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喫茶店での愚かな会話が

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第二章

「赤ちゃん産まれたら赤ちゃん連れて毎日お散歩に出て」
「赤ちゃんの自慢ね」
「可愛いって」
「そればかりしたのね」
「それでふわりはどうしたのかって思っていたら」
 それがというのだ。
「こういうことだったのね」
「捨てたのね」
「可愛がっていたのに」
「もう邪魔でね」
「いなくなって清々した」
「そう言ってるけれど」
「いや、信じらないわ」
 撮影を続けつつこうも言った。
「こんな可愛い娘いない、自分達の自慢の娘だってね」
「いつも言ってたの」
「お散歩に連れて行って」
「奇麗なドレス着せてリボンも付けてたことあったわ」
 そうだったというのだ。
「いつもブラッシングしてトリミングして」
「そうして可愛がっていて」
「赤ちゃん出来たらポイね」
「保健所で殺処分されてしまえ」
「運がよかったら助かる」
「そんな態度なのね」
「あの人達ずっと撮るから」  
 まだふわりについてあれこれ言っていた、やれ邪魔だの五月蠅かっただの吠えるだのとだ。ケージに入れたままでも臭いだのトイレの処理やご飯をあげるのが面倒だっただのだ。
 女子高生達はその会話を聞いて顔を顰めさせ続けていた。
「人間と思いたくないわね」
「可愛がっていてそれ?」
「娘とまで言っていたのに」
「邪魔とか吠えるとか」
「犬だったら吠えるでしょ」
「トイレもするし食べるわよ」
「臭いって何よ」
 その発言に思うのだった。
「じゃあ最初から飼わないでしょ」
「犬飼う資格全くなしね」
「ああいう人間にはなりたくないわね」
「捨てられるワンちゃんの気持ち考えたら?」
「あれじゃあ子育ても出来ないわね」
「あの二人絶対将来は毒親よ」
 夫婦を見ながら忌々し気に話した、そして。 
 撮影した女子高生は家に帰ると母に撮影した動画を見せた、すると。
 母は視聴を終えてから全身を震わせて言った。
「道理で最近ふわりちゃん見なかった筈よ」
「赤ちゃんばかり可愛がってなのね」
「飼育放棄したのよ」 
 ふわりに対してというのだ。
「それで挙句はポイよ」
「そういうことね」
「この楽しそうな会話、腹が立って仕方ないわ」
 ふわりを捨てて清々しているそれをというのだ。
「ふわりちゃんは生きてるのよ」
「命よね」
「そうよ、あんなに可愛がっていたのに」
「それで捨てるなんて」
「あの人達にとってふわりちゃんはおもちゃだったのよ」
「可愛くて楽しく遊べる」
「そうだったのよ」 
 娘ではなくというのだ。
「ここまで出来るのよ」
「捨てて邪魔だったとか言えるのね」
「そうよ、しかも赤ちゃんいるのにご主人煙草吸ってるわね」
 母はこのことも指摘した。
「奥さんも言わないわね」
「そういえばそうね」
「これも駄目よ、これはまともな親には絶対にならないわ」
「毒親?」
「それになるわ、このことご近所の人に伝えておくわ」
 母は怒った顔のまま言った。
「ふわりちゃんがどうしていなくなったかね」
「捨てたことを」
「ラインでもメールでも知らせるしお話もするわ」
「最低なことだから」
「ええ、もうあの人達とは絶対にお付き合いしないわ」
 母はもう決めていた。 
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