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おぢばにおかえり

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第六十四話 阿波野君と先輩その十八

「だからね」
「千里としてはもういいっていうのね」
「そう思うけれど、私は」
「それは千里がその人を大事に思っているからよ」
「それで贔屓してるっていうの?」
「かわいいね」
 八つのほこりのこの言葉が出てきました。
「その気持ちよ」
「それになるの」
「厳しいことを言うとね、けれどそこまで残酷なことをしたら」
「許されないのね」
「しかもされた人がおみちから離れたから」
 大嫌いとまで言ってです、折角天理高校に通って卒業したのにです。
「それはとても残念なことだから」
「余計に悪いのね」
「これはお引き寄せでその人も戻って来るかも知れないけれど」 
 それでもというのです。
「そうしたことは本当に許されないことだから」
「駄目なのね」
「そうも思うわ、お母さんは千里達がしたら絶対に許さないと言ったけれど」
「先輩もなの」
「お話聞いていてそう思ったわ」
 苦い声でした、とても。
「本当にね」
「そうなの」
「けれどお母さんその先輩に会ってもね」
 そうしてもとです、お母さんは私に言いました。
「何も言わないわ」
「先輩に対して」
「ええ、何もね」
「それはどうしてなの?」
「心から反省しているわね」
「怒られておみちが嫌いになった人を作ってしまって」
 それで、です。先輩はどう見てもです。このお話をする時いつも俯いて悲しいお顔になっていることからわかります。 
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