石の格

　　　　　　　　　　　　　　　石の格
　岩手県の話である。
　ある道で毎夜すすり泣く声が聞こえるという話がネット上で出て来た、それで蕎麦屋の娘である盛田天は首を傾げさせて言った。
「幽霊かしら」
「そう思うわよね」
　友人の黒沢夏織はこう返した。
「あんたも」
「他に何かあるってね」　
　天は夏織にすぎに返した、見ればはっきりした顔立ちであり眉の形は美麗だ。黒髪を長く伸ばしていて高校の制服、水色のブレザーとミニスカートから出ている脚は実に奇麗だ。赤いネクタイと白いブラウスの胸からは色香のある首筋も見えている。黒髪をロングにしている。背は一五八位だ。
「思わないでしょ」
「ええ、私もね」
　夏織も答えた、黒髪はやや縮れた感じで後ろで束ねややボーイッシュな顔立ちだが色白で整っている。眉はしっかりしている。背は一五五位で胸は天よりある位だ。やはり脚は奇麗だ。
「そう思うわ」
「そうよね」
「それでね」　
　夏織は天にさらに言った。
「私思うけれど」
「幽霊がいるかどうかなの」
「見に行かない？」
「あんた好きよね」　
　天は夏織に少しやれやれという顔でざるそばを食べながら返した、二人は今学校の食堂で向かい合いながら話をしているのだ。
「幽霊のお話が」
「そのことね」
「そう、本当にね」
「まあね」
　夏織はかけそばを食べつつ応えた、この学校の食堂の蕎麦は美味いので二人共蕎麦なのだ。天は自分の家が蕎麦屋であることからも食べている。
「それはね」
「そうでしょ、それでなのね」
「今回もね」
「行ってなのね」
「そしてね」　
　そのうえでというのだ。
「確かめましょう」
「相手は幽霊だから」
　それでとだ、天は夏織に言った。
「祟られるかもね」
「祟られたら」　
「大変でしょ」
「だからいつもお守りとお塩とお経持って行ってるの」
「しっかりと守ってるのね」
「怨霊だったらやばいのわかってるから」
　夏織にしてもだ。
「だからね」
「それならいいけれど」
「だからあんたもね」　
　今度は夏織から天に言った。
「一緒に来てくれるならね」
「そういうの持ってなの」
「来てね」
「私行くって言ってないわよ」
「あれ、一緒に来てくれないの」
「そう言われたら」　
　それならというのだ。
「乗ってきたわ」
「そうなのね」
「私もお経持って行くから」
「それとお守りもね」
「お塩もよね」
「それと聖書も」
　夏織は笑って言った。
「持って行くとか」
「いや、聖書はいらないでしょ」
　天は夏織にすぐに返した。