八条学園騒動記
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第六百十七話 地獄の甘さその二
「それで、です」
「魔術ですか」
「手品の様なものと思って下さい」
ここでの魔術はというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい、召し上がって下さい」
「お金は」
「いりません」
店員ににこりと笑って答えた。
「そちらは」
「そうですか」
「はい、では」
「頂きますね」
「そうして下さい」
こう言ってだった。
セーラは店員にマウリアのアイスクリームを差し出し店員もそれを受け取った。そのうえでそれを食べると。
驚いた顔になった、そのうえでこう言った。
「あの」
「如何でしょうか」
「甘いなんてものじゃないですよ」
セーラにその顔で話した。
「これは」
「そうですか」
「もう脳天に来る」
「そこまでの甘さですか」
「こんな強烈なのははじめてです」
そこまで甘いというのだ。
「本当に」
「これがマウリアのアイスクリームです」
「普通にお店で売っていますか」
「はい」
その通りという返事だった。
「マウリアでは」
「そうなんですね」
「他のアイスもです」
「こうした甘さですか」
「そうです、甘いものは」
それはというと。
「徹底的にです」
「甘いんですか」
「そうなっています」
「そうですか」
「はい、そして」
セーラはさらに話した。
「この甘さがいいとです」
「マウリアでは思われていますか」
「普通の料理は辛く」
「カレーいえカリーはですか」
「全て辛く」
「香辛料を使ってですね」
「徹底的に辛くしてです」
そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「お菓子はですね」
「徹底的に甘くです」
「そうしているんですね」
「辛さと甘さの対比が」
まさにそれがというのだ。
「マウリア料理です」
「そういうことですね」
「それでなのです」
「アイスもこの甘さですか」
「カリーの辛さに対するにはです」
それにはというのだ。
「この甘さでないとです」
「駄目なんですね」
「それで徹底的に甘くしています」
「わかりました、ただ」
店員はアイスをさらに食べつつセーラに話した。
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