チンパンジーの幸せ
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第二章
「深刻なトラウマを抱えていますね」
「保護した時は腰を怪我していました」
「ロープが身体に付いていました」
「どうも誰かに酷い虐待を受けていたらしくて」
「私達にも心を開いてくれません」
スタッフの者達はこうホークに話した。
「名前はジェニーと名付けたんですが」
「私達があげた毛布を抱いて」
「それで、です」
「ずっとああしてじっとしています」
「怯えきっていて」
「そうですね、では」
ホークはジェニーを見ながら学者として考えつつ言った。
「徐々にでも」
「はい優しく接していって」
「暖かい目を向けていきましょう」
「ご飯もあげて」
「そうして」
「トラウマを癒すのも私達の仕事です」
だからだとだ、ホークはこうも言った。
「ここはそうしましょう」
「そうですね」
「徐々にでも」
「いつも優しくしていきましょう」
「そして信じてもらって」
「心を開いていきましょう」
「私達は絶対に酷いことはしません」
ホークは言い切った。
「そのことをわかってもらいましょう」
「是非」
「そうしていきましょう」
スタッフ全員で言った、そしてだった。
ホークも他のスタッフ達もジェニーにいつも優しくしていった、それでも彼女は心を閉ざし続けていたが。
少しずつだ、心を開いて。
そうしてホーク達と接する様になった、ホークはすっかり明るくなった彼女に笑顔で色々と教えていた。
「ここはこうすればいいからね」
「キキッ」
明るくなったジェニーは嬉しそうに彼から教わってその教わったことを実践していった、もう心は開いていた。
その彼女と一緒にいた後でホークはスタッフ達に話した。
「チンパンジーも心がある、だからね」
「その心を大事にしないといけないですね」
「我々と同じ心があるから」
「だからですね」
「うん、心を持って一緒にいよう」
ママ、そしてジェニーのことを思いつつ言うのだった。そしてジェニーとも他のチンパンジー達と真心を尽くして接していくのだった。確かな愛情を持って。
チンパンジーの幸せ 完
2021・6・16
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