【自作イラスト追加しました】ちゃちゃっと絵を描く能力で世界最強!~追放されたい俺を女神さまが放してくれない~
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ダンジョンにやってきました
敵側が、このリセのシナリオ、つまり悪役令嬢の乙女ゲームの情報を持っている。
意外な話に俺は、
「そんなにピンポイントで手に入れられるものなのか?」
「分からない。でもそれを知っている私が呼ばれたのだから、それを知っている人物あるいはゲームそのものを持っている可能性だってあるわ」
「ゲーム機とゲームカセット両方か」
「あるいはダウンロード商品だったら機械だけでいいわね。もしくはソフト入りで飛ばされるか」
「でも言語は? 一応女神さまは読めるみたいで、翻訳して一部ばらまいていたが」
と、アニメマンガゲームが大好きなうちの女神さまを思い出す。
なんでも異界の本やら何やらがまれに次元を超えて飛んでくるらしい。
しかも異世界転移者をこの世界に呼び出すと、その空間と空間の壁が薄くなり、そういったものがこの世界に落ちてきやすくなるらしい。
おかげでウス異本なる同人誌が……。
いや、あの話もやめておこう。
あの女神さま、好きなものは他人に紹介して共有したいタイプで、俺たちの世界の漫画を神官たちと共有していて、しかも神官たちの中からそういった漫画などを描く人達が生まれて……になっていた気がする。
それでも本場の情報を知りたいといわれて俺は……俺は……。
俺だって健全な男子高校生であって、そんな次から次へと紹介は無理で、残るは……残るは……。
そもそも俺がこの能力が欲しかったのは、健全な絵だけを描きたかった、というわけではなく……。
「どうしたの?」
つい黙ってしまった俺にリセが聞いてくるが、
「大した理由じゃない。でも、そういえば魔王は神様の怨念だからそういったものさえ入れれば読めたりする可能性もあるのか」
「そうね。それにゲーム上だとバッドエンドってかなり変な選択をしないといけないの。そこに【意思】が介在しないと選べないような、ね」
「それで今の所、ゲームと同じような展開ってあったのか?」
「ハッピーエンドルートに持っていこうとして邪魔はされたわね」
あっさり言ってのけたリセに、十分ありそうな話なのかと俺は思ったが、
「タイミングが合うかどうかは分からない。となるとしばらくその洞窟に通う形になるのか?」
「できれば。それに結構いいものが手に入ったはず。特にクレアがいるし」
そう言ってクレアの方をリセが指さしてクレアが、
「なんの話?」
「確かゲーム内データだと、クレアには良い物が手に入りやすいボーナス点みたいなのがついていたわよ? 聖女だから女神さまがこっそりプレゼントしていたみたいだけれど……知らなかった?」
「知らないよそんな話」
「そっか~。後でステータスを見て見ましょう。というわけでクレアがいるといいものが手に入るわよ」
そんな話をして、しばらく一緒に冒険しましょうとリセに誘われて、少しくらいなら良いかなと思っていた所でコジローが依頼を持ってやってきたのだった。
依頼は【猫星草】という、猫耳のようなふわふわした花をつける洞窟に咲く草を幾つかとってくることだった。
そんなに量が要らないので単価も安いが、冒険気分を味わうには良いだろうとの事だった。
初心者に良さそうなものを見繕ってもらったので、お礼を言ってその依頼を受ける。
パーティ登録のようなものもして、窓口が何時まで開いているかとか、別の場所にある依頼の品以外の採取物の換金所などを教えてもらい、俺たちはその場を後にした。
親切な異世界人だったと思う。
しかもこれをくれたしなと思って俺は【救急缶】の外側を見る。
なんでもダンジョンなどに潜って、変な場所に入り込んだり危険な状態になったり、持病が悪化したりした場合、この缶を開けて連絡すると、救助しに冒険者が来てくれるらしい。
もちろん料金を支払わなければならないが、命あっての物種だ。
開いた時点で場所の特定が出来る? らしい。
実は画期的な発明で、これでダンジョン内での死亡者が大幅に減ったらしい。
その発明者はコジローと書かれていて、宣伝をするおじさんが、【彼女】は素晴らしいと書いてある。
ん?
「……コジローって、女の子なのか?」
「え? 気づかなかったの?」
「ふむ、これが鈍感主人公」
クレアとリセが、当然女の子だと気づいていたような答えが返ってきた。
つまり彼……ではなく彼女は、僕っ子だったらしい。
髪が短くて胸もあまりないというか、貧乳なので普通に同性だと思っていた。
自分の他人を見る目に疑問が出てきたなと俺が思っていると、クレアの目が細くなる。
何かに気づいたらしい。と、クレアが、
「こちらを観察してる。……声を収集する関係の魔法は無いみたい」
「そうか。敵か?」
「魔力の気配からするとそうみたいだけれど、どうする? 中に入って表れた所を叩く?」
そう聞いてくるので俺はリセの方を見ると、
「お願いしたいわ」
「分かった。ハッピーエンドルートのフラグが立てられそうなら、それに乗ってもいいが、俺、どの程度戦力になるか分からないぞ?」
と忠告しておく。
実際に俺の能力がどの程度通用するのかを、実戦経験がほぼない俺は分からない。
するとクレアが、
「私たちが初めて出会った時のあの魔法が使えるなら十分よ」
「と言ってもそこまで沢山作ってないからな……こんな事ならもっと作っておけばよかったな。まあいざとなったらその場で作るからいいか」
そう俺が答えるとクレアが変な顔をして、
「そんなに簡単にあれだけの威力が撃てる魔道具が作れるなんて……やっぱり異世界人は、色々おかしいわ。それ戦闘に役に立たないなんて、どうなっているのよ」
「いや、色々あったから。アイデアが閃かなければ、そんなものだ。あ、あそこがダンジョンの入り口じゃないか?」
そこで俺たちはダンジョンの入り口に辿り着いたのだった。
後書き
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