イベリス
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第五話 入学間近その六
「結婚してね」
「子供生まれて」
「その子供が大きくなるのよ」
「あっという間に」
「気付いたらお父さんも髪の毛に白いものが多くなって」
夫のことも話した。
「それでお腹も出てるから」
「そこでそう言うの」
「事実だから」
こう娘に返した。
「だからね」
「そう言うの」
「それで本当にあっという間にね」
まさにというのだ。
「お母さんもね」
「今みたいになの」
「皺が多くなるのよ」
笑って自分のことも話した。
「おばさんにもなるのよ」
「そうなの」
「そうよ、本当に大人になったらね」
それならというのだ。
「あっという間にね」
「時間が過ぎていくの」
「子供の頃とは時間の流れが変わって」
それでというのだ。
「あっという間になるのよ」
「そうなの」
「そう、少年老いやすくってあるわね」
「ああ、そんな言葉あるわね」
「学成り難しね」
「その言葉ね」
「それでね」
娘にさらに言った。
「それは大人になるとなのよ」
「子供の頃じゃないの」
「そうよ、子供の時はね」
その時はというと。
「本当に時間の流れが遅くて」
「高校生になるのなんて遥か先で」
「そうでしょ」
「そうだったのにって思っていたわ」
まさにというのだ。
「今まで」
「そうなのね」
「そう、ただね」
「大人になったら」
「おばさんになるのもよ」
それもというのだ。
「あっという間だから」
「覚悟しておくことね」
「そうよ」
娘に強い声で話した。
「いいわね」
「歳取るってそうなの」
「そうよ、時間の流れは歳を取るにつれて早くなって」
「そしてなのね」
「二十歳を超えるとね」
「物凄く速くなるのね」
「中学時代から速くなってるでしょ」
母はこうも言ってきた。
「そうでしょ」
「そう言われると」
「そうでしょ、小学生まではゆっくりで」
「高校生になるのなんて夢みたいでも」
「もうすぐなるし」
それでというのだ。
「これからはね」
「もっとなのね」
「それで子供生まれたら」
そうなればというと。
「大人になってからもそうなのに」
「尚更なのね」
「速くなるから」
「じゃあ私の中でお母さんは」
咲はここまで聞いて母に問うた。
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