明るい子猫達
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第一章
明るい子猫達
アシュリー=ケリーカルフォルニア州南部サバーナーディーノで働きながら動物保護のボランティアをしている彼女は今自宅の近くのアパートにいた猫を拾った、その猫は。
「随分酷い状態だね」
「ええ、だから今から動物病院に連れて行くわ」
アシュリーは夫のルイに答えた、アシュリーは赤髪で青い目で凛々しい顔立ちの若い痩せた女性だ。ルイは茶色の癖のある短い髪と黒の目である。長身で普通の体格だ。
「そうするわ」
「じゃあ車出すよ」
「そうしてくれるのね」
「すぐに行こう、そして家に入ったら」
ルイは自宅の猫達を見た、そこには。
「ニャ~~~」
「ナァ~~~」
「ニャ~~~ン」
キジ猫の雌のルビー、彼の兄である黒猫のトム、妹のサビ猫のマリーもいた。
二人は彼女に少し行って来ると言ってその猫、雄で全身酷い皮膚病にかかっていた彼を病院に連れて行った、猫の右目は青左目は黄色だった。
獣医に診せるとこう言われた。
「皮膚病は治りますが」
「それでもですか」
「はい、この子は随分心を閉ざしていますね」
見れば一言も鳴かない、誰にも顔を向けない。ずっと塞ぎ込んだままだ。
「かなり酷い目に遭ったんですね」
「何でも元飼い猫で捨てられて」
アシュリーはすぐに話した。
「一年位野良としてアパートの端で暮らしていたそうです」
「そうですか、捨てられて」
「そうらしいです」
「身体は治りますが問題は心ですね」
獣医は深刻な顔で述べた。
「本当に」
「そうですか、じゃあ」
「僕達も全力を尽くします」
「何かあったらすぐに来て下さい」
獣医も協力を申し出た、そしてだった。
二人は猫、フェニックスと名付けた彼をだった。
家に引き取ってそのうえで育てだした。二人は彼と真剣に向かい合ってそのうえで彼の心を癒そうと努めた。
だが傷付いた彼の心は中々開かず塞ぎ込みじっとしたままだった。最低限の食事と水は摂るがそれだけだった。
皮膚病が治ってもそうだった、二人はフェニックスはずっとこうなのかと思ったが。
「ニャ~~~ン」
「ミャ~~~」
「ミュ~~~」
ルビー達三匹がだった、彼の横に来て。
身体を舐めたり摺り寄せたりしていつも一緒にいた。そうした日々を過ごし。
フェニックスに優しく接した、すると。
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