ドリトル先生と不思議な蛸
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第十一幕その四
「若し八条鉄道がないと」
「こうして一直線に帰れないね」
「そうだね」
「本当にね」
「遠回りになっていたね」
「そうなっていたよ」
先生は蟹のお弁当の次はイクラのお弁当を食べます、イクラの素敵な味を楽しみつつそうして言うのでした。
「今回もね」
「新幹線もいいけれど」
「それでも遠回りだからね」
オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「どうしてもね」
「そこが問題だね」
「遠回りも楽しい時があるけれど」
「早く行きたい時は困るわよ」
チープサイドの家族も言います。
「どうしてもね」
「その時はね」
「だから三重県と奈良県に列車が通っていると有り難いね」
チーチーの口調はしみじみとしたものでした。
「列車で兵庫県や大阪府に行きたいなら」
「愛知県、岐阜県、滋賀県、京都府を通るとか」
トートーは言いました。
「やっぱり結構な遠回りだね」
「実は日本って結構広い国だし」
このことはホワイティが言いました。
「遠回りも結構だよ」
「というかイギリスより広いし」
日本はとです、ダブダブは言いました。
「日本ってね」
「だから遠回りも結構な距離になるわよ」
ガブガブはその距離のことを思いました。
「これがね」
「というか日本って何処が狭いのかしら」
ポリネシアは首を傾げさせました。
「欧州だと明らかに広い方の国よ」
「そうそう、ドイツよりも広いしね」
老馬も言います。
「実は」
「山が多くて住みやすい平地が少ないからそう言ってるだけじゃないかな」
ジップはこう考えました。
「その実は」
「日本が狭いというのは日本人の主観だね」
それに過ぎないとです、先生は言いました。
「アメリカや中国やロシアと比べてね」
「どの国も滅茶苦茶広いよね」
「もう大陸って言っていい位に」
「そんな国々と比べたら」
「流石にだよ」
「そうだね、そしてその結構広い日本で遠回りになると」
それならというのです。
「結構時間がかかるからね」
「今回はこうして帰るんだね」
「行く時と同じで」
「そうするんだね」
「そうだよ、この貨物列車に乗って」
そうしてというのです。
「神戸まで帰ると」
「のんびりとね」
「お弁当食べて景色を楽しんで」
「そうしながらね」
「そうしようね」
こう言ってでした。
先生は皆と一緒に駅弁を食べてウイスキーを飲んで車窓から見える景色を楽しみながら鉄道の旅を楽しみました、その中で。
動物の皆は大阪に入ったところで先生に言いました。
「大阪もいいよね」
「素敵な街よね」
「ざっくばらんで賑やかで」
「あったかくてね」
「しかも食べものが美味しくて」
「そうだね、大阪は面白い街だよ」
先生もこう言います。
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