イベリス
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第五話 入学間近その八
「入れたらいいわね」
「茸もなの」
「これは椎茸ね、咲餃子作れるし」
「中のあんも作るわね」
「宜しくね。お料理もね」
これもというのだ。
「出来た方がね」
「いいわよね」
「やっぱりね」
何といってもというのだ。
「美味しいもの食べられるでしょ、それに趣味になったら」
「いいわね」
「だからお料理もね」
「出来るに越したことないのね」
「そう、だから」
それでというのだ。
「咲もね」
「お料理やっていくことね」
「他の家事もね。まあ先はそっちはね」
家事のことはというのだ。
「出来てるししてくれるし」
「いいのね」
「そっちはね、これからもしていくといいわ」
「やっぱり結婚した時とか」
「一人暮らしでもよ、家事出来たら強いわよ」
それだけでというのだ。
「だからね」
「お料理もして」
「他の家事もよ」
「お洗濯もお掃除も」
「食器洗いもね」
「私どれもいつも結構してるね」
「その結構していることがね」
まさにこのことがというのだ。
「後々役立つから」
「一人暮らしした時とか」
「結婚してからもよ」
「そういうことね」
「とはいってもお掃除もお洗濯も楽でしょ」
「だって掃除機とか洗濯機使うだけだから」
それでとだ、咲は母に答えた。
「そうだからね」
「じゃあ出来るわね」
「ええ、覚醒剤で捕まった元プロ野球選手は洗濯機の使い方もわからなかったっていうけれどね」
「あの人頭あれだから」
「あれなの」
「覚醒剤してよ」
そもそもという口調での言葉だった。
「とんでもない糖尿病になって野球選手なのに格闘家のトレーニングしてたし」
「あと刺青も入れてたわね」
「もうどれを取ってもね」
それこそというのだ。
「あれよ」
「そう言われたら」
「その極みが覚醒剤でね」
「洗濯機使えないことも」
「それだけ世の中のこと勉強してこなかったのよ」
「そうした人なの」
「世間知らずな人もいるけれど」
それでもというのだ。
「あの人の場合はわね」
「頭あれなの」
「そう、何か番長とか言われていい気になってたし」
「そういえばそうだったわね」
「もう何もかもがね」
「あれだったの」
「そうした人だったのよ」
こう娘に話した。
「結局はね」
「だから覚醒剤もやったのね」
「それで今滅茶苦茶に太ってるでしょ」
「おかしな格好のままで」
「もう本当に徹底的にあれな人なのよ」
「ううん、だから洗濯機も使えないの」
「あの人の場合はね、ただね」
母は娘にこうも話した。
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