カメラマンの傍に
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第一章
カメラマンの傍に
ヨーゼフ=ジェラルド、顔の下半分に黒い髭を生やし金髪を短くしている青い目の彼はカメラマンをしている、撮影の対象は野生動物達である。
その彼に日本のユーチューバー本名緑川翔太ハンドルネームは別の彼が英語で尋ねた。ユーチューバーだが本職は塾で英語の先生をしている。眼鏡をかけていて少し犬に似た顔で黒髪をセットした二十代の男性である。会話はネットで顔を合わせてお互いにコーヒーを飲みつつ話している。緑川はその中でジェラルドに尋ねた。
「野生動物の撮影ですとやっぱり猛獣とかか」
「襲われたりですね」
「ありますよね」
「そのことは注意しています」
ジャラルドは画面の向こうの彼に答えた。
「私も」
「やっぱりそうですね」
「ライオンにも虎にも豹にも熊にも」
「やっぱりそうですね」
「絶対に一人では活動しないで車を近くに置いて」
「何時でも避難出来る様にしてですね」
「撮影しています、現地のスタッフとも一緒にいて」
そうしてというのだ。
「注意しています、ですが危険なことは」
「ないですか」
「ありますが然程危険な状況は」
「なかったんですか」
「むしろ大雨とか雷とか寒波とか嵐とか」
「そういったものの方がですか」
「怖いですね、カメラや他の機械もやられかねないし」
このこともあってというのだ。
「そういったものの方が怖いです」
「そうですか」
「はい、ただ」
「それでもですか」
「面白いこともありますよ、これは他のカメラマンが撮影したものです」
ここでだ、ジェラルドは。
緑川にある画像を送った、それは。
「あれっ、アザラシがジェラルドさんの傍に来て」
「カメラも覗き込んでいますね」
「そうしていますね」
「はい、面白いですね」
「これは私が撮影したものです」
見ればその写真は。
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