう一匹本当にいてね」
「そしてあんな姿になっているなんて」
「思いもしなかったわ」
「そうだね、けれどどちらも保護してね」
「家に迎えたから」
「これからは一緒に暮らそう」
夫は自分達の足下にいる猫達を見ながら話した。
「こうしてね」
「ええ、あとお家は」
「大掃除は済んだ」
調べるともう二人では手に負えないので業者の人達に頼むことにしてそうしてもらった、家具はそのままだ。
「後はね」
「ええ、売りに出すだけね」
「そうしよう、驚いたけれど」
「これで万事解決ね」
「そうなったよ」
妻に笑顔で言った、そうしてだった。
二人でそれぞれ猫達を撫でた、老猫達は寝そべってくつろいでいた。そして二人に撫でられると嬉しそうに喉を鳴らした。
忘れられた猫だった 完
2021・6・21
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