慎重な対応
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七章
「それに社長さんもしっかりした人だからね」
「大丈夫ですか」
「うん、前の会社とは全く違うよ」
「クレームがついたらですね」
「それが真っ当なものの場合だけれど」
「しっかりと対応してるんですね」
「そうだからね、それでね」
池上は奥保に笑って話した。
「今度うちのチェーン店に来てくれるかな」
「そうしてですね」
「飲んでくれるかな」
「わかりました」
奥保は池上に笑顔で応えた。
「今は喫茶店ですが」
「今度はね」
「そのお店でお話しましょう」
「そうしようね」
「ええ、それで僕が勤めているスーパーにも」
「行っていいかな」
「お願いしますね」
こう池上に言った。
「その時は」
「是非ね、じゃあね」
「それならですね」
「今度は飲んで食べながら」
「お話しましょう」
二人で笑顔で話した、そして実際に池上も奥保もお互いの店に行った。そのうえで楽しみ河野の話もしてだった。
三人でも会ったがこの時河野は言った。
「前の会社の経営陣は色々大変だな」
「ああ、背任やら横領やら」
「色々やってたんですね」
「そんな連中だったから」
「ああした態度だったんですね」
「会社で問題があっても」
「そうだろうな、もうあんな連中が会社にいたら」
経営を担っていたらというのだ。
「ああなることもな」
「当然ですね」
「潰れることも」
二人も応えた。
「どんな大企業でも」
「経営者が駄目だとああなるんですね」
「そうだな、そしてそんな会社からは去る」
河野はこうも言った。
「自浄能力が全くないと思ったらな」
「それがいいですね」
「僕達みたいに」
「そのことがよくわかった、私も今はタクシーの運転手で楽しくやってるよ」
今の仕事をというのだ。
「中々大変でお給料は安くなったが」
「それでもですね」
「あの会社にいる時よりましですね」
「ずっとな、大きくても経営陣が無能で不誠実な会社は駄目だ」
河野は言い切った。
「それだけでな」
「全くですね」
「そうした会社はああなりますね」
「そのことはよく見極めないとな」
河野はしみじみとした口調で言った、そうしてだった。
三人でそれぞれ今の状況のことを話した、三人共充実していて顔は晴れやかだった。それは前の会社にいた時と全く違っていた。
慎重な対応 完
2020・11・14
ページ上へ戻る