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猫の看護士

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第一章

                猫の看護士
 カルフォルニア州アゴーラビルのオークス救急動物病院に一匹の野良猫が担ぎ込まれた、レイチェル=ヴォラック金髪碧眼ですらりとした長身の彼女はその茶色と白のスコティッシュフォールドを診て言った。
「これは大変よ」
「大怪我ですね」
「見てわかる位ですね」
「ええ、だからね」
 それ故にとスタッフにも話した。
「集中治療よ」
「わかりました」
「下半身の殆どが麻痺しています」
「これは重傷です」
「けれど後ろ足と尻尾は動いているから」
 見ればそうだった。
「回復する見込みはあるわ」
「そうですね」
「それならですね」
「絶対に助けますね」
「そうするわ」 
 こう言ってだった。
 その猫の手術を行い懸命に手当てをした、その結果。
 フェルギュスと名付けられた猫は回復し普通に動ける様になった、診てみると雄だった彼はというと。
 動ける様になるとすぐにだった、回復するまでの間ずっと彼に寄り添っていたサルバトールという名前の雄猫、病院のスタッフの一人が飼っていていつも病院に連れて来ている白い毛に茶色が少しある猫、今は病院で里親を待っている彼のところに行って自分のキャットフードが入った皿を右の前足ですっと差し出した。
「ニャア」
「ニャア?」
「ニャア」
「お礼みたいね」
「そうですね」
 若い女性の看護師はレイチェルに応えた。
「それをしているみたいですね」
「そうね、感謝しているのね」
「回復するまでずっと傍にいてくれたから」
「そのお礼ね」
「そうですね、いい子なんですね」
 看護師は自分のご飯を差し出したフェルギュスをこう評した。
「この子は」
「そうね、これからどうするかまだ決まってないけれど」
 彼が野良猫だからだ。
「里親を探すかこの病院で引き取るか」
「それはまだですね」
「ええ、けれどね」
「それでもこの子はいい子ですね」
「そのことは間違いないわ」
 笑顔でこう言ってだった。
 フェルギュスに彼の分のご飯をあらためて出した、この時病院のスタッフ達は彼をただ性格がいいと思っているだけだったが。
「ニャア」
「ナア」 
 道にいて怪我をしていたので保護された雄の子猫、スカイウォーカーと名付けられた黒と白の彼のところに来てだった。
 彼が退院するまで一緒にいて世話をした、そして彼が退院して優しい人に里親として貰われていくと。
「ナア」
「ニャオン」
 白い雌の子猫、マリーと名付けられた彼女一緒に保護された兄弟達がそれぞれ里親に貰われたが彼女だけがまだ引き取られず。
 寂しい思いをしていると傍に来て一緒にいた、そして。
 彼女が里親に貰われるまで寂しくない様にした、彼女が嬉しそうに里親と一緒に病院を旅立つとだった。 
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