英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第129話
副攻ルートを順調に攻略していたフランツ達は指揮官がいると思われる広間に突入した。
~ジュノー海上要塞・副攻ルート~
「ついにここまで来てしまったか……フン、忌々しきメンフィルの手を借りてでもこの要塞を奪還しようとするとは……”領邦軍の英雄”と呼ばれた”黄金の羅刹”も堕ちたものだな。」
フランツ達が広間に突入すると軍人達が待ち構えており、軍人達の指揮官らしき男性は鼻を鳴らして嫌悪の表情を浮かべてフランツ達を睨んだ。
「見た所貴方がこの副攻ルートの守護を任されている部隊の指揮官のようですね……僕はフランツ大尉。メンフィル帝国軍所属”灰獅子隊”の部隊長の一人です。貴方は何者ですか?」
「例え敵であろうと名乗られたからには名乗り返すのが礼儀だな……私はダルトン大佐。宰相閣下よりこのジュノーの守護を任された第23機甲師団の師団長だ!」
フランツは警戒の表情で自身の名を名乗った後男性に問いかけ、問いかけられた男性―――――ダルトン大佐は堂々とした様子で名乗った。
「え……”師団長”という事はまさか貴方がこの要塞の守護を担当しているエレボニア帝国軍の総司令官なの……!?」
「フッ、私はあくまで副攻ルートの守護を任されているに過ぎん。主攻ルートの守護には私如きでは決して敵わない凄まじい使い手が担当している。―――――それこそ、あの”黄金の羅刹”であるオーレリア将軍ですらも退かざるを得ないような使い手がな。」
(こちらの士気を下げる為の戯言でしょうか……?)
(わかりませんわ……オーレリア将軍はエレボニア帝国の武人達の中でも5本の指に入る武人なのですから、そんなオーレリア将軍と対等以上に渡り合える相手は相当限られてくることになりますが……)
ダルトン大佐が”師団長”である事を知って驚いているアメリアに対して不敵な笑みを浮かべて答えたダルトン大佐の話を聞いたユリーシャとメサイアはそれぞれ真剣な表情を浮かべて小声で相談していた。
「主攻ルートの守護を担当している司令官が相当の使い手だという話は気にはなるけど、まずは僕達に任された軍務を果たすだけだ。―――――無駄だとは思いますが、一応聞いておきます。投降するつもりはありませんか?僕達の背後では別動隊が僕達とオーレリア将軍達、それぞれの部隊に貴方達の援軍が来ないように迎撃している上、外ではヴァイスラント新生軍がこの要塞に詰めていた戦力の相手をしていますから援軍は期待できませんよ?」
「投降後の貴方達の身柄はヴァイスラント新生軍が保証するとの事だから、投降した方が貴方達の為になるよ!」
一方フランツは静かな表情で呟いた後真剣な表情を浮かべてダルトン大佐に投降を促し、フランツに続くようにアメリアも投降を促した。
「ハハハハ……青二才が笑わせてくれる。――――――我が国はかつて”大陸最強”と呼ばれた軍事国家!憎きメンフィルに奪われた”大陸最強”の”称号”を取り戻す為……そして宰相閣下が掲げたエレボニアによる”大陸統一”を果たす為にも貴様らのような女子供が率いる部隊が我ら第23機甲師団に投降を促す等100年早い事をその身に刻み込んでくれる!!」
二人の言葉に対してダルトン大佐は苦笑した後怒りの表情を浮かべて声を上げた後自身の得物である軍刀を構え、ダルトン大佐に続くように周囲の軍人達もそれぞれの得物を構えた。
「やっぱり無駄だったか………―――――だったら僕達の見た目で僕達が貴方達より劣ると判断したその曇った目と考えが間違っていた事を貴方達自身の身に思い知らせてあげますよ!」
「総員、抜刀!!」
「ハッ!!」
「「はい!!」」
対するフランツは溜息を吐いた後真剣な表情でダルトン大佐達を睨んで槍を構え、アメリアは弓矢を構えると共に号令をかけ、アメリアの号令にフランツ隊とアメリア隊の軍人達、そしてメサイアとユリーシャはそれぞれの得物を構え
「―――――戦闘開始!目の前の敵戦力を殲滅せよ!!」
「イエス・サー!!」
フランツの号令を合図にフランツ達はダルトン大佐達との戦闘を開始した!
「喰らえ!!」
「死ね!!」
「―――――護法蓮!!」
銃を得物にしている軍人達がフランツ達目掛けて銃撃するとユリーシャが前に出て障壁を展開して襲い掛かる銃弾を防ぐと共に銃弾を吹き飛ばした。
「炸裂して―――――天翔!!」
「ぐあ……っ!?」
「が……っ!?」
ユリーシャが銃撃を防ぐとアメリアが反撃代わりに跳躍して炸裂する闘気の矢を放つクラフトを銃撃してきた軍人達を攻撃して怯ませた。
「貫け、ソロモンの鉄槌―――――死愛の魔槍!!」
「切り裂け――――――シルフィードキス!!」
「ガフッ!?」
「ぐあああああ……っ!?」
そして軍人達が怯んたその時、メサイアは魔術による暗黒の槍で軍人の一人の急所を貫き、フランツは槍から回転する風の刃を放ってもう一人の軍人の全身を切り裂いてそれぞれ絶命させた。
「おのれ……!アークス駆動―――――イグナプロジオン!!」
部下達の絶命に怒りに震えたダルトン大佐は高火力のアーツを放ってフランツ達にダメージを与えると共に怯ませ
「今だ!一気に畳みかけろ!」
「「イエス・コマンダー!!」」
フランツ達の様子を見たダルトン大佐は軍刀を得物とする軍人達に指示をし、指示をされた軍人達はフランツ達に襲い掛かったが
「ここは通しません!守護方陣!!」
「ぐあっ!?」
「がっ!?」
ユリーシャが展開した攻守一体の魔法陣によって阻まれると共にダメージを受けた。
「回復するね――――癒しの風!!」
そしてアメリアが治癒魔術でダルトン大佐のアーツによって受けた自分達のダメージを回復し
「闇よ、切り裂け――――――斬闇!!」
「「ぐあああああ……っ!?」」
メサイアが暗黒魔力を宿した魔法剣による一閃で魔法陣に阻まれた軍人達の喉元を切り裂いて絶命させた。
「ぐあああ……っ!?」
「がふ……っ!?」
一方フランツ隊とアメリア隊の軍人達と戦っていた他の第23機甲師団の軍人達は次々とフランツ隊とアメリア隊の軍人達に討ち取られ、残ったのはダルトン大佐だけになった。
「フランツ隊長!敵兵の殲滅、完了いたしました!」
「わかった!――――――どうやらこの場でまだ無事なエレボニア帝国軍は貴方だけになったようですね、ダルトン大佐?」
「馬鹿……な……我が師団の者達が………雑兵の一人も討ち取れず全滅した……だと……っ!?」
部下の軍人の報告を聞いた後に問いかけたフランツの問いかけに対してダルトン大佐は愕然とした様子で絶命してそれぞれ地面に倒れている自分の部下達の遺体を見回し
「その様子ですと僕達の事をメンフィル軍の正規軍のいずれかの部隊と勘違いしていたようでしたけど……それは大きな間違いです。僕とアメリアもそうですけど、ここにいる者達の所属は皆”メンフィル皇家の一員であられる方々の守護を任されている親衛隊の極一部”です。」
「なあ……っ!?」
フランツが口にした驚愕の事実を聞いたダルトン大佐は信じられない表情で声を上げた。
「まあ、だからと言って我が国の正規軍の練度が親衛隊に劣っているという訳でもないですけどね。―――――隊長である僕とアメリアの容姿で僕達が貴方達よりも劣っていると判断していたようでしたけど………―――――相手の力量を測る事もできない貴方が”師団長”を務められるのですから、エレボニアの正規軍は師団によって随分と練度が違うようですね?例えばヴァイスラント新生軍に合流したゼクス将軍閣下率いる”第三機甲師団”の練度なら、僕達も苦戦したと思いますし。」
「ぐぐぐぐぐぐぐ………ッ!」
(え、えっと……もしかしてフランツさん、実はご自身の容姿をかなり気にしてらっしゃる方なんですか……?)
ダルトン大佐の反応を見て呆れた表情で呟いた後口元に笑みを浮かべてダルトン大佐を見つめて挑発するフランツの様子が気になったメサイアは冷や汗をかいて小声でアメリアに訊ね
(アハハ………フランツの容姿って見ての通り同年代の男性達と比べたら幼い容姿ですから、それが原因であたし達より年下みたいに見られる事が何度かありましたので……)
(内面を見ず、外面だけで判断する等あまりも愚かな話ですね。)
メサイアの問いかけに苦笑しながら答えたアメリアの答えを聞いたユリーシャは呆れた表情でダルトン大佐を見つめた。
「おのれ……ッ!かくなる上は貴様だけでも道連れにしてくれる―――――ッ!!」
「甘い!――――――”槍のヴァンダール”の秘技、見せてあげるよ……!ハァァァァァァ…………ッ!!――――――ハッ!!」
「ぐあああああ……っ!?ヴァ、”ヴァンダール”……だと……っ!?」
一方フランツの挑発に対して怒り心頭の表情を浮かべたダルトン大佐はフランツに襲い掛かったが、フランツは余裕の動作でダルトン大佐の強襲を回避した後反撃に槍の乱舞攻撃をダルトン大佐に叩き込んだ後高く跳躍し
「穿て――――――セイクリッドストライク!!」
「ガフッ!?こ、この私が……こんな青二才に……エレボニア……バン……ザイ………」
跳躍したフランツは全身に光を纏ってダルトン大佐目掛けて突撃して光の大爆発を起こし、フランツのSクラフトによって身体に大きな穴が開いたダルトン大佐は口から大量の血を吐いた後絶命して地面に倒れた!
「―――――敵将、フランツ・ヴィントが討ち取った!」
「オオオオオォォォォォ―――――ッ!!」
そしてSクラフトを放ち終えたフランツは得物を掲げて宣言し、フランツの宣言に周囲の軍人達は歓声を上げた。
「これで副攻ルートの攻略は完了だね、フランツ!」
「うん。たださっきのダルトン大佐の発言も気になるから、その件も含めて今からルシエルさんに報告しておくよ。」
その後周囲の軍人達が副攻ルート攻略後の行動を開始している中アメリアは嬉しそうにフランツに話しかけ、話しかけられたフランツは頷いた後エニグマを取り出して通信を開始した。
~主攻ルート~
「―――――了解しました。私達は今から主攻ルートで指揮を取っていると思われる敵将がいる広間に突入する所ですから、そちらに配置されている全敵兵の殲滅もしくは降伏を確認したらそれぞれの部隊の半数とメサイア皇女を防衛に当てて、もう半数とユリーシャは迎撃部隊の援軍に向かわせてください。―――――失礼します。」
「どうやらその様子だと、副攻ルートの攻略は完了したようだな?」
エニグマでフランツからの報告を受けたルシエルが通信を切るとルシエルとフランツの会話内容から状況を察したオーレリア将軍がルシエルに確認した。
「ええ。フランツ大尉の報告によると副攻ルートの敵将は第23機甲師団長ダルトン大佐だったとの事です。」
「ふむ?ジュノーの防衛には正規軍のいずれかの”師団長”が指揮を取っていると予想はしていたが、まさか副官どころか”師団長”自身が副攻ルートの防衛の指揮を取っていたとは少々意外だったな。……という事は今から突入する所で我らを待ち構えている敵将は少なくても副攻ルートで待ち構えていたダルトン大佐よりも秀でている可能性が高そうだな。」
ルシエルの説明を聞いたオーレリア将軍は眉を顰めた後興味ありげな表情を浮かべた。
「状況を考えると恐らくその可能性は高いかと。それとそのダルトン大佐自身がフランツ大尉達に対してこう豪語していたとの事です。―――――『それこそ、あの”黄金の羅刹”であるオーレリア将軍ですらも退かざるを得ないような使い手が主攻ルートの”将”として待ち構えている』と。」
「馬鹿な……!?」
「将軍閣下も退かざるを得ないような使い手等、相当限られてくるぞ……!?」
「実力は少なくても将軍閣下と互角だろうから、まさかエレボニアで5本の指に数えられる名将の誰かが待ち構えているのか……?」
「だが、その5人の内将軍閣下は当然として、ヴァイスラントと合流した“隻眼”のゼクス将軍も省くことになるし、”光の剣匠”はオルディスで皇妃殿下の護衛を務めているとの事だから残りの2人―――――”紅毛”か”雷神”のどちらかか……?」
ルシエルのオーレリア将軍への説明を聞いていたオーレリア将軍の部下の軍人達は驚きや信じられない表情を浮かべて騒ぎ始めたが
「―――――静まれ!敵将であるダルトン大佐の発言の為、我らを惑わす為の戯言である可能性も考えられるが……―――――例えどのような強敵が控えていようと、この私の剣と”灰獅子”の参謀殿の知恵で退けようぞ!」
「―――――将軍の仰る通り、今の貴方達には”黄金の羅刹”という”英雄”に加えて私達天使の精鋭部隊、そしてこの私の”智”がついているのですから、心配無用です!」
「オオオオオォォォォォ――――――ッ!!」
オーレリア将軍の一喝と激励、オーレリア将軍に続くように激励をかけたルシエルの激励に士気を高めた。
「さて……鬼が出るか蛇が出るかわからんが、我らを待ち受けている”将”の顔を見てやろうではないか。」
そしてオーレリア将軍は不敵な笑みを浮かべて敵将が待ち構えていると思われる広間に視線を向けた。その後オーレリア将軍達が広間に突入すると、そこには驚愕の人物達が待ち構えていた!
「「……………………」」
「ほう……?」
オーレリア将軍達が突入した広間には何とそれぞれ背中を向けているアルゼイド子爵とルーファスが待ち構えており、二人の姿を目にしたオーレリア将軍は興味ありげな表情を浮かべ
「なっ!?貴方達は……!」
「”光の剣匠”にルーファス卿だと!?」
「馬鹿な……”光の剣匠”はオルディスに滞在している皇妃殿下の護衛についていたはずなのに、何故……」
「そ、それに……何故ルーファス卿が生きてこの場に……ルーファス卿はクロスベルでの迎撃戦で灰色の騎士に討ち取られたはず……!」
オーレリア将軍同様アルゼイド子爵とルーファスを目にしたヴァイスラント新生軍の軍人達は困惑していた。
「―――――惑わされてはいけません!その二人はそもそも”人間ですらありません”から、貴方達が知る”本物の二人”ではありません!目の前の二人は”傀儡”の類です!」
一方アルゼイド子爵とルーファスの正体にすぐに気づいたルシエルは困惑しているヴァイスラント新生軍の軍人達に指摘した。するとその時背を向けていた二人がオーレリア将軍達へと振り向くと二人の顔はそれぞれ真っ白だった。更に二体の人形達がそれぞれ得物を構えると二体の周囲に次々と結社の人形兵器達が現れた!
「フン、周りの人形共は内戦でも見た事があるな。という事はあの2体の人形共を作ったのは大方”裏の協力者達”といった所か。死者を愚弄するに飽き足らず我が師をも愚弄するとは、随分と舐めた事をしてくれたものだな、”裏の協力者”共は……!」
周囲の人形兵器達に見覚えがあるオーレリア将軍はアルゼイド子爵とルーファスの姿をした人形を作った存在が何者であるかに察しがつくと不愉快そうな表情で二体の人形達を睨んだ。
「―――――師を真似た人形は私が相手する。ルーファス卿の人形はルシエル殿に任せる。」
「了解しました。―――――私とオーレリア将軍はそれぞれの人物を模倣した2体の傀儡を撃破しますので、他の皆はヴァイスラント新生軍と協力して周囲の傀儡達を掃討しなさい!」
「はい、ルシエル様っ!!」
自身の得物を構えてアルゼイド子爵の姿をした人形を睨みながらルシエルに指示をし、オーレリア将軍の指示に頷いたルシエルは天使達に号令をかけ
「ヴァイスラント新生軍、我らの城に陣取った人形達を一体残らず掃討せよっ!!」
「イエス・マム!!」
オーレリア将軍もルシエルに続くように号令をかけて戦闘を開始した。
「―――――!」
ルシエルが向かってくるのを確認したルーファスの姿をした人形は強化技―――――ノブレスルーンで自身を強化し
「―――――」
更にルシエル目掛けて3つのスフィアを放出し、放出されたスフィアはルシエルを包囲した。
「ハッ!」
「―――――!」
スフィアに包囲されたルシエルが翼を羽ばたかせて空へと退避すると敵はルシエルがいた場所に斬撃を放って更にスフィアを誘爆させた。
「奔れ、雷よ―――――瞬雷!!」
「!?」
空へと退避した事で敵が放ったクラフト―――――レネゲードエッジを回避したルシエルは反撃に雷の魔力を宿した双剣による突撃で反撃を叩き込むと共に敵の背後に回し
「煌めけ、光よ―――――昇閃!!エニグマ駆動―――――」
続けて光の魔力を宿した双剣による一閃で追撃を叩き込み、そしてオーブメントの駆動を開始した。
「―――――!」
「甘い!」
ルシエルの追撃を受けた敵は反撃に霊力を宿した剣による一閃―――――アークブレイドでルシエルに反撃をしたがルシエルは再び翼を羽ばたかせて空へと退避した。
「――――――」
攻撃を回避された人形は空中にいるルシエルに攻撃する為にアーツ―――――ジャッジメントボルトを発動した。
「見切った!―――――ダークマター!!」
襲い掛かる雷撃を側面へと飛行して回避したルシエルはアーツを発動して敵の動きを重力によって封じ込め
「―――――これで決めます!天を仰ぎ慚愧せよ!たぁっ!」
敵の動きを封じ込めたルシエルは双剣で敵を斬り上げた後に飛び上がって斬りつけて敵を地面に叩き付けると同時に、敵の周囲及び自分と敵を繋ぐ直線状に光の魔法陣を展開し
「崩翼聖紋!!」
止めに魔法陣の内部に飛び込んで一瞬で敵に迫って斬撃を叩き込むと共に魔法陣を炸裂させた!
「―――――!!??」
ルシエルが放ったSクラフトの魔法陣の炸裂によって四肢がもがれた敵はそのまま動かなくなった。
「―――――!」
「―――――果てよ!!」
アルゼイド子爵の姿をした人形は光の斬撃波を放つクラフト―――――洸迅剣を放ち、オーレリア将軍は黄金の闘気の斬撃波を放つクラフト―――――覇王斬を放った。二人が放ったそれぞれの斬撃波がぶつかり合った瞬間オーレリア将軍が放った黄金の斬撃波が敵が放った光の斬撃波を呑み込んで敵に襲い掛かった。
「!?」
「遅い!!」
黄金の斬撃波を受けた敵が怯むとその隙を逃さないオーレリア将軍が追撃を叩き込んで敵に更なるダメージを与えた。
「―――――」
「!」
オーレリア将軍の追撃を受けた敵は反撃を開始したがオーレリア将軍は後ろに跳躍して回避し
「―――――!」
「塵と化せ―――――四耀剣!!」
更に敵が光の渦で敵を引き寄せ、一気に斬り伏せるクラフト―――――洸閃牙を放つとオーレリア将軍は空高くへと舞って回避した後四属性の力を宿した斬撃を大地に叩き付けて発生した衝撃波で敵に攻撃を叩き込んだ。
「―――――!――――――」
オーレリア将軍が放ったクラフト―――――四耀剣によって更なるダメージを受けた敵は自身を強化するクラフト―――――洸翼陣で自身を強化した後自身の得物を闘気によって光の大剣と化させた。
「フッ、”洸凰剣”か。―――――ならば、この私が本物の”洸凰剣”を見せてやろう。うおおおおおお……っ!!」
敵の動きを見て敵が放とうとしている大技に察しがついたオーレリア将軍は静かな笑みを浮かべた後オーレリア将軍も敵のように自身の得物を自身の黄金の闘気によって黄金の光の大剣と化させ
「―――――!!」
「絶技――洸凰剣!!」
敵が光の大剣と化させた大剣で自分目掛けて斬り込むと同時にオーレリア将軍も黄金の光の大剣と化させた大剣で敵目掛けて斬り込み、敵とオーレリア将軍は大技を放ち終えるとそれぞれ背中を向けた状態になり
「フン、やはり所詮は”人形”だな。見様見真似の剣等私には決して通じん。」
「―――――!!??」
そしてオーレリア将軍が鼻を鳴らして得物を一振りすると敵は真っ二つに分かれて地面に倒れ、そのまま動かなくなった!
「―――――どうやら、そちらも終わったようだな?」
「ええ、オーレリア将軍の方も。―――――そしてこれで”主攻ルート”の奪還も成りましたね。」
得物を鞘に収めたオーレリア将軍はルシエルに話しかけ、話しかけられたルシエルは頷いた後人形兵器達を殲滅し終えたヴァイスラント新生軍や天使部隊の状況を見て呟いた。
「うむ、後は主攻ルート内に残っている残存兵達の対処だな。―――――それにしても其方もそうだが、其方の配下達は我らに背中を向けていた状態の師とルーファス卿の人形達の事を”最初から偽物だとわかっていたような様子”だったが、”天使”という種族は人間と人形を瞬時に区別できるような能力でもあるのか?」
周囲を見回した後ルシエルの言葉に頷いたオーレリア将軍はふとルシエルが瞬時にアルゼイド子爵とルーファスの姿をした人形達の正体を見破った事を思い出し、ルシエルに訊ねた。
「はい。私達”天使”は人間に限らず、様々な種族の”魂の輝き”がわかりますから、例え人の姿をしていようとも、傀儡には”魂の輝き”がないのですから、人間か傀儡かはすぐに見分ける事ができるのです。」
「ほう…………―――――何はともあれ、其方達のお陰で我らの居城を取り戻す事ができた。後はミルディーヌ様達の方だが……この調子なら、オルディスの奪還も難なく成りそうだな。」
「ええ、”光の剣匠”への対策は当然として、ルーレの時のように”紅き翼”が介入し、更に”紅き翼にとっても想定外の援軍”が現れようと、その援軍が”神”や”英雄”クラスでなければ、”紅き翼”は”決してリィン少将達の元に辿り着く事はできません。”」
オーレリア将軍の言葉に頷いたルシエルは確信した様子で答えた。
~海都オルディス・カイエン公爵家城館・正面ロビー~
一方その頃、地下水路からカイエン公爵家の城館内に突入したリィン達は城館内で待ち構えている鉄道憲兵隊や正規軍を撃破しながら進み、正面ロビーの敵達を殲滅し終えた所だった。
「―――――これより、城館内の全フロアの制圧を開始する。手筈通り、俺達は奥で待ち受けている敵将を撃破する!他の者達は協力して右翼、左翼の完全掌握をしてくれ!!」
「各部隊、協力して迅速かつ確実に作戦を遂行しなさい!」
「それとわかっているとは思うが非戦闘員には決して手を出すな!」
「後可能性は低いが、降伏を申し出た敵兵達は武装解除と拘束に止めておけよ!」
「イエス・コマンダー!!」
「「イエス・サー(マム)!!」」
リィン、エーデルガルト、ディミトリ、クロードの号令にそれぞれ力強く答えた軍人達はそれぞれ右翼と左翼に散って行動を開始した。
「―――――レン達はこのあたりで”紅き翼”を待ち構えているわ、リィン少将。」
「了解しました!―――――みんな、行くぞっ!!」
「おおっ!!」
レンの言葉に頷いたリィンは号令をかけた後仲間達と共に奥へと向かった。
「さて……我らの元に辿り着いた時点で、何人残っているだろうな?何せ第一関門で待ち受けている戦力は”エリゼとデュバリィだけではないからな。”」
「フフ、さすがにベルフェゴールだけでなく、”彼”まで”紅き翼”対策の戦力にするのは”紅き翼”が可哀そうに見えてくるけどね。―――――その点、貴方はどう考えているのかしら、レーヴェ。」
リィン達を見送った後”紅き翼”が現れる可能性が高い右翼に通じている通路を見つめて呟いたアイネスの疑問に苦笑しながら答えたエンネアはレーヴェに訊ね
「少なくても半数以上で”神速”達を超える事は不可能だろう。―――――例え、”蒼の深淵”達の加勢があろうとな。」
訊ねられたレーヴェは静かな表情で推測を口にした。
~海都地下水路~
「!―――――みんな、あれ、見て……!」
仲間達と共に先を急いでいたエリオットはある光景に気づいて声を上げ、仲間達がエリオットが視線を向けた方向に視線を向けると鉄道憲兵隊の遺体が散乱していた!
「こいつらは……!」
「この軍服は確か……」
「て、鉄道憲兵隊(TMP)じゃないか……!?何で鉄道憲兵隊の遺体がこんな所にこんなにたくさんあるんだ……!?」
仲間達と共に立ち止まって周囲に散乱している鉄道憲兵隊の遺体を目にしたサラとラウラは真剣な表情を浮かべ、マキアスは信じられない表情で声を上げた。
「恐らくはリィン君達が地下水路から公爵家の城館に潜入する事を予測して迎撃したが、”返り討ち”にあったという所だろうね。」
「ああ……そんでリィン達の侵入ルートを予想できる程の頭が回る鉄道憲兵隊の指揮官クラスと言えば、一人しかいねぇな。」
「そ、それってもしかして………」
「状況から考えて、十中八九クレアがオルディスの防衛の指揮を取っているんだろうね~。」
「ミリアムちゃん……」
アンゼリカの推測に頷いた後に呟いたクロウの話を聞いて察しがついたトワは不安そうな表情を浮かべ、複雑そうな表情で呟いたミリアムの様子をエマは心配そうな表情で見つめた。
「ハッ、ルーレの時同様シュバルツァー達に従っている下っ端のメンフィル兵の連中の遺体は見つからない事からして、シュバルツァー達の方は相変わらず消耗してねぇみてぇだな。」
「白兵戦が主な鉄道憲兵隊ですらも、この有様になる事は”氷の乙女”も想定していなかったかもしれんな。」
「―――――その意見には同意しますわ。」
アッシュは周囲の鉄道憲兵隊の遺体を見回して鼻を鳴らして推測し、ユーシスが重々しい様子を纏って呟いたその時デュバリィの声が聞こえた後トワ達の前方からデュバリィとエリゼが姿を現した!
「”鉄機隊”の”神速”……!」
「それにエリゼも……!」
二人の登場にフィーとガイウスは声を上げて表情を引き締めた。
「兄様やルシエルさん達の予想通り、やはり今回の件にも介入しようとしているようですね………無駄とは思いますが、一応伝えておきます。今回の作戦で公爵家の城館に滞在していらっしゃるプリシラ皇妃殿下もそうですが、レーグニッツ知事閣下もヴァイスラント新生軍より”お二人は保護対象の為危害を加える事は絶対に厳禁”と言い含められていますから、兄様達は皇妃殿下と知事閣下に危害を加えるつもりは一切ありませんし、オルディスの戦闘が終結すれば”紅き翼”の皆さんが望むのであれば兄様達もそうですがヴァイスラント新生軍もお二方の身柄を”紅き翼”に任せるつもりとの事です。」
「へ……皇妃殿下はわかるが、何でヴァイスラント新生軍―――――貴族連合軍が父さんの事をそこまで気遣ってくれるんだ……!?」
エリゼの話を聞いたマキアスは呆けた声を出した後戸惑いの表情で疑問を口にした。
「恐らくだが、ミルディーヌ君達は戦後エレボニアがどのような”結果”になろうとも、知事閣下は戦後のエレボニアにとって必要不可欠な人材と判断したんだろうね。」
「知事閣下の人格や能力も考えると、オズボーン宰相を廃した後の帝国政府の代表者は知事閣下しかいないからという事もあるからでしょうね………」
マキアスの疑問に対してオリヴァルト皇子とセドリックはそれぞれの推測を口にした。
「……お二方の推測通りです。―――――以上の事から、ルーレの時と違い、皆さんが保護しようとしている皇妃殿下と知事閣下の身の安全はメンフィル・クロスベル連合、ヴァイスラント新生軍共に”最初から保障している”のですが……それでも今回の件に介入するおつもりですか?」
「当り前よ!第一今回の件で私達が保護する身内はそのお二人以外にもまだいると知っていて、リィン達は貴方達を私達の足止めに当てたんでしょう!?」
「エリゼ様も最初に『無駄とは思いますが』と仰っていたのですから、私達にとっての”三人目の保護対象がルーレの件同様、リィン様達が討とうとしている人物”である事は重々理解しているのでは?」
「二人の言う通りだ……!今こそ”呪い”によって操られている父上を救う為にもそこをどいてもらう……!」
エリゼの問いかけに対して反論したアリサとシャロンの言葉に続くように声を上げたラウラは大剣を構え、ラウラに続くように仲間達はそれぞれの武装を構えた。
「フン、シュバルツァー達との戦闘で疲弊した”光の剣匠”を無力化する事で目的を達成するという厚かましい真似をしようとしている癖に、それで”救う”等という言葉がよく出ますわね。」
「アハハ……こっちの考えはお見通しみたいですね。」
「まあ、向こうにはレンも含めて”智”に優れている人物が3人もいるのだから、最初からあたし達の狙いにも気づかれていてもおかしくないわよ。」
鼻を鳴らして指摘したデュバリィの指摘に対してアネラスは苦笑し、シェラザードは疲れた表情で呟き
「へっ……ルーレの件を考えるとテメェらの後にも俺達を阻む連中が控えているんだろうが……随分と俺達の事を舐めているようだな?幾らテメェらが相当な使い手でも、この人数を相手に抑えきるなんて無理だろうが。」
アガットは不敵な笑みを浮かべてデュバリィとエリゼを見つめた。
「私達もそうですが、私達の”参謀”であるルシエルがそんな浅はかな考えをしているとでも?―――――出番ですわよ、バルディエル!!」
「やれやれ……ようやく我の出番か。」
そしてアガットの言葉に対して答えたデュバリィはバルディエルを召喚した!
「ええっ!?し、”神速”がリィンみたいに異種族を召喚するなんて……!?」
「―――――気をつけなさい!感じられる霊力の大きさからして目の前の天使は間違いなく今まで出会った天使の連中―――――ユリーシャ達よりも”格上”よ……!」
「”能天使”である彼女達よりも”格上”という事は、恐らく天使としての位階も彼女達よりも上の位階の天使なのだろうな……」
バルディエルの登場に驚いたエリオットは声を上げ、バルディエルの強さを感じ取っていたセリーヌは警告し、ミュラーは厳しい表情でバルディエルを睨んだ。
「フッ、我の位階が”能天使”よりも格上なのは否定すまい。―――――我の名はバルディエル。我が位階は”主天使”だ。」
「ド、”主天使”―――――天使階級の順位で言えば”第四位”ですから、目の前の彼は”第六位”のユリーシャさん達よりも二つも上の”位階”に位置する天使です……!」
「ユリーシャ達より”格上”の天使だからって、恐れる必要はないわ!単に向こうが二人が三人に増えただけよ!圧倒的に人数が勝っているあたし達が協力すれば何とかできるわ!」
不敵な笑みを浮かべたバルディエルの説明を聞いたエマは真剣な表情で仲間達に警告し、サラはアリサ達に激励をした。
「フフン、バルディエルをそこらにいる”天使”と侮ってもらっては困りますわ。―――――何せバルディエルは”はぐれ魔神”でもあるのですから!」
「”はぐれ魔神”ですって!?」
「”はぐれ魔神”……?”魔神”とはどう違うんだ……?」
得意げな様子で答えたデュバリィの説明を聞いたシェラザードは血相を変え、ガイウスは真剣な表情で疑問を口にした。
「既に皆さんもご存じかと思われますが、”魔神”とは神に匹敵するような強大な力を持った魔族の別称で、魔神の中で地域の魔族などを統率して一大勢力を作り上げる者は魔王と呼ばれます。そして逆に一所に留まらない者が”はぐれ魔神”と呼ばれているのです。―――――ちなみにベルフェゴール様も”はぐれ魔神”に該当する”魔神”の一柱です。」
「え”。という事は目の前の凄そうな雰囲気を纏っている天使さんの実力は……」
「”魔神”クラスって事かよ……!」
「おいおい……このタイミングで、そんな”隠し札”を切るとかチートだろ……つーか、一体いつそんな”切り札”を手に入れたんだよ?内戦の時はそんなとんでもない戦力を使って来なかったことからして、メンフィルに所属を変えてから”契約”をしたのかよ?」
エリゼの説明を聞いてバルディエルの強さが”魔神”同様である事を知ったアリサ達が血相を変えている中アネラスは表情を引き攣らせ、アガットは厳しい表情で声を上げ、クロウは疲れた表情で呟いた後デュバリィに問いかけた。
「ええ、シュバルツァー達と共にトリスタを占領する作戦の際に偶然トリスタ近郊で”領域”を作っていたバルディエルが問答無用で私達を”領域”に巻き込んだ挙句襲い掛かって、それを私達が”返り討ち”にした結果、私の承諾もなしに、勝手に私と”契約”して私の身体に住み着いたんですわ!」
「……変な邪推をされる前に先に言っておきますが、デュバリィさんとバルディエルさんの契約方法は互いの魔力を同調するやり方ですから、兄様とメサイア様達の”契約方法”とは全く異なります。」
デュバリィとエリゼの説明を聞いたアリサ達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「異種族との契約方法って、”性魔術”だけじゃなかったんだ。」
「って事はあのリア充シスコン剣士だけ、男にとっての都合のいい契約方法ばかりで契約していたって事じゃねぇか!?」
「フフ、よく考えてみれば”特務支援課”の内の何人かはそれぞれ異種族と契約していた上、その中には同姓同士の組み合わせもいたから、恐らく彼らもそうなんだろうね。―――――まあ、私はむしろ”同姓による性魔術の契約”は望む所なんだけどね!」
我に返ったフィーはジト目で呟き、クロウは悔しそうな表情で声を上げ、アンゼリカは苦笑した後高々と叫び、アンゼリカの叫びを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力し
「3人とも今はそんなことを気にしている場合じゃないよ………」
我に返ったトワは疲れた表情で呟いた。
「それで……どうするつもりですの?大方、今回の足止めに私達が”魔神”も使うと想定した上での”策”を考えていたのでしょうけど、その”策”は”魔神一柱”に対してであり、”魔神二柱”も相手にすることは想定していなかったのでしょう?」
「くっ……要するにその天使もあの冷酷外道天使によるトワが考えた”策への対抗策”だったのね……!」
勝ち誇った笑みを浮かべたデュバリィの言葉に対してサラは悔しそうな表情で唇を噛み締めてデュバリィを睨んだその時
「―――――でしたら、その対抗策をも上回る戦力を披露させて頂きますわ。」
「へ。」
「……?」
「シャ、シャロン……?」
シャロンが静かな表情で前に出て宣言し、シャロンの宣言にデュバリィが呆け、エリゼが眉を顰め、アリサが困惑の表情を浮かべたその時
「―――主に仕える事を史上の喜びとする我が”同志”にして”友”達よ!今、ここに来たれっ!”エウシュリー”!!」
詠唱をしたシャロンが天井を見上げて叫んだ。すると突如空間が裂け、裂けた場所から4人の天使族のメイドの服を着た謎のメイド達が現れた――――――!
後書き
今回の話で出てきたアルゼイド子爵とルーファスの人形は空SCで登場したヨシュアの姿をした人形の別VERのようなものだと思ってください。今回の話でアリサ達にバルディエルぶつけるとか、幾ら何でも反則のような気もしますが、エウシュリー系のゲームをプレイした人達ならご存じエウシュリーシリーズのいつもチート性能なマスコット達がいれば、話は変わるのはお気づきかとwwそれとクロの軌跡の発売日がついに発表されましたが……よりにもよって、テイルズと同じ9月とは(冷や汗)
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