北風よりも太陽で
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第六章
「その話したら」
「余計にでしょ」
「はい、親しくなりました」
「そうでしょ、人は自分の好きなものごとを好きな人に親近感を持って」
「多ければ多いだけですね」
そのものごとがとだ、喜三生も言った。
「好きになるんですね」
「そうよ、だから恋愛はね」
「告白するだけじゃないですか」
「やり方があるのよ」
喜三生に飲みながら話した、今は制服姿で飲んでいるがスカートの丈が短いせいか胡座はかいてはいない。女の子座りである。
「そういうことよ」
「そうなんですね」
「そうよ、それとね」
「それと?」
「私もこれでも彼氏いるから」
「そうなんですか」
「そうよ、驚いた?」
巫女は喜三生に笑って言った。
「実際にそのやり方でね」
「交際に至ったんですか」
「というかたまたま好きなものが全部同じで」
それでというのだ。
「そうなったのよ」
「そうですか」
「だからあんたにもアドバイス出来たのよ」
「そういうことですか」
「他のやり方もアドバイス出来るけれどね、それで私があんたに次に言うことは」
団子を一本食べてから言った。
「お幸せにね」
「そう言ってくれますか」
「そう、交際したら」
それならというのだ。
「いいわね」
「幸せになることですか」
「そうよ、その為のアドバイスもしてあげるけれど」
飲みつつにやりと笑って言う言葉はというと。
「一升瓶もう一本よ」
「わかりました」
喜三生は彼女の言葉に笑顔で頷いた、そうしてアドバイスを受けてそのうえで彩香と幸せな時間を過ごした。そして恋愛は太陽もありなのだと人生の教訓の一つにした。
北風よりも太陽で 完
2020・12・19
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