美女でも
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第三章
「堂々と告白してくれたわね」
「俺隠しごと苦手なんで」
「それが嬉しかったから、私も受けさせてもらったの」
颯馬の告白をというのだ。
「お顔や成績のことを言われたら」
「駄目でしたか」
「多分ね。ちょっと言われても」
それでもというのだ。
「そうだったと思うわ」
「そうですか」
「けれど性格だけを言ってくれたから」
それでというのだ。
「嬉しくて、今も私の性格だけを見てくれてるわね」
「だって幾ら美人でも頭が良くても運動神経がよくても」
颯馬は姫子に率直な声で言った。
「駄目じゃないですか」
「人は外見や能力じゃないのね」
「能力は努力次第ですし」
本人のというのだ。
「先輩だって陸上部頑張ったから今マラソン選手ですよね」
「ええ」
それはとだ、姫子も答えた。
「そのことはね」
「そして外見、顔も性格が出ますから」
「人相ね」
「それが出て変わりますから」
「大事なのは性格なのね」
「俺ずっとそう教えられてきて自分もそう思っていますから」
こう姫子に答えた。
「だからです」
「そうなのね、わかったわ」
姫子は颯馬のその言葉に頷いた。
「よくね」
「そうですか」
「貴方にとって性格だけが大事なのね」
「外見や能力がどうでもいいです」
「そのことが嬉しかったから」
それでとだ、姫子はまた答えた。
「私もよ」
「俺は別にそれが凄いとは思ってないですよ」
「そうでないとしても私は嬉しかったのよ」
「性格だけを見てくれて」
「内面をね、だからこれからもね」
姫子は颯馬に笑顔で話した。
「宜しくね」
「はい、お願いします」
颯馬は姫子に明るい顔で応えた、そこには一点の曇りもなかった。
姫子はその曇りのなさに颯馬を見た、彼の性格を。それで彼ならと思ってその手を自分からつないだ。二人はお互いに心地よい温かさを感じた。
美女でも 完
2020・11・15
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