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八条学園騒動記

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第六百十一話 普通の人が悪人になってその一

                普通の人が悪人になって
 レミ、ルビー、ダイアナの三人は喫茶店に入った、そのうえでまずはそれぞれメニューを注文したが。
 どれも紅茶だった、その紅茶を頼んでそれが来てからレミは二人に言った。
「それでマクベスだけれど」
「どうしてもね」
「色々考えるわよね」
 ルビーもダイアナも応えた。
「マクベス夫人のことといい」
「マクベス自身もね」
「それに結末もね」
「どうかってなるわね」
「そうよね、悪いことをしたけれど」
 マクベスは確かにというのだ。
「そうなったには理由があって」
「そしてよね」
「そのうえでよね」
「ああした結末になる」
「それもね」
「倒されたけれど」
 暴君としてだ。
「何でそうなったか」
「考えたいわよね」
「そこをね」
「ずっと立派な武人って言われてたのに」
 作中で誰もが言うことだ。
「それがね」
「暴君になった」
「どうしてか」
「権力欲故になっても」
 それでもとだ、レミは紅茶を飲みながら言った。
「それってね」
「誰もがよね」
「権力は求める場合があるわよね」
「特にマクベスみたいな状況だとね」
「力があってね」
「しかも王族なのよ」
 レミはこのことも指摘した。
「だったらね」
「そうそう、もうね」
「王様さえいなければってなったら」
 ダンカン王である、尚この王は実在人物でイギリスには彼が殺されたその場所もこの時代も存在している。
「そうなるわよね」
「奥さんが唆したにしても」
「そう思うとね」
「本当に誰でもで」
「嗤えないわよね」
「馬鹿な奴だとか」
 ルビーもダイアナも言った、そして。
 ダイアナは紅茶を口にしてからまたこう言った。
「私マクベス嫌いじゃないわ」
「私もよ」
 レミもこう返した。
「実はね」
「憎めないとかじゃなくて」
「否定出来ないのよね」
「そう、だからね」
 それ故にというのだ。
「嫌いじゃないの」
「嫌えないのよね」
「自分もこうなるかもって思ったら」
「これも人間だってね」
「どうしてもね」
「嫌えないのよね」
「それね」 
 今度はルビーも言った、紅茶が入ったコップは手にある。
「私もだし」
「どうしてもよね」
「嫌うにはね」
 こうレミに返した。
「どうしてもね」
「自分も思い当たって」
「どうしてもね」
「人間かっていうと」
「本当に人間的だから」
 マクベス、彼はというのだ。 
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