山羊の親子の再会
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第二章
「だから今からな」
「群れのところになのね」
「この子を連れて行くのね」
「そうしよう、街から結構離れたところにいるからお父さんもわからなかった」
山羊を見たことがなかったというのだ。
「だからな」
「今からね」
「そこまで行きましょう」
妻と娘は山羊を見ながら応えた、そして三人でだった。
父がSNSで集めた情報を頼りに山羊の群れがいる森のその場所に山羊を連れて行った、すると離れた場所にだった。
山羊の群れがいた、その山羊達は。
子山羊と同じ茶色の毛で頭の頂上に白い部分があった、父はその山羊達を見て確信した。
「間違いないな」
「この子あの群れの子達ね」
テレサも言った。
「そうね」
「それじゃあな」
「この子をあの群れに返すのね」
「今からな」
「はい、行きなさい」
マリアが山羊に声をかけた。
「貴女の場所でしょ」
「さあ、行くんだ」
雌だったので一時的にメグと名付けた彼女に言った、だが。
ここで子山羊を見た山羊達の群れからだった。
一匹の山羊が出て来た、そして一声鳴くた。
「メエ」
「メェ~~」
子山羊も応えてだ、すぐにその山羊のところに駆け寄った、そうしてだった。
その山羊に頬を優しく摺り寄せてもらった一緒に群れの中に入った。そうしてだった。
群れと一緒に森の中に戻って行った、その姿が見えなくなってだった。ケンは妻と娘に言った。
「よかったな」
「ええ、皆のところに戻れて」
「本当に良かったわね」
「無事にそうなって」
「これ以上のことはないわ」
「ハッピーエンドだ」
満面の笑みでこうも言った。
「もうこれはな」
「そうよね」
「今日のことは」
「そうだ、じゃあ後は家に帰ってな」
そうしてと言うのだった。
「美味いもの食って飲んで乾杯しよう」
「最高の結末になったから」
「是非ね」
妻と娘も笑顔で応えた、そうしてだった。
一家は家に帰って乾杯した、この日の食事と酒それにジュースは最高のものだった。山羊が群れに戻れたことを心から喜んで。
山羊の親子の再会 完
2021・6・16
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