レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百八話 ライン川へその六
「責任は自覚しない」
「最悪の事例ですね」
「まさにどうしようもないですね」
「それもまた屑ですね」
「責任を自覚しないで反省もしないでな」
その後輩を思い出しながら言う、試合だけでなく部自体にもその焦りから大変な損害と迷惑を何度も与え遂には強制退部となったが自覚も反省もしなかった輩のことを。
「何度もやらかすからな」
「それで、ですね」
「そうした輩は用いない」
「もう最初から」
「そうしますね」
「ああ」
絶対にというのだった。
「だからいいな」
「はい、この度もですね」
「焦らず進軍しますね」
「無理はせずに」
「そのうえで」
「要塞を攻めるな、何か騎士団は敗れてもどんどん退いてな」
そうした動きをしていることを情報として知っているのだ。
「軍を集結させているみたいだな」
「左様ですね」
「ミュンヘンやその周辺の騎士団は降り」
「街に籠城する者もいますが」
「それ以外の騎士団は」
「ああ、けれどな」
それでもというのだ。
「多くの騎士団は敢えて退いてな」
「そしてですね」
「集結を目指していますね」
「騎士団領西部で」
「それで俺達に決戦を挑むつもりか」
久志は鋭い目になって述べた。
「そうするつもりか」
「騎士としてですね」
「そうするつもりですね」
「彼等は」
「十万は集まるな」
その軍の規模の話もした。
「それ位はな」
「十万は大きいですね」
「数は我々の方が上でも」
「やはり結構な戦力です」
「十万となると」
「その十万が王国軍、連合王国軍と合流するとな」
その場合のことも話した。
「三十万はな」
「いますね」
「それに対して我々は四十万」
「まさに決戦ですね」
「そう言っていい戦になりますね」
「ああ、けれどな」
それでもというのだ。
「そうならない様にな」
「しますね」
「出来るだけ各個撃破しますね」
「それぞれの国の軍を」
「敵は少ない相手をそれぞれ潰す」
久志は一言で言った。
「それが常道だろ」
「はい、戦の」
「まさにそうです」
「敵は各個撃破する」
「それに限ります」
「敵を集結させるなんてな」
そうした行為はというと。
「馬鹿のすることだ」
「多くの場合そうですね」
「それは大軍を相手にすることです」
「大軍を相手にするなぞ」
「どう考えても愚かなことです」
「だから出来る限りな」
この度の戦ではというのだ。
ページ上へ戻る