チーターと犬
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第一章
チーターと犬
アメリカフロリダ州タンバベイのブッシュ動物園でのことだ。
カシー、雄のチーターの赤ちゃんである彼はこの時母親に育児放棄されていた。それで動物園のスタッフ達は困り果てていた。
「参ったな」
「母親が育児放棄なんてな」
「じゃあ僕達で育てるか」
「今は人手不足だが」
「何とかするか」
「いや」
ここでだ、一人が閃いて言った。
「犬に一緒にいてもらうか」
「犬?」
「犬に?」
「ミルクや食べものはあげるけれど」
それでもというのだ。
「それ以外の多くのことは犬に一緒にいてもらって」
「ああ、犬は面倒見がいいし」
「それに雌犬は母性本能が強いし」
「チーターの子供でも面倒見てくれるか」
「そうしてくれるか」
「そのことが期待出来るから」
それ故にというのだ。
「ここはそうしてみよう」
「よし、じゃあここにいる犬から候補を探そう」
「当然雌だな」
「その中から選ぼう」
こう話してだった、犬の中でも面倒見がよく優しい種類のラブラドールの雌の子犬のムタニがカシーの傍につけられることになった。
スタッフの人達はここでムタニに言った。
「じゃあムタニ頼むな」
「カシーは親に見放されたんだ」
「けれどお前は見捨てないでくれよ」
「カシーのお母さんになってくれ」
「そしてちゃんと育ててくれるかい?」
「ワン」
ムタニは尻尾を振って応えてだった。
カシーと一緒になった、すると。
すぐにカシーの傍に来て優しい顔を向けた。
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