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慎重な対応

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第五章

「集中的なバッシングを受けてだ」
「今も慎重に対応を検討する、ですね」
「とっくに記者会見を行って謝罪しているな」
「普通の会社なら」
「その状況でまだこれだ」 
 身長に対応を検討する、だというのだ。
「お役所でも今頃これはないな」
「お役所も世間に叩かれますからね」
 池上はこのことを指摘した。
「対応がおかしいと」
「そうだ、まして企業がこうだとな」
「倒産しますか」
「普通にな、そしてな」
「我が社はですか」
「もうこんな有様だとな」 
 上層部、重役達がそれならというのだ。
「終わりだ」
「だからですか」
「私はもう次の就職先を探している」
 河野は自分のことを言った。
「とはいっても車の運転が得意だからな」
「それで、ですか」
「タクシーの運転手だ、もう大きな会社の部長じゃないが」 
 それでもと言うのだった。
「しかしな」
「それでもですね」
「会社が潰れてどうするかよりずっとましだ」
「今のうちに就職出来れば」
「失業しなくて済む、傷は最低限で済む」
 こう池上に話した。
「だからな」
「今のうちですか」
「君達もな、次の就職先を探してだ」
 そしてというのだ。
「この会社から去るべきだ」
「それがいいですか」
「もうこの会社は辞めた方がいいですか」
「何なら紹介する」
 次の就職先をというのだ。
「いささか給料は安くなるがホワイトだ、どうだ」
「そうですね」
 池上は少し考えてから河野に答えた。
「私もこの会社はです」
「もう、だな」
「手遅れだと思います」
「そうだな」
「ならです」
 河野にさらに話した。
「退社します」
「今のうちにだな」
「宜しくお願いします」
「僕もです」
 奥保も言った。
「ずっと慎重に対応を検討するで」
「実は何もしなくてな」
「この事態になってです」
「まだそれだとな」
「どうにもなりません、対応を取っても」
「手遅れだな」
「そして碌な対応にならないです」
 このことが目に見えているというのだ。
「どうせ目先のことだけで社員に責任を押し付ける」
「そうなるな」
「ここまで何もしなかったですしね」
 重役達はというのだ。 
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