馬との別れ
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第二章
「そしてですね」
「犬も猫もです」
息子は今度は彼等を見て話した。
犬は黒のマスチフにシェパードに茶色と白のコーギーだった。
「ロナウド、ベルファスト、エリザベスです」
「ワン」
「ワンワン」
「ワフウ」
「そしてこの子達が」
今度は猫達、アメリカンショートヘアと茶色のスコティッシュフォールドと三毛猫だった。
「ダリー、ショーン、メアリーです」
「皆がですね」
「母がずっと可愛がっていました、特にブロンウェンは」
その顔の真ん中が白い黒馬を見てタイラーに話した。
「二十五年ずっとです」
「可愛がられていましたか」
「そうです、では今から」
「はい、こちらに来てもらいます」
こう言ってだった。タイラーは他のスタッフ達と一緒に老婆ベッドに寝たままの彼女をベッドに付けた車輪とエレベーターを使って。
駐車場にまで案内した、そしてペット達の前に連れて来ると。
彼女は満面の笑顔になって涙を流して言った。
「皆、来てくれて有り難う」
「ヒヒン」
「ヒン」
「ヒーーン」
「ヒヒーーーン」
「ヒンヒン」
「ヒーーーーン」
馬達が近寄り。
「ワン」
「ワフウ」
「ワンワン」
犬達も来て。
「ニャン」
「ニャオ~~ン」
「ミャウン」
猫達も来てだった。
皆で老婆を囲んだ、そのうえで。老婆に頭を撫でてもらい顔を摺り寄せて頬にキスをした。特に一番長くいたというブロンウェンは。
しきりに老婆に顔を寄せて頬にキスをして舐めてだった。
そのうえで別れの挨拶をした、それが終わってからだった。
老婆は生きもの達に笑顔で言った。
「最後に会えてよかったわ、もう思い残すことはないわ」
「それではですね」
「はい、有り難うございました」
タイラーにもスタッフ達にも別れの言葉を言ってだった。
老婆は病室に戻り暫くして世を去った、その時の顔はとても穏やかで満ち足りたものだった。
タイラーは老婆を見送ってからブラジルのリオグランデ=ド=ノルテ州に旅行に行った、するとそこでだった。
一頭の馬を牧場で見た、それは見事な白馬で。
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