イベリス
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第二話 はざかいの時その十
「よく跳び跳ねるでしょ」
「そうですね、小さな身体で」
「それで着地の時に怪我をすることもあるから」
だからだというのだ。
「そこは注意してね」
「元気だからそのことはですね」
「そうしてね。うちは猫を飼ってるけれど妹夫婦がね」
「トイプードルの子をですか」
「飼っていてね」
それでというのだ。
「よく見るから」
「それで、ですか」
「妹も言ってたし」
トイプードルのそうしたことをというのだ。
「だからね」
「そこは注意してですね」
「そしてね」
「飼っていくことですね」
「元気なことについてもね」
「そうですか、確かにモコもよくジャンプしますし」
家の中でもだ、それで一家でモコは元気だと喜んで可愛がっているのだ。
「そのことは注意していきます」
「そうしていってね」
「遺伝病とかは勉強してますけれど」
「トイプードルは怪我もね、それでね」
「それで?」
「モコちゃんはトイプードルの中でも小さいわね」
モコを見てこうも言ってきた。
「ティーカップ位かしら」
「はい、貰う時にそう言われました」
咲も答えた。
「この娘のサイズはそれ位だって」
「しかも足短いわね」
「そのことも言われました」
「そうした体型なら余計にね」
「小さくて足が短いならですか」
「ジャンプした時に着地の衝撃が短くて小さな足に一気に来るから」
それでというのだ。
「余計にね」
「注意しないと駄目ですか」
「怪我しない様にね」
「わかりました、注意していきます」
「そうしていってね」
おばさんはこう言って咲とモコから別れた、そして咲は散歩から帰ってモコの足を拭いてケージの中に戻して母におばさんの言ったことを話すと。
母も頷いてもモコを見ながら言った。
「ええ、そうなのよね」
「トイプードルの子はなの」
「小さくてね」
「足が短い子も多くて」
「特に最近そうした子が多いのよ」
「モコみたいな子が」
「人気があるから」
飼い主達にというのだ。
「だからね」
「怪我に注意が必要なのね」
「小さくて足が短いのにね」
「活発で」
「よく高くジャンプもするから」
それでというのだ。
「着地の時にね」
「ぐきっとかいくのね」
「そうなったりもするから」
だからだというのだ。
「そこはね」
「注意してなのね」
「そしてね」
それでというのだ。
「飼っていかないとね」
「駄目よね」
「そうよ、というかあんたトイプードルのそのこと知らなかったの」
「怪我のこと?」
「そうよ、言われるまで」
「ちょっとそこまでは」
咲は母にバツの悪い顔で答えた。
「知らなかったわ」
「言ってたでしょ」
「そうだった?」
「そうよ、お家に来た時にね」
「あの時お母さんにモコのこと色々言われて」
咲はその時のことを思い出しつつ言葉を返した。
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